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第5話 中学一の美少女の裏の顔

 アタシは姫宮杏奈。


 生まれてこの方、アタシはこのかわいい顔のおかげで不自由なく楽しく生きてきた。


 欲しいものがあれば、ちょっとおねだりすれば買ってもらえるし、中学では一番かわいいと言われていたからか、周りの男子がお姫様みたいに扱ってくれた。


 アタシの悪口を言う女達もいたけれど、しょせんは敗北者の戯言ざれごと。勝手に言わせておけばいいわ。それに、アタシの文句を言う前に、自分を磨けばいいじゃない。ホントバカな女達。


 まあそんなわけで……アタシはこのかわいさを武器にして、楽しく過ごしていた。


 ヒーローに声をかけたのも遊びの一環。ずっといじめられて、ぼっちだったのを見てきた。そして、高校もアタシと同じところというのを風の噂で聞いたアタシは思ったの。


 あいつに少しでも優しくしてやれば、アタシに依存して媚びを売るんじゃない?


 高校生活で使えそうなアタシのおもちゃが増えるんじゃない?


 それに、あんなぼっちの人にも声をかける優しい女の子って周りに思わせれば、更にちやほやされて、馬鹿なおもちゃを増やせられるんじゃない?


 そう考えて、卒業式に声をかけた。案の定あいつはアタシの誘いに乗って来た。ホント男って単純で面白い。


 そこまではうまくいっていたけど、更に依存させるために……ヒーローを追いつめるためにやった事が、完全に失敗だった。


 事前にヒーローをいじめていた奴らの一人とコンタクトを取り、指定の時間に路地裏に連れていくからボコボコにしていいよって言った。たしかとても乗り気だったのを覚えている。


 そうして作戦は実行され……ヒーローはアタシの思惑通りボコボコにされた。これで更に追い込まれ、唯一の知り合いであるアタシに依存するはず。


 そう思ってたのに……なにアタシが協力したみたいな事を言ってるのよ!! これだからバカは困るのよ!!


 今日だって、ヒーローに話しかけて周りの男子を煽り、ヒーローを生意気な陰キャって思わせる作戦だったのに、急に出てきた女のせいで失敗した! ああもう!


 ていうか、あの根暗な女はなに!? あんな何を考えてるのかわからないような表情が乏しい女の何が良いの!? どう考えてもアタシの方がかわいいじゃん!


 まあ……おっぱいはちょっと負けてると思うけど……それくらいしか負けてないじゃん!


「なんなのよ……ヒーローのくせに……生意気!」


 怒りのぶつけ先がないアタシは、少しでもこの怒りを紛らわせようと握りこぶしを二つ作りながら、強く歯ぎしりする。


 アタシのおもちゃの分際で、あんな生意気な態度を取るなんて……ヒーローはアタシの言いなりになればいいの! なのに突然出てきたあの女が邪魔して……ああもうイライラする!


「ひ、姫宮さん。あんなやつ気にしなくていいよ」

「そうそう! 根暗なあいつには、ああいう根暗な女がぴったりだよ! 姫宮さんのほうがかわいいし!」

「ホントぉ? 嬉しいな~ありがとう! でもそんな酷い事を言っちゃだめだよぉ」


 今日ゲットしたアタシのおもちゃ候補の男達に、かわいく笑って見せる。


 これをするだけで……ほら、デレデレしちゃって。男ってバカしかいないわね。ちょろ過ぎでいくらでも遊べるわ。


「何あの女……?」

「感じ悪いよね~」

「初日から男子に媚び売りまくってキモ~イ」

「でもなんか、さっき暗い男子に嫌われてなかった?」

「されてた~いい気味だわ~」


 はぁ、また敗北者の女達から妬みの声が聞こえてきた。


 教室の片隅からみたいだけど……やっぱり。なんの手入れもしてないブサイクだし、なんなのその太った体。見た目が醜いと心に醜くなるのね。あーやだやだ、これだから敗北者は。


 でも実際アタシがヒーローに嫌われたような事を言われたのは確かだ。ああもうそんなとこ見てなくていいのに! しかもそれを一々聞こえる様に言ってくるのがムカつく!


 って、落ち着いてアタシ。今はあんな連中どうでもいいの。


 それよりも、問題はヒーローとあの女……神宮寺よ。可愛いアタシに泥を塗るなんて許せない!


 ……よし、決めた。ヒーローは絶対アタシに忠実なおもちゃにしてやるわ。そして神宮寺……あんたからヒーローを横取りして、その無愛想な顔を悔しさでメチャクチャにしてやるわ!


「ふ……ふふ……アタシを馬鹿にした罪は重いんだから……」

「姫宮さん? どうしたの?」

「あ、ううん。なんでもないよぉ」

「なあなあ姫宮〜、オレ達カラオケ行くんだけど、良かったら行かない?」


 取り巻きという名のおもちゃに愛想を振りまいていると、別の男が声をかけてきた。随分チャラい男ね……アタシこういう男嫌いなのよねぇ。


 でも、こういう馬鹿そうな男は簡単におもちゃに出来る。今後の為にも使えるおもちゃは増やしておいた方が良いわね。


「うん、いいよぉ! みんなで行こう~!」


 ここでこの男達だけじゃなく、最初にいた取り巻き達も誘う事で、俺達も誘ってくれる優しい女の子を演出する。簡単な事だけど、アタシがやれば効果は抜群! ホントかわいいってお得!


 こいつらもアタシのおもちゃにして、ゆくゆくはヒーローもおもちゃにしてやるわ。


 ふふっ……むかつく初日になっちゃったけど……高校生活もアタシの思い通りにしてあげる!


ここまで読んでいただきありがとうございました。今日の投稿はこれでおしまいです。次のお話は明日の朝に投稿予定です。


少しでも面白い!と思っていただけましたら、ぜひ評価、ブクマ、レビュー、感想よろしくお願いします。


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