部屋が虫だらけ
「最近、部屋にやたらと虫が湧くんだよなぁ」
俺は悩ましげな表情を浮かべ、丸テーブルに肘をつき、ため息をつく。
「きったねぇなあ。掃除しろよ」
向かい側に座る友人は、舌を出して眉を潜めながらケタケタと笑う。
「いや、部屋は綺麗にしてるんだぜ?先日も掃除したばっかりだ。それに……」
「それに?」
「……夜になって寝ようとすると、こんぐらいのサイズのムカデみたいなのが、俺の体を這いずり回りやがるんだ。バルサンもいくら置いても、出ていく気配が全くねぇんだ」
人差し指と親指で大体のサイズを教えてやると、友人は虫を噛み潰したような顔をしながら「そりゃ酷い」と肩をすくめる。
「そこまでのレベルなら、業者にでも頼むか、思い切って引っ越してみたらどうだ?まあ、そんなことより……」
友人はポケットに忍ばせた覚醒剤をチラつかせる。
「そういう気分の悪い日は、派手にキマらねぇか?」
「だな。ハイになろう」