34話
~sideライガ~
落札が終わったのはいいけど、金額がとんでもないことになってない?チラッとシュトライザさんを見ると固まっていた。
「もしかしてなんだけど?王族が落札しましたかね?」
「おそらく、間違いないだろう。」
ひきつった顔を2人は見つめあっていた。
するとノックをして入ってきたのは、ロックウェルさんだった。
「すまんがオークションの会場暫く出られないからここで待機しててくれ。」
「落札は王族か?」
「ああ!困ったことにこの国の王だ!」
「「はっ?」」
「しかもこの隣のVIP席にまだいるんだ。」
「おい、大丈夫なのか?」
「かなりヤバイな!」
「どうする?王族、しかも王なんて関わりたくないぞ!」
「こっちとしても、何事もなく帰ってもらいたいんだが、どうも何か考えがあって、出てこないようだ。俺も探りを入れてるが、よくわからん。」
「俺たちがここにいる方がやばくないか?」
「だが出る方が余計怪しまれる。この警備だしな!」
「チッ警備が裏目に出たか!」
「どちらにしても、今動くのは得策ではない!」
「わかった。だが、危険を感じたら、俺は俺の思うように行動するぞ!」
「わかってるよ。」
そう言い残して、ロックウェルさんは部屋を出ていった。
はぁーーー、どうなるんだろう。と不安をこぼしたライガだった。
「あ、こんなときに連絡取ったらいいんじゃないかな?」
「奴にか!」
「ええ!何か出来ることがあるかもですよ?」
「取り敢えず伝えるだけでもやってみた方がいいんじゃないですか?」
そうだな、じゃあ繋いでくれと頼まれたので、ガイアに念話を送ることにした。
~ライガ(ガイア聞こえてる?)
~ガイア(ああ、しっかり聞こえてるぞ!そして、映像も見てたから、何があったかも大体わかるぞ。)
~ライガ(えっ!そんなこともしてたの?)
~ガイア(心配んだったんだよ。俺も!)
~ライガ(ありがとう。じゃあ何で連絡入れたかもわかってる?)
~ガイア(ああ、王が何かしそうなんだろ?)
~ライガ(うん。だから、ここから暫く動けなくなった。)
~ガイア(シュトライザさんは何て言ってる?)
~ライガ(何かあったら動くって言ってたよ。)
~ガイア(そうか、なら俺もそうするよ。何かあったら俺もそっちにいく!)
~ライガ(えっ!)
~ガイア(なんだよ?俺が出た方が早いだろ?)
~ライガ(そうだけど、出たくなかったんじゃないの?)
~ガイア(迷惑かけてまではしたくないよ。)
~ライガ(そっか!)
~ガイア(じゃあシュトライザさんに伝えといて!)
~ライガ(了解!)
念話を終えて、耳打ちで、シュトライザさんに全て伝えた。
伝えるとシュトライザさんがそうか、と申し訳なさそうにしていた。ガイアの気持ちを代弁したからか、そんなに、気にしなくてもいいと思いますよ。と伝えておいた。
すると扉の外が何やら騒がしくなってきた。小さい声だが、ロックウェルさんの声も聴こえる。
「だから、ここは通せないとお伝えしてるではないですか!」
近衛の兵士が「王の命令だ!逆らうなら捕らえるぞ!」
「王がそんな勝手をしたらギルドは終わりです。信用問題なんですよ。」
「王が会いたいと言っているのに何故断る!」
「表に出たがっていないからです。なら王は嫌がる相手を無理やり連れていくと言うことか!」
「こちらは命令に従うだけだ。」
これはやばそうだな、ロックウェルさんが必死に止めてくれてるのだが、我慢の限界だったシュトライザさんが扉を開けた!
「こちらに用事とは、如何様なことでしょう。」
「其方は話がわかると見える。」
「かいかぶりです、迷惑なので出てきました。」
「不敬だぞ!」
「其方こそオークションの規則を無視されているようですが?」
「王命だ!」
「例え王であろうとも、法律は守るべきかと思いますが!」
「王を愚弄するとはお前も捕らえるぞ!」
「どうぞ、お好きにとってください。此方としては従う理由はない。」
「この者達を捕らえる。」
「はっ!」と近衛の騎士達がシュトライザさんとロックウェルさんとライガを捕らえて、連行していった。
~sideガイア~
「やっぱりこうなったか!乱暴に扱いやがって!」
映像で全てを見ている、ガイアは、かなりイライラしていた。
「王が出てくるまでに何かありそうならすぐに助けるからな。」
と聞こえないのに言葉に出していた。
「全くこんなことがまかり通る国ってどうなんだ?」
縛り上げられて連れていかれたライガ達を見守りながら見ていると、牢屋では無く隣の部屋に連れていかれていた。
「こんな無理やりにしか行動できないような国って最低だな!」
扉をノックして、近衛の騎士達が連れてきました。と礼をとっている。
「よく来たな。」
「王よ、これはどのような権利があって捕らえられたのでしょうか?」
近衛の騎士が「勝手な発言をするな!」とシュトライザさんを床に押し付けた。
「っ!」
するとロックウェルさんも「王様、オークションの規則をわかっていてこの様なことをされるのですか?」と発言すると同じく押さえつけられた。
「良い!お前達は下がっておれ!」
「ですが、」「余の命に背くか?」「はっ!畏まりました。」
「縄もほどいていけ!此では話も出来ん!」
「ですが、危険があるかも知れないです。」
「良い!ほどいていけ。」
「畏まりました。」
騎士達から解放されたシュトライザさん達は、何故このようなことをしたのか、不思議でしょうがなかった。呼びつけて縄で縛られ、ここに来ての解放だ。裏があるとしか考えられない。
騎士達が退室して、王を見ると。
「何か行き違いがあったみたいだが、ここへ来てもらったのは、誰がこのような完璧なドラゴンを仕留めたのか教えてもらうためじゃ。」
「幾ら王族でも言えることと言えないことが御座います。」
「ほう、ワシがここまで言っても教えないとは。極刑にされてもいいと?」
「やむ無しですが、甘んじて受けましょう。」
「そこまで、守るべき相手なのか?」
「それ以前の問題です。」
「ほう?では、そうさせてもらおうかの!」
(転移発動!ライガがいる部屋!)
(シュン!)「そこまでにしてもらおう!」
「「ガイア!」」「な!誰じゃ!」「っ!」
もう見ていられなくなり、その場に転移した。
「もちろんドラゴン狩った者だが?」
「「は?」」
取り敢えず扉が開かないようにシールドを張った。
「だから、ドラゴンの持ち主だったものだ!今はそこにいるおっさんのだろ!」
「なっ!余を愚弄するか!」
「こっちが出てくる必要ないのに、出てこいと言ったのはおっさんだろ!」
「おっさん!」プルプル震えながら顔を真っ赤にしている。
「そう!只のおっさん!に言ってるの。」
「余にその様な口を聞いてただですむと思ってるのか!」
「思ってるよ?何で俺がこんなおっさんに怯えなきゃいけないんだ?」
「名を名乗れ!」
「えっ?名前を名乗るなら自分からだろ?」
「なっ!何故余が名乗らねばならん!」
「は?普通そうでしょ?その年で何習ってきたの?」
シュトライザさんとライガは、このやり取りを始めてから、声も出ないぐらいびっくりしている。それはガイアが見たことないぐらい怒っているからだ。
「で、自分の名前も名乗れないおっさんが俺に会ってどうするつもりだったんだ?」
「それは、ドラゴンを狩れる位の使い手なんだから報奨として余に使えさせてやろうと、」
「お断りします。」
「はっ?」
「耳も悪いのか?お、こ、と、わ、り、だ!」
「な、こんな名誉なことを断るなんて!有り得ん!」
「は?名誉?何処が?迷惑なだけだろ!とっととドラゴンの金払って自分を崇めてくれる処に帰れよ!」
「何処まで、余を愚弄する気だ!打ち首だ!」
「は!殺れるもんならどうぞ?」
「騎士よ!この者を捕らえよ!」
しーん。
「騎士よ何をしておる!」
しーん。
「あ、呼んでも聴こえないよ?ちなみに扉も開かん!」
「はっ!」
「今一番心配しないといけないのは自分の心配じゃないか?」
と、とても意地が悪そうな顔をしたガイアだった。




