31話
翌朝、鍛冶屋にお邪魔する予定だったので、皆早起きして朝食を済ませていた。
よーしじゃあ行くか。
鍛冶屋に着くと、やはり店にはいないようで、店から裏手に入っていき、
「すいませーん!剣が出来上がっているって聞いたんですがー!」
と、大声で、声をかけながら進むと、今日は倒れてはいなかったが、作業に没頭しているゴン爺さんがいた。
するとシュトライザさんが耳元まで近づき!おーきな声で「ゴン爺!」
と、叫ぶと、ゴン爺さんが固まって後ろに倒れた!
「は?何してんの?」と、ライガと俺はゴン爺に駆け寄ると、ゴン爺が、なんじゃい?と、普通の対応をされてこっちがビックリしてるんだけど?
「アハハ!昔と変わってないな!集中しすぎると、何も耳に入らないから、こうやって大声で、こっちに戻すんだよ!」
「は?そんなもんなの?倒れたのに?」
「倒れたんじゃなくてリセットしただけだよ。多分?」
「へー、まあよくわからんが剣が出来たって聞いたんですけど?」
「おお!待っておったぞ。」絶対忘れてたよな?
「ほれ、あそこに並べてある。見て手にとって握りの確認してくれ。」
「これどっちがどっちなんです?」
「剣が細い方がガイアで、剣が太い方がライガだろ?」
シュトライザさんが言ってきた。「何で?」と、聞くと、使い手を見て作ってるからな!と、言ってきた。
「流石にわかってるじゃないか!」と、ゴン爺もいっていた。
へー、剣の世界はなかなかわからんな。
「取り敢えず、剣を握って手の形に合わせて作り直すからな!」
「そんなこともするんですか?」
当たり前だろ、剣を落とさず握るにはぴったりにしてもらわないと、戦えないぞ?と、シュトライザさんから突っ込まれた。
細い方の剣を握ると剣の重量は持ちやすい感じだが、少し持ち手が握りにくいと思った。
「少し太すぎる感じですね。」
「そうか じゃあ次はそっちの、名前なっだったかの?」
「ライガですよ。」と、自分で名乗り剣をにぎって感触をたしかてめいた。
「俺はすごくしっくりくるよ。」
「そうか?一応握りを見せてくれるか?」
「はい!」と、ライガが握っているところを見て、うーん、もう少し調整すると、言っていた。
「見るだけで分かるんですね。」
「伊達に長年やってないぞ?」
「そうでした。」
じゃあもうしばらく待っててくれと、言われたので、ついでに包丁みたいなもの置いてないか聞いたら店先に並んでるから適当に選べと、言われてしまった。
完成するまで時間がかかりそうだな。どんなのがあるか見て時間潰せばいいか?と、取り敢えず店先の商品を見ることにした。
結構色んな種類が並んでいるが、これ盗まれても気がつかないんじゃないかな?と、思えるぐらい不用心に並んでいる商品を見て思ってしまった。
「ガイア、これなんて丁度いいんじゃないか?」と、出刃包丁位の物を持ってライガが見せてきた。まあ捌くにはいいかもしれないが、もう少し細いのも欲しいんだよな!
お!これ果物ナイフ位の物だけど何と、はの部分にギザギザがついている。何に使うんだ?これはパンをカットするものだ。
へ?こんな小さなので切るのか?これぐらいじゃないと自分で食べなからカットしていくにはめんどくさいらしい。
それなら、納得!固いもんな千切るのにすごく力がいる。
人数分ほしいな!今の所柔らかいパンには出会ってないからな。
おっこれはさっきの果物ナイフっぽいがギザギザが付いていない。これなら何とか俺でも使えるかな?
「そんなの何に使うの?」と、ライガに聞かれたので、野菜をカットするにはこれぐらいが扱いやすいんだよ。
へー、まあ手先が器用じゃないからこれぐらいが扱い易いだけなんだけど、黙っとこう。
「シュトライザさんは何かいるものないんですか?」
「ん?俺は今は必要ないかな。」
「じゃあ取り敢えず、パンを切るための物を3つと、出刃包丁、2本あとは、この野菜に使うに丁度いい物を2つ買います。」
「そうか、支払いするまでそこら辺にまとめて置いておけ。」
そろそろ調整も終わるだろうといっていると、裏手から声が聞こえた。
「おーい。調整終わったから試してくれ。」
「はーい!」3人で裏手に入っていき、作業台の剣をガイアと、ライガに持たせた。
ガイアから、オオー!さっきよりしっくり来る!
ライガも、あっこれは握り易くなった。
剣を振ってみると、改めて、スゲー使い易いのが分かる。
しかもミスリルって以外にしっかりしていて、重いかと思っていたらそうでもなかった。鉄の剣より全然軽い。
「久しぶりに良いものを貰ったからな。ミスリルなんて何十年ぶりだったぞ!お陰で、良いものが作れた感謝する!」
「いやいや、御礼を言うのはこちらですよ。ありがとうございます。こんな良いものを作っていただけて、大切に使います。」
「ああ!そうしてくれ。」
「この剣の代金と他に欲しい物があったので一緒に計算してもらっていいですか?」
「ん?お代は要らんぞ?こんな良いものを使って作れたんだからな!」
「へ?いやいや!ダメですよ!ちゃんとお代は受け取ってください。」
「シュトライザさんも言ってやってくださいよ!」
「ゴン爺はいつもこんな感じだからな!」
「うるさいわ、ひよっこだったときは代金踏み倒してた奴が!」
「おい、それは今言わなくてもいいだろう。ちゃんと稼げるようになってから返したじゃないか!」
「ふん!そのときに払えなかったのは事実だろ!」
と、2人のやり取りを聞いていると本当にいい人なんだろうなと、伝わってきた。ここは、ちゃんと支払いたい。
「あのー!困ったときはまた剣を作ってもらいたいので、今回はお代受け取ってください。次に、珍しい鉱石見つけたら一番に持ってきますから!」
「おお!!それは本当なんじゃろうな!忘れるんじゃないぞ。」
「はい!絶対すぐに持ってきます。」
「おおー!!いい奴をつれてきたじゃないかシュトライザ!」
と、バシバシ叩きながら喜んでいた。
後、これは差し入れです。と、俺のお手製のお弁当を差し出した。寝る前にしっかり詰めといたのだ。おかずとパンだけどな。スープも持ってきてるから。ここで皆で昼食をとることにした。
もちろん俺の手料理だ!
このパンだけは好きになれないが、ご飯の代わりだからな。いつか米見つかるかな?スープに浸せば柔らかくなるから早速買ったばかりのパンをカットするナイフが役に立っていた。
「おお?男の癖に料理も出来るのか!しかも食べたことない味だな!うまいぞ。スープも旨味がしみてる。」
「ありがとうございます。そういっていただけると作ったかいがあります。」
「うん。これは本当にうまいぞ!」と、シュトライザさんもライガも完食してくれた。
「旅に出て不味い飯食べたくないんだよ。」
「まぁ、それは良いことだな!」
「俺も頑張って覚えるよ。」
お前さんは旅してるのか?と、ゴン爺に聞かれたので、「はい!これから世界を回って見るつもりです。」
「ほほーう。それはすごいな。いつか帰ってきたときには土産話でも聞かせてくれ。」
「はい!もちろん鉱石も持って帰ってきますからね。」
「はは!楽しみにしてるぞ。」
と、ゴン爺に少し多めに支払いを置いて帰ることにした。それはゴン爺がご飯が終わると裏に引っ込んだせいだ。こそっと置いて帰れば気づかれないだろうと、作業台の上に置いたのに全然気がつかないんじゃないかなゴン爺を笑いながら、店を後にした。
もちろん相場を知らないから、シュトライザさんが大体こんなもんだと、教えてくれた金額に少し色をつけて入れといた。
まぁ、ミスリルは、こちらからの持ち込みだから材料費はそんなにかかってないとのことだったので、技術量の値段だそうだ。
さすがギルマスですな!勉強になります。と、宿屋に戻ってきた。




