第一章 異世界リュクサール
皆、こんにちは!俺は秋谷スグルです。26歳、童貞です。
俺はなぜ、自己紹介してるのかとか、誰に喋っているとか、ではなく、今何故こんなことになっているのかを、考え中のため自分が自分であることの確認なのだ。
時を遡ること数時間前、俺は自分の仕事が終わって、
何時ものように自分の仕事ではないものを、上司から押し付けられて、上司はいち早く帰宅する。
ブラック企業なのは解っているが、サービス残業をせざる得ない環境に流されて、辞めるに辞めれない、優柔不断な自分に嫌気もさしているが、お人好しな性格で、ついつい、引き受けてしまうとか、
苦笑しかないが、明日から連休が取れたので、気持ちも幾ばくか軽くなるものと自分に言い聞かせた。
結局、仕事が終わったのは深夜を回った頃だった。夜勤の警備員さんに顔も覚えられるぐらい会ってるのは俺ぐらいだろうな。
警備員さんにお疲れ様です。頑張ってくださいと、挨拶して会社を後にした。
「さあ、やっと取れた休みだ、今日はコンビニでお酒でも買って帰ろう」
といいながら、自宅近くのコンビニによって、お酒やツマミ等選んでいるときに、なにやらレジの方からただならぬ声が聞こえてきた。
「おい!金を出せ!早くしろ!」
とレジにいる女性の店員に包丁を向けているではないか!
俺はつい、「おい!なにやってんだ!」と男に声を掛けるのと同時に包丁を掴もうとしたのだが、先に男に気付かれ振り向き様に、腹部に違和感を感じた。
「はっ!」と一瞬何が起きたかわからず、強盗犯も驚いたのか、「うわー!」と叫びだし、突き飛ばされ、「グハ!」と声が出た、突き飛ばされたときに包丁が抜けて、おびただしい血が吹き出した。
「キャー!誰かー!」店員の女性が声を出したのを聞いて強盗犯は、「お、俺は!わ、悪くないからなー!」と叫びながら逃げようとして扉にぶつかりガラスが砕け、その場に犯人が倒れた所を、他の買い物客が取り押さえた。
おい!誰か救急車を呼んでくれ!と深夜にも関わらず結構客もいた中の出来事だったのだ。
"おい!あんた大丈夫か!"
と傷を押さえながら、必死に助けようとしてくれているのだろうが。
俺の、意識は、走馬灯のようにゆっくりと流れる昔の記憶を思い出して、だんだんと遠退いていくようにブラックアウトするのだった。
以上が、数時間前の俺の最後の記憶になるんだが、何故か俺は白い空間に、昔ならではのちゃぶ台とお茶とお茶菓子が目の前に用意されている訳なんだが、ん?と思うよね?俺が可笑しいんじゃないよね?と、自身を振り返っていたのだ。
そんな中、ふと人の気配がする、と振り返ったが誰もおらず、顔を戻すと目の前に行きなり人が現れたのだった。
「うわっ!」どっから来たのこの人と目の前の男性に目を向けると、男性は笑顔で、
「初めまして、この世界は仮想空間になっているのでくつろいでください。」といきなり言われて
「はっ?」
どういうことか、頭をフル回転させながら考えていると、目の前の男性がこちらを見つめて、
「今の、あなたの現状を伝えますね。」
「俺って死にましたよね?」と聞いてみた。
すると、「はい、残念ながら。」と帰ってきた。
やっぱりか!と思っていると、男性が「今回、あなたが亡くなるのが想定外で、本来死ぬ予定ではなかった」と告げられたのだった。
またもや、「はっ?」と間抜けな声が出てしまった。
どういうだろうかと考えていると、「今回の様な事は、たまに起こるのですが、想定外の死になってしまうため、来世に行くためには、天寿を全うしないと行けないのです。」
「はっ!じゃあ俺死んでも行く場所が無いってこと?」
「はい、そうなります。」
「そんな、軽く言われても!」
「そうてすよね、なので、あなたには、選択肢があります。このままここで、過ごすか、別の世界に転生して、天寿を全うするかです。」
「このままって、ここにずっといないといけないってこと?」
「はい、行く宛が無いので、ここの空間からは出られません。」
「じゃあ転生って、今の世界には戻れないってこと?」
「はい、あなたの来世がどこにも繋がっていないため、元の世界には戻れません。」
「じゃあ、別の世界にって小説のような?ってことでいいのかな?」
「うーん、内容にもよると思いますが、ほぼそんな感じですね。」
「今さら何ですが、貴方は誰ですか?」
「私ですか?うーん難しいところですが、あなたの世界で言うところの神、ですかね?」
「はぁ?」とこっちが聞いてるのに疑問で返されてしまった。
「もし私がここに残るって選択したら、1人でここで過ごすんでしょうか?」
「ええ、もちろんです。」
「では、転生でお願いします。」
「いいんですか?」
「ずっとここで過ごしたい人なんてあんまり居ないと思います。」
「まぁ、そうでしょうね、今まで残りたいと言ってくる人はいなかったので。」
「でしょうね。」と嫌みが籠ってしまうのはご愛敬だ!俺は悪くない!と心で思っていた。
で、自分はどんな世界に転生するのか聞いてみた。
「俺が転生する世界については教えてくれるんでしょうか?」
「はい、一通り説明しないと天寿を全う出来る人が少ないので!」と爆弾を投入された!
「はっ!一体どんな世界なんですか!」
「魔法があり、魔獣や魔族が居たりする世界です。」
一体!どんな危険世界だよ!と心から思ったが
「もう少し細かく教えてもらっていいですか?」
「まぁ、そうでしょうね、では、詳しく説明していきますね、」
まず、転生先の名前、惑星の名前になるんですかね、リュクサールと言う星ですね、そこには人族、獣人、魔族、エルフ、ドワーフなど、メルヘンな種族が混在して生活していますが、少し争いが起こりそうな気配がしてますね。等と淡々と説明されても‼️
「争いって何ですか!」
「ちょっと魔族の方が優れているんだぞって一部が反乱しようとしている感じですかね?」
「ちょっとでは無いですよね?」
「巻き込まれたら死ぬ位ですかね?」
、、、それって詰んだって言うんですよ!
「まぁ、そんなにすぐに死なれても困るので保険はかけますよ!」
「どんな?」
「創造魔法を授けます。」
「創造魔法って何ですか?」
「簡単に言えば願えば魔法が発動する?みたいな感じです。」
「何故、疑問系何ですか?」
「気のせいです。」
多少魔力量も多く授けますので、問題ないと、伝えられたが!
「問題しか見えないんですけど?」
しかも転生するって赤ん坊から始まるなんて、絶対無理!
「あと、もう少し特典をつけましょう。種族を選ぶ事が出来ます。」
「は!何で選べるんですか!」
「それは転生特典みたいなものですよ。」
「すぐに死にたくないって、言ってましたよね?」
「それは、そうですけども、赤ん坊からだったら不慮の事故で死にそうなんですけど!」
「ああ、貴方には肉体をあらかじめ用意するので、年齢も選べます。」
「それを先に伝えてくださいよ!」
「そうですか?もっと重要なこともあるかもしれないじゃないですか!聞き逃すと大変なのは?」
「はい、俺です。」
「で、どの種族にしますか?」
「すみません、もう一度種族教えてもらってもいいでしょうか。」
「、、、まぁ、しょうがないですね、ちゃんと聞いといて下さいよ。人族、獣人、魔族、エルフ、ドワーフ、どれにしますか?」
「一番死ににくいのがいいんですが?」
「では、獣人、魔族、エルフですね。」
「うーん、やはり人族は、すぐ死んでしまいますか?なら、エルフでお願いします。」
「何故か、聞いても?」
「人族に近いかと?」
「うーん?微妙なところですね!リュクサールでは希少種ですから。」
「かといって、魔族は無理です。」
「それは何故ですか?」
「怖そうだから!」
「まぁ、いいでしょう、では、年齢はどれぐらいにしますか?」
「エルフの一人前って何歳ですか?」
「100才位ですかね?」
「また、疑問系な感じがするんですけど、もういいですよ!成人してれば変な目で見られないかと思っただけなので。」
「では、以上でいいですか?確認のためもう一度聞きますね?種族はエルフで成人で、よかったですか?」
「はい、お願いします。」
では作成します、暫くお待ちください。とその場から消えた。
お茶を飲みながらのんびり待つことにした。
改めて考えると、凄いことしてるんだって思うんだが、どこか他人事に思えてしまう。ハハ、まだ、死んだ自覚が足りないんだろうな。そんなことを考えていると
「準備できました。器見ますか?」
「お願いします。是非見たいです。」
「では、こちらです」手をかざすと、光をまとい成人男性と思われる肉体が現れた。
「おおー!イケメンですね。」「エルフですし容姿はこんな感になります。」「そうなんですか!ありがとうございます。」
で、俺はこの体で、新たな世界でヤっていけるのか?疑問におもったところで、
「では、転生して頂きます。」
「いやいや、まだ、早くないですか?この体や出来ること、出来ないこと、わかんないんですけど?」
「そのうち慣れます!」無慈悲に手をかざされ、
ちょっ、まっ、と変な言葉を残しここで俺はまたもやブラックアウトしたのだった。