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隊長の命令に従ってみんなが一斉に動く。
俺? 俺は一人残され中心付近でとどまる
形は四角形で全方位警戒だ。
フォーメーションダイアモンドに近いと言うかそのままの形になっている。
ほかにもヘックスやパラレルなど色々有る。
銃声が止んで暫くすると叫び声が聞こえた。
「おーい! 撃つな! こっちから来るぞ!」
そう叫ぶのは先ほど必死に無線を送っていた奴だった。
「ラヴィに向かってフォーメーションライン! ネイトは後方警戒!」
「後方警戒コピー」
そう言って俺は後ろを向く。
そして数秒もしないうちに銃撃戦が始まった。
ゴブリン
人に近い見た目を持ち独自のコミュニティを持つ
身長は大きくても150cm
相手はゴブリンと言っても進化した生物だ。
9mm弾ならバイタルまで抜けず効果が薄い。
かといって5.45や5.56を使うと弾代の方が掛かる可能性も有る。
肉は食えず体の使える部分は少ない。
魔核は弱く拳銃の信管に使うか懐中電灯が関の山だ。
「弾を無駄にするなよ! 倒れかけてる木下ホブゴブリン! マイカ、ジョナス!二人で掃射しろ!」
大きな声で隊長が言うが俺の出る幕は無い。
ホブゴブリン
そこそこ強化されたゴブリンの大型種
180~250cm程の伸長を持つ
鉛の弾頭なら貫通せず筋組織で阻まれる。
凄い音だなと思っていると後ろにも動きが有った。
ホブゴブリンが隠れてこちらの様子をうかがっている。
まぁその図体に似つかわしくない小さな藪からこちらを覗き見ているのは知能の低さの表れだろうか。
7.62ラプアマグナムを放つこのライフルは大抵の大型生物を貫通する攻撃力が有るが、物凄く高く人気が低い。
弾も高いわライフルも高い、その上ボルトアクションだが使えるやつが使うと最強の一角も目指せる。
俺? 俺は借金をして欲しかったこいつを買った。
高級な宿屋なら100日以上泊まれる値段だ。
「コンタクトホブゴブリン」
そう言うと任意射撃だと言われた。
50mほどの距離にうんこ座りをしているゴブリンに向かって引き金を絞る。
引き金を絞り切り撃鉄に信管が当たると
衝撃で俺は吹っ飛んだ。
痛む右腕に変な方向に曲がった人差し指
右耳は全く聞こえずライフルを見ると銃身が爆発していた。
パニックを起こしそうになるも若干の理由も思い出す。
俺ブラシ抜いたっけ?
くらくらする頭を振り左手にSMGを構える。
「あいつ等の弓が銃身に刺さりやがった!」
幸い後ろを見ていたのは俺だけだこう言えばバレないだろう。
何人か後方警戒に回ってもらい俺はそそくさと壊れたライフルを拾う。
自分のしでかしたミスに赤面しそうだ、汗が止まらない。
「ネイト...」
後ろを見るとマイカがやらしい顔でこちらを見ていた。
糞、後でぜったい言われる...