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銃と魔物  作者: 甘党ブラックコーヒー
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ッダーン!

山中に響く猟銃の咆哮。

その咆哮に合わせるかのように鳥たちが羽ばたく。

『ネイト聞こえるか?どうぞ』

無線インカムに入ってくる同僚の声。

「感良し、ああ仕留めた、あいつがこの辺りの村を襲ったオーガだ、どうぞ」

『了解、俺の読みは当たってたみたいだな、着弾音がこっちまで聞こえたどうぞ』

「よし、じゃあ回収頼む俺も合流するどうぞ」

『了解、気を付けろゴブリンを見たって言う奴も居るからな』

「了解、通信終わり」


若干止まない興奮を噛み殺し、大型の猟銃をバッグ入れ背負いなおし小型の短機関銃を取り出す。

そして大木からスルスルと滑り降り周りを警戒する。

「....」

物音も無く周りにあれだけ居た鳥達も飛び立ったようだ。

短機関銃を小脇に抱え合流地点に向かって歩く。


ああ、悪い説明がまだだったな。

俺はネイト、フリーのガードマンだ。

名前の通り職業は守る者。

魔物や、盗賊から人々を守る公営じゃない民営機関だ。

まぁ体よく言えば個人事業主、儲かった分女も買えるし酒も飲めるが、体を壊したらそれで終わり。

似たような仕事ならバウンティも有るがやたらと恨まれるしよく行方不明になる。


その分俺の仕事は、寒村に行けば大抵英雄だ。

大層な話で村人から金を巻き上げ村人は守られる。

俺はたくさんお金を貰って村の娘を転がして遊ぶ。


デカい銃使えば村人でも村を守れるだろって?

んなもん寒村にバカでかい銃有っても無用の長物だ、四六時中魔物が襲ってきたら使い道も有るが小さいコミュニティから一切出ないのに必要ねぇだろ?


あと村人が必死に木の切り方や、畑の耕し方を覚えてる時に俺達ガードマンは銃の撃ち方や、風の読み方獲物の追いかけ方や、って、全部言ってたら日が暮れるな、まぁなんだ、色々勉強はしてるんだ。


自衛の小銃は幾つか持ってるだろうが、錆びて腐ってるかまっすぐ飛ぶか怪しい出所不明の小銃が席の井山ってわけ。


まぁどんな仕事も大変な部分が有るっていう話だ。

で、俺は小規模な合同任務を受けて飯の足しに遠路はるばる乗り合いのトラクターに乗ってきた。


それで村着いて一服でもしようと煙草に火を付けぼーっとしてると早速リーダーらしき奴が俺に

「お前良いライフル持ってんな狙撃銃だろ」

とか言って大木に俺を張り付けだ。

寒いわ、風で小便が戻ってくるわで散々だった。

それも三日だ。

無線とGPSで指示されて何度も木に登っては降りてを繰り返した。

一人でだ。

寂しいはひもじいは、で何度帰ろうかと思ったか。

だがまぁ俺の仕事も終わりだ。


とぼとぼと歩きつつ煙草を吸っては揉み消してその辺に捨てる。

30分程掛かりある程度近づいたので無線を送る。

『こちらネイト、セバスチャン聞こえるか?』

『感度良好どうぞ』

『そっちから見て南から近づく周りに撃つなって言っといてくれ』

『了解....ああ、大丈夫だ既に把握している』

そう言われ周りを見ると木の上から手が出ているのが見えた。

手を振り返すと手が引っ込み手を振っていた奴が飛び降りるのが見える。


そこまで歩いて行くと、乗合トラクターでぼーっとしていた女性だ。

「ナイスショット、まぁあたしに何度も殺されてるけどね」

そう言い俺の肩をパンチしてくる。

小便が掛かったすそを擦り付けてやろうか。

「んなもん分かるかって」

そう言いつつ叩かれた肩を撫でる。

すると彼女が胸についてる無線機のボタンを押して了解と答えた。

「隊長が戻って来いって、歩きながら話しましょう、案内するわ」

そう言って彼女は先に歩く。

「了解、あー疲れた」

そう言い俺は煙草に火を付け後をついて行った。




「ようお疲れ、楽な仕事だった」

そう言って隊長が手を差し出してきた。

その手を取り俺も答える。

「俺は楽じゃなかった取り分を増やせとは言わないがオーガを運ぶのを優先的に持ってくれ」

「もちろんだ、まだ捌くのに時間が掛かるからこれでも飲んで休憩してくれ」

そう言って火にかけられているポットを隊長が持ち上げた。

バッグからアルミのコップを出すと注いでくれた。


すっぱいコーヒーを啜りつつ捌かれているオーガを見に行く。

「下手くそ! お前が当てた場所は胆のうだ勿体ねぇ ついでに魔核も傷だらけだ」

ドワーフのおっさんが俺に言うがんなもんしかたねぇと思ってくれ。

肩をすくめため息を吐く。

「まぁ他の部分は使えるがしゃあねぇ、頭と大腿骨と心臓を持って帰る」

そう言いまた作業に戻る。

見た所まだまだ時間は掛かりそうだ、火の近くによりライフルを取り出し分解する。


「清掃するには早いんじゃない?」

さっきの彼女が俺の後ろから言う。

「手が空いてるうちにやっといた方が後で楽だろ?....俺はネイト君は?」

そう言って持っていた工具をウエスの上に置く。

「あたしはマイカ、君の事は隊長が言ってたよ、一番貧乏くじを引てるって」

だろうな四六時中双眼鏡で探しまくってたからな。

「まぁその分後は楽させて貰うからあとは頼むよ」

そう言い銃を清掃し、ブラシを銃身につっ込む。

すると無線機が慌ただしくなる。

『北の防衛ラインで接敵! 相手はゴブリンだ! 後ろからホブゴブリンも走ってきてる!』

無線の中の銃声と外から響く銃声結構近い。

『突破されそうだ! ってジャム!ジャムった!』

すぐに無線が聞こえなくなる。


隊長が叫ぶ。

「防衛体制! フォーメーションデルタ!」


デルタ? 俺何処?





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