終章-両軍交流会①-
「――ということで、≪銀翼騎士団≫レイル隊のみなさんとの交流会、始めるわよ!」
〈ミストルテイン〉の食堂にてアンナがにこやかに宣言すれば、〈ミストルテイン〉、レイル隊の人々が歓声や拍手で応える。
そうして両部隊の交流会、という名の宴会が幕を開けた。
「思った以上に普通に人が集まりましたね」
食堂に集まった両部隊の人々を見渡してガブリエラが呟いた。
元々この交流会の参加は任意ということになっていた。
〈ミストルテイン〉にしてもレイル隊にしても少し前までは《境界戦争》において敵対していたわけなので、まだ仲良く食事をするということに抵抗がある者も多いだろうという配慮があっての任意参加だったわけだが、割と普通にたくさん参加しているというのが実情である。
「そんな意外か? あっちはともかく〈ミストルテイン〉のみんなは普通にシオンとかガブリエラとかいるんだから今更じゃね?」
「それはそう」
ギルの言う通り、当たり前のようにシオンとガブリエラが船内をうろうろしているわけなので、今更警戒もクソもないというのは実際ありそうな話だ。
ただ、それはそういうものとしても、レイル隊の方があっさりと参加してきていすぎているようにはシオンも思う。
「んー? 流石にもうちょっと抵抗とかないもんなのかね?」
何のきっかけかは知らないがレイル隊の女性と〈ミストルテイン〉の男性船員が普通に談笑しているのを見ると、ほんの少しだけとはいえ心配していたシオンが馬鹿を見たような気分になる。
「あら〜? シオンたちな〜に微妙な顔してるの〜?」
ふらりとやってきたサーシャの手にはワイングラスが。
すでにしっかり酒を飲み始めているのか、ついさっき始まったばかりなのに明らかにほろ酔いの状態である。
「なんかレイル隊の人たちも普通に警戒心とか緊張感がないなーと思いまして」
「いいじゃない、せっかくの交流会なんだから。……それにこっちにはタイチとかがいるんだから今更よ今更」
「「「あ」」」
言われてみれば、〈ミストルテイン〉にシオンやガブリエラがいるように、レイル隊には元人類軍のタイチ・クロイワがいるのだった。
こちらが人外がいるのが当たり前になってるのと同じく、あちらも人間が部隊にいることに慣れてしまっているということらしい。
「それに、ガブリエラがこっちで上手くやってるっていうのは伝わってるから。そういう意味でも安心してるのよみんな。ま、それを伝えたのアタシだけど」
「……一応は手を回してくれてたんですね」
「そんな大袈裟なことじゃないけどね〜。お酒は楽しく美味しく飲みたいじゃない?」
「アナタたちもちゃんと楽しみなさいよ〜」と去っていったサーシャを見送って、ガブリエラとギルと顔を合わせる。
わずかに引っかかっていたこともサーシャのおかげで理由がわかったので、シオンもガブリエラも特に気になることはない。(ギルは最初から気にしていなかったので除外だ)
であれば、サーシャの言う通りこの場を楽しめばいいだけである。
「≪魔女の雑貨屋さん≫のデリバリーだから、普段食堂に出ないようなメニューもわんさかあるはずだよ!」
「ええ、あちらで京都で少しいただいたワショクを見かけましたので、私はそれをいただきたいです!」
「俺はあれだ。パーティー会場とかで見るようなデカいローストビーフ!」
気になることがすっかり解決したシオンたちは、交流会を楽しむべく料理の並んだテーブルへと突撃するのだった。




