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【完結済】機鋼の御伽噺-月下奇譚-  作者: 彼方
終章 選び取った未来
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終章-双刃を振るうもの-


シオンたち〈ミストルテイン〉の目的は、クリストファー・ゴルドの掲げる多くの犠牲を前提とした“封魔の月鏡”消失計画の代わりになる解決策を実現すること。


そして、月守家で手に入れた諸々の情報から、“実現”のための第一歩である解決策の“立案”自体は順調に完了したこととなる。


続く“実現”に関しては、具体的な方法を大妖怪である玉藻前と≪始まりの魔女≫であるミランダ・クローネの協力の元、検討中。

彼女らの知識を頼りに、具体的な“封魔の月鏡”の書き換えプランとそのための術式の準備を進めているわけだが、それに関してはシオンたちにできることはあまりない。


古く、複雑な魔術への干渉となると、シオン個人であれば多少力にはなれるかもしれないが、玉藻やミランダには及ばないし、半端な知識しか持たない者が下手に横槍を入れるよりも専門家に全て任せる方がいい。


よって、それらの問題については彼女らに一任して待つということで話がついている。


そういった事情により、ひとまず代わりの解決策に関してシオンたちにできることはなくなっているわけではあるのだが、だからと言ってのんびりできるほど世界は平和ではないわけで。


『――アンノウン反応、多数確認! 海中および空中に中型・大型の群れが展開しています!』

『海中にいるのがちょっと厄介ね……とりあえず機動鎧各機出撃!』


アンナの号令でシオンの操る〈トリックスター〉が〈ミストルテイン〉から飛び出す。

戦闘機形態のまま一気に上空の群れへと突撃する。


「とりあえず大型を一体仕留めておきます!」


中型の雑魚たちを避け、人形に翼を生やした悪魔のような外見の大型アンノウンに向かう〈トリックスター〉。

十分に距離を詰めたところで、機体正面に向いている〈ドラゴントゥース改〉の砲門を開く。


発射(ファイア)!!」


迸る閃光が大型アンノウンを守る防壁を易々と貫き、そのまま頭部を消し飛ばす。

頭が跡形もなくなった大型アンノウンは悲鳴をあげることもなくそのまま海へと真っ逆さまに落ちていった。


「次行きます!」


上空にはまだもう一体の大型アンノウンがいる。

すぐさま残る大型を仕留めるべく旋回しようとしたシオンだったが、


『いや、もう一体は俺がやる』


冷静に名乗り出たのはハルマだ。そしてその発言と共に〈ミストルテイン〉から一直線に大型アンノウンに向かう機影がある。そして、


『斬る!』


機影と大型アンノウンが交錯した刹那、大型アンノウンが胴のところで上下真っ二つに分かれた。

綺麗に二つに分けられてしまった大型アンノウンが叫びを上げながら海に向かって落ちていき、二つの大きな水柱をあげる。


そんな水柱の中、空中に悠然と佇む機動鎧は〈セイバー〉ではない。


赤のカラーリングや基本的なシルエットに〈セイバー〉との大きな違いはないが、接近戦でより力強く刃を振るうことができるようにと〈セイバー〉よりも両腕は大きくなっており、〈セイバー〉の頃から振るわれていた〈アスカロン〉に加えて、もう一振り――〈アメノムラクモ〉の力を最大限引き出すべく十三技班の総力を上げて生み出された新たな兵装、〈クサナギ〉が握られている。


かつて試作二番機と呼ばれた、新型機動鎧。

シオンとガブリエラが人の世の安寧を託した“世界を守る力”のひとつ。


与えられたその名は〈スサノオ〉。


古き神の名を与えられた機動鎧は、すぐさま周囲の中型アンノウンたちを相手に大立ち回りを演じ始めた。


「(ああ、やっぱりハルマに任せて正解だったな)」


大型アンノウンをシオンにも劣らない手際で難なく葬り去り、二振の大剣を自らの一部かのように振るって次々と中型アンノウンたちを斬り払っていく姿はなんとも頼もしい。


元からハルマを信じて託したものではあったが、こうして実際に彼が〈スサノオ〉を勝つ姿を前にして、改めて自分たちの選択が正しかったこと。

それどころか、彼がシオンたちの期待を越えていくであろうことを確信した。


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