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【完結済】機鋼の御伽噺-月下奇譚-  作者: 彼方
序章 はじまりは災いと共に
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序章-見つめる者-

アンノウンの襲撃により人工的な明かりの一切が消えている人工島。


普段ならば考えられないほどの暗闇に支配された街中を月明かりと発電施設の爆発による爆炎が照らす中、一際強い閃光が周囲を一気に染め上げた。

エナジークォーツの破壊による、強大な魔力の爆発。爆炎をはるかに凌ぐ光は暗闇を照らすだけではない、大型アンノウンにも大きなダメージを与えた。


続いて空中に浮かぶ〈ミストルテイン〉から複数のミサイルと砲弾が光の点となって大型アンノウンへと向かい、魔力防壁の弱まった大型アンノウンを襲う。


防壁を突破された大型アンノウンの悲鳴のような叫びが響く中、さらには地下での爆発から飛び出してきた〈アサルト〉の〈ドラゴンブレス〉が襲う。


今までの力を失った防壁は、最初の見立ての通り〈ミストルテイン〉の砲撃により完全に砕かれ、動きの鈍い大型アンノウンは〈アサルト〉と〈ミストルテイン〉による集中砲火を避けることもできず、無防備に攻撃を受けるばかり。


ここまでの苦難は何だったのかと思うほどの、あっさりとした幕引きとなった。




そんな大型アンノウンの最期を見つめる人影がひとつ。


戦いの繰り広げられていた工業地帯から遠く離れたビルの屋上。戦いの炎からも遠く、月明かりくらいしか光の無いその場所に、暗闇に溶け込むような黒で身を覆い尽くした小さな人影があった。


「…………」


人影は言葉を発することもなく、静かに戦いの様子を見つめる。

顔は黒いフードで深く隠され、その目や表情を確認することはできない。

それでも、人影の纏う空気はどこか物悲しそうにも見えた。


最後に、遠く離れたこの場所まで届くほどの断末魔が響き渡り、大型アンノウンはその巨体を地面に伏せた。その動向を見守った人影はそのまま一分ほど大型アンノウンの亡骸を見つめ、踵を返す。


ゆったりとした足取りで数歩ほど歩いた人影は、そこで霧のように消えた。


足元から黒い霧に姿を変えるかのように消え去ったその人影の痕跡はどこにもない。


この場所に何者かがいたという事実は、誰にも知られることはないのだった。


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