1 男子高校生のケモミミは需要があるのか?
初投稿です。
よろしくお願いいたします。
窓際から小鳥の囀りと、暖かい日差しが僕を微睡から覚醒させる。
徐に上半身を起こして、大きく両手を上げて伸びをする。
ふあ……と、口から声が自然に漏れる。
昨日はゲームをやりすぎて、夜更かししたせいか、まだ眠い。
眠いけど、今日は月曜日、つまり学校へ行かなければならない。
僕は覚悟を決めて、ベッドから出て、洗面所へ向かう。
廊下を出たところで、1階から母さんの声が聞こえた。
「卓~?顔洗ったら、朝ご飯出来てるから~」
僕を監視してるのか、いつ部屋から出ても母さんから声がかかる。
不思議だ。
「は~い……」
1階に返事を返すと、僕は2階にもある洗面所に向かう。
何か、パジャマに違和感を覚えながら、鏡の前に立つ……
「え?」
僕、末原卓也17歳、私立扶桑高等学校3年、平均よりやや低い身長以外はごく普通の男。
だが、鏡に写っている僕の姿は……
僕の頭の上には、狐(犬?)の尖った耳が付いていた。
そして、パジャマのズボンの後ろからは、フサフサしたシッポが大きく膨らんで立っていた。
「えええええええ~~~~~~~~~~~~~!!!!!!?????」
末原卓也17歳、本日からケモ耳とシッポが生えました・・・・・・
「って、誰得だよ!!!!」
僕は、頭に生えている耳を触る。
触ってる感覚がある。<
試しに耳を動かしてみる。
ピコピコ……
ペタ…ピン…ペタ…ピコピコ……
うん、任意で動かせるな。
まるで本物の様だ……
いや、現実逃避はよそう。これは僕の耳だ。
認めたくはないが、僕の耳。
では、今まであった僕の耳はどうなっているのか?
そっと、触れてみる。
「あれ?」
ユルフワな薄茶色の髪の毛に隠れてる耳に触れる。
ある。
人の耳がある。
「耳が…ある…」
いや、何を言ってるのか分からないかも知れないけど、僕にも分からない。
つまり、僕には、耳が4つあると言う事だ……
「どういう事だってばよ?」
暫し鏡の前でケモミミを見つめていると、いきなり母さんが声を掛けてきた。
「卓~!いつまで顔洗ってるの?ご飯冷めちゃ…う…って…卓その耳!?」
「あ…いや、これは……」
僕は思わず耳を手で隠した。
「いや~~~~ん!カワイイ~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
「へ?」
母さんはそう叫ぶと、僕に抱き着いてきた。
「ちょ!母さん!?」
「いや~ん!卓がモフモフになってる!」
母さんは僕のケモミミをナデナデ、ツンツン、ピンピン、グリグリと好き放題弄りまわす。
僕の母さん末原美香、もうすぐ40になるのに、20代後半にしか見えないその外見と一緒で、中身も若い。
いや、精神はお子ちゃま?と、思うほど幼い。
僕より幼いんじゃないかと、時々思う。
そんな母さんが、嬉々として僕のケモミミをいじくり倒す……
「ちょ、ちょっと!母さん!だめ!やめ……」
母さんの絶妙なもふりに、僕は意識を飛ばしそうになった。が、何とか耐えて、母さんを引きはがす。
「もう!何やってるの母さん!!」
「え~~……」
「え~じゃありません!息子が謎のケモミミになって、悩んでるのに!!」
「だってカワイイよ?卓にすごく似合ってる!女の子みたいだよ♪」
「女の子みたいって言われて、喜ぶ男はいないよ?正せさえ背が低いのに!!」
「いやいや、卓は小っちゃいからカワイイのよ?」
「それ、男には屈辱でしかないから……」
「そんな事より、朝ご飯!ほら!行きましょ!」
無理やり会話をぶった切って、僕の手を掴んで引っ張る母さん。
この人にとって、僕のケモミミはカワイイ以外何でもないようだ。
母さんについて1階に降りるて、キッチンに向かうと、そこにはお隣の幼馴染の日奈子がいた。
「おはよ~たっくん!先に頂いてるよ~♪」
森野日奈子、同い年の17歳、同じ扶桑高校、同じクラス。
所謂腐れ縁というやつだ。
黒髪ロングを、後ろで纏めてのポニテ、小柄ながら出るとこは出ているナイスバディ。
ミス扶桑に2年連続上位に入る彼女だが、女子力はどこに忘れた?ってほど、男前なハンサムだ。
小さいことは気にしない。大らかな性格は、男子より女子からの人気が高い。
両親が海外出張で独り暮らし。
こうして、朝と夕飯を家に集りに来ている、女子高生。
それ、何てラノベ?
まぁ、それは良い。それよりも、ヒナは僕を見て、普通に挨拶して、何事もなく食事をしている。
「ヒナ、おはよう。って、それより何か言う事は無い?」
そう言うと、ヒナは俺をジロジロ見て、一言言った。
「うん…いつもより可愛くなってるね?うん!似合ってるよ!」
ニッコリ爽やかな笑顔を返すと、再び食べ始めた。
そうだな、ヒナはこういう奴だった。
僕は、一つため息を吐くと、自分の席に着いて、母さんが用意した朝食を食べるのだった。




