表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
99/253

助けて、木草樹様!

「……で、我にどうしろというのだ。貴様ら」

「だから、この【ファン】ちゃんを強制進化させて、龍種まで階層をあげてほしいのよ」

 未だボロボロ状態の大木の前で、私は会話蛙を掲げて、木草樹様へお願いに来ていた。

「ひぃぃいいいい……」

 すっかり、怯えと恐れ多いので、縮こまってしまっているファンちゃん。

 そんなに、緊張しなくてもいいのになぁ……。

 ちなみに今回、ヌメっちは置いてきた。

 これには理由があって、私一人でやったほうが色々と都合がいいからなのだ。

 だって、この時代の木草樹様は、アダモゼウスに釘を刺されたばかりの頃なので、私に一切の手出しが出来ない。

 加えて、今回は脅し材料の【魂刀:ブルーウイング】もあるしね。

 もし、このお願いを断ろうものなら、あの時の恐怖をもう一度思い出させてやってもいいかもしれない。

「ふっふっふっふ……」

「……その薄気味悪い笑顔を止めい!……はぁ、仕方ない。今回だけ特別に我が折れよう。但し、我にも威厳というものがある……。今回の事は、誰にも言うでないぞ?」

「へっへっへー、分かっとりますぜ、木草樹の旦那ぁ!私への100年の拷問、これで手打ちにいたしやしょう!」

「卵よ、お前は本当に調子の良いやつだな……。まぁ、その性格は嫌いではないがな」

 今回は、突然の訪問という事もあり、木草樹の周りには誰もいなかった。

 まぁ、四方をそれぞれの番人が守っているし、この世界に木草樹を滅ぼせるものもいないだろうし、これが本来の警備体制なのかもしれない。

 ちなみに、現在の時間軸はというと、蜘蛛への転生から3か月後、ボンキュボンのおねーさんから一か月後となっている。

「さぁ、その蛙を大地へ置け。進化を始める……」

 私は、木草樹の言葉に、ファンちゃんをそっと大地へ下ろした。

 次の瞬間には、ファンちゃんの体から赤いオーラが立ち昇り、赤から青へ、青から黒へと色が変化していった。

 ……私は馬鹿だった。

 改めて、木草樹の【進化】を目の当たりにした感想がそれだ。

 何が【変身】の方が、優れているかもしれないだ……。

 完全に自分が調子に乗っていたことを思い知らされた。

 私の【変身】の欠点である、寿命制限。

 それが、木草樹の【進化】には無かった。

 木草樹は、一度生物の時間を胎児まで戻してから、細胞を変質させて強制成長させたのだ。

 生物の時間操作……。

 私もまだ使用できない【空間魔法】【時間魔法】系統の力……。

 この世界最強で最高権力を持つ植物は、やはり私なぞ足元にも及ばないところにいる。

 そして、その化け物をここまでボロボロにした、この世界【外】最強で最高の権力を持つ神様に抗おうとする私。

 ……泣けてきた。

 私が涙目になっていると、目の前の黒い繭が割れて、可愛らしい女の子が姿を現した。

「え?え?私は、どうなったでありますか??」

「おー、可愛い!木草樹様、やるじゃない!!」

「当然であろう。さて、無駄な力を使ってしまった……。今宵は、もう休みたい。早々に立ち去れい!」

「ほいほい、ありがとうね、木草樹様!」

「別によい……」

 なんか、最後は照れくさそうな感じがしたなぁ……。

 まぁ、いっか!

 私は、【進化】を完成させて可愛い女の子になったファンちゃんを連れて、ヌメっちのところまで戻ったのだった。


 名前:ファン

 種族:龍人たつびと

 性別:♀

 HP:326/326

 MP:198/198

 力:791

 防:791

 速:791


「なんや、この超バランス型は……。しかも、ちゃっかり龍人ってお前!?」

 ファンちゃんを視たヌメっちの第一感想がそれだった。

「いや、普通はさ……可愛い見た目とか、そっちを褒めるのが先じゃないのかな?」

 ヌメっちの前で、照れて顔を真っ赤にしているファンちゃんが可哀そうで、ついそんなフォローを入れてしまった。

「まぁ……確かに可愛いとは思うけど……可愛いんのは、見慣れとるしなぁ~……。それよりも、生意気なステータスの方が腹立つわ!ワシでさえ、まだ龍蝦蟇人たつがまびとだっちゅーのに!」

 ちなみに、龍蝦蟇人の上の進化が、龍人である。

 ファンちゃんは、既に蝦蟇種族を超えて、龍種へグレードアップしていたわけだ。

「あ、あの……私は、どうしたらいいでありますか?」

「とりあえずは、ワシが鍛えたるけど……、龍種族やったら、一番近い竜種族に色々教わったほうが良いんちゃうかな?種族的には、ワシの半龍種も、竜種も、龍種の下なんやけどな……」

 劣等感溢れる顔で遠くを眺めるヌメっち。

 まぁ、この子、550年近くず~っと半龍種だからね。

 そりゃ、劣等感も感じるか……。

「う、うす!では、よろしくお願いするであります、先輩!!」

「せやな……とりあえず、腹が減ったんで、蛇飛蝗5匹捕まえてきぃや。これを、最初の修行としよか……」

「はっ、はい!でも、自分に蛇飛蝗なんて捕まえられるでしょうか?母も兄弟も食べられてしまっているやつでして……」

「ああ、ワシも姉が逝かれてたな……。ま、大丈夫や!自分の新しい肉体と、力の技試しみたいな感じで行ってきぃや。絶対に負けん!」

「う、うす!行ってくるであります!!」

 そう言って、ファンちゃんは、私たちの目の前から消えていった。

「どうするの?」

「さっきも言った通りや……。とりあえず、基本的な事だけ仕込んで、北を守護してる竜のおっさんにでも引き渡すわ。あのおっさん、情報担当で人手不足を嘆いてたしな……。竜だし、蛙のワシより教わることも多いやろ」

 うっかり助けてしまった蛙の子だったけど、なんとかこれからも【サルト】で生きていけそうだ。

 うん、無理して木草樹様へお願いした甲斐があったわ~。

「あ~、良かったぁ……」

 ん?なんか私の顔をヌメっちが見つめていた。

「どうしたの、ヌメっち?」

 私が声を掛けると、ヌメっちは慌てて視線を逸らして、前を向いた。

 そして、急に真面目な顔になると、静かに口を開いた。

「なぁ……、卵。お前は、ホンマに優しいなぁ……」

「ん?」

「せやから、たまに不安になるときがあるんや……。ワシに言えば負担になりそうなことを、隠してしまうんやないかって……」

「……」

「ワシは、卵の親友や!それは、何時でも変わらん!せやから、もしどないしても困ったことがあったら、頼ってほしい。それだけは、ワシと約束してほしいんや……」

「……分かった」

「ホンマ、頼むで……」

「私、多分あと90年くらいしか、この世界に留まれないと思う。木草樹よりも遙かに強い神様と追いかけっこが始まるから……」

「……そうか」

「それでね、ヌメっちにお願いがあるんだけど……」

「なんや?」

「追いかけっこが始まる10年前に、私と手合わせしてくれない?色々と技とか調整したいんだ~」

「ええよ。……その代わり、ひとつだけ条件があるで!」

「何?」

「負けたほうは、何でも勝者の言う事を聞くってのは、どないや?勝負事ってのは、何か賭けんと盛り上がらんやろ?」

「いいねぇ~……乗った!」

 真面目な雰囲気から一変して、私とヌメっちは、お互いに顔を見合わせて汚らしく笑った。

 私は、ヌメっちに勝ったら、どんなことをお願いしようかな?と想像を膨らませて、楽しんだのだった。


 アダモゼウスが回収に来るまで、残り90年。

 

 <今回の転生先で得たもの>

 ・【変身】の固定姿

 ・親友との約束

 ・親友とのお願い事

 ・友人【ファン】ちゃん

ヌメールは、可愛い子を見慣れているようですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ