覚醒素材が集まりました。 覚醒しますか? ➡はい いいえ
青卵から【巣作蜘蛛】へ転生するまでにかかった年数は、120年である。
その間には、色々なことがあった。
魔女にも転生したし、能力拳法も色々覚えたし、魔法も特訓したし、魔法の開発もした。
ただ、【巣作蜘蛛】の素性が分かって、蜘蛛へ転生した私が青卵を助けたのだと気が付いてからは、がむしゃらだった。
【歩み】を視ることは、止めなかったけど、整理している時間なんかなかった。
ただただ、自分とヌメっちを鍛えることに必死だった。
時間があれば、別荘で新魔法や魔法道具の作成や研究ばかり……。
正直、楽しい魂生を送れてはいなかった。
辛く必死な毎日だったように思う。
少し前に、恭太くんに会えて本当に良かった。
おかげで、余裕とゆとりを持って生きていくことを考えることが出来たからね!
もし、会えていなかったら、今も必死に【アダモゼウス】に抗う方法を模索し続けていたと思う。
120年もの【歩み】を整理せずに、ほったらかしにしたまま……。
「本当に馬鹿だわ、こんなにも強くなるヒントが散りばめられていたというのに……」
私は、木草樹から【成長】と【進化】の知識を貰った。
【進化】とは、生物が生活環境に最も適した姿へ長い年月をかけて変化していくことだ。
つまり、種族の強化である。
そして、【成長】とは、種族の個が、命尽きるまで肉体や精神を強化していくことだ。
ただ、私には、精神の成長は出来ても、肉体の成長は出来ない。
それは、私が魂のみの存在で、肉体は借り物のうえに、一日しかいられないからだ。
……と、今まで私は思っていた。
昔、【テントナル】の戦士へ転生したことがあった。
【テントナル】の戦闘技術は、【退進化】である。
昆虫から人へ進化した者だけが使える特殊技術で、先祖の血の力を借りて、半人半蟲の状態へなることが出来る。
あの時は、まだまだ【歩み】を視る技術をよく理解していなかったし、魂も生まれたてだったので、【退進化】のやり方にたどり着くことが出来なかった。
でも、今なら分かる。
基本的には、この獣人が獣化したのと同じ原理である。
肉体細胞の変化……。
これに、私の持つ【歩み】で知り得た情報が加われば……。
これは、恐らく私以外には辿り着けない領域だ。
……いや、もちろん木草樹やアダモゼウスとかの規格外の連中は除くよ!
初めて会った私が言っていた「なにも、驚くことじゃないよ。整形なんて手術でもできることだ。それに、私は魔力の限り再生できるからね。術後の経過なんて必要ないし」という台詞を思い出し、苦笑する。
あの変化の魔法は、そんな単純なものじゃなかった……。
「ただの整形ですって?笑わせてくれる……」
あれは、【進化】【成長】【獣化】【退化】【再生】を理解して、ようやく辿り着ける魔法だ。
「あああ、くそ……。使用条件は、限られるけど、とんでもない魔法を編み出してしまったわね」
編み出した魔法の名前は、【変身】。
肉体の細胞の情報を【魂糸】で書き換えて、成長を加速させる。
木草樹がやっていた【進化】は、【魂糸】こそ使っていないものの、ほぼ上記と同じ内容だ。
細胞の情報を書き換えて、肉体を強制的に加速成長させる。
すると、どんな生物の姿にでも肉体を変えることが出来る。
正しく言うと、姿だけではなく、筋力や身長なども自在に調整できる。
但し、この【変身】にも欠点がある。
それは、細胞が一生のうちに、分裂出来る回数が決まっているから起こる弊害である。
私の場合、寿命で死んだ生物には、【変身】の魔法は使用できない。
そもそも、この【変身】の魔法は、加速成長するので寿命を削る副作用があるのだ。
もし、寿命で死んだ生物へ転生して【変身】を使用した場合、あっという間に寿命で死んでしまうだろう。
また、【変身】で変化した肉体は、もう一度【変身】を使用しない限り、元には戻せない。
これは、遺族になるべく遺体を返したい私にとって、少し使いどころが難しい魔法になるかもしれない。
とはいえ限定的だが、私は木草樹が使用していた【進化】と同じ力を手に入れたのだ。
いや、自分の思い通りの姿になれるだけ、こちらのほうが上の能力ではないだろうか?
「しかし、まだだ!まだまだ理解した素晴らしいことがある!!」
次に、私は【アダモゼウス】に言われた言葉を思い出していたのだった。




