傲慢な少女
目を覚ますと、そこは真っ黒な砂の砂漠だった。
空は快晴で、頬をくすぐる風が心地よい。
私は、今回の転生先の体を起こして立ち上がると、状況を確認した。
目線の高さから、身長はそんなに高くないことが分かる。
自分の体を見下ろすと、服がボロボロで半裸に近い格好だった。
「ふむ、さすがにこの格好は恥ずかしいな」
私は、ちらちらと見えてしまっている股間や胸を隠すように、ボロボロの服の残り部分を結び合わせて着なおす。
ビキニのような服装になったが、大事な部分は隠せているので問題無し!
幸いにも今回は、人間の少女に転生できたようだ。
「しっかし、あれだね~。随分とまぁ、朽ちた場所だこと……」
久々に声が出せる環境。
そりゃ、独り言の回数だって多くなるさ。
声を出せるってことは、当たり前のことじゃない。
幸せなことなんだよ。
周りを確認するが、本当に何もない。
真っ黒な砂の砂漠が広がっているだけだ。
遥か彼方の空に、ヘリコプターが一機あるのを辛うじて確認できるけど、それ以外は何もない。
「ふむ、この幼女は一体なんでこんなところに半裸でいたんだ?バレるのが怖い露出狂なのかな?」
この私の偏った知識は、前の登山家の影響である。
娘思いのパパの隠された性癖は、露出狂の痴女好きだった。
本当に一部の歩みは、クソ無駄な知識である。
「まぁ、この娘の歩みを確認すればいいか……。それにしても、この体……やけにスペック高い気がするんだよな~」
私は、頭に意識を集中して目を閉じる。
ズキンッ!!
「ぐっ!」
こんなのは、初めてだった。
歩みを確認するときに頭痛がするなんて……。
膨大過ぎる知識に私の魂が悲鳴を上げているようだ。
ってか、一応私の魂って神様ベースなんでしょ?
その魂が悲鳴をあげるって何よ!
ズキンッ!!
「むむっ!」
・実年齢736歳
・女王国【ズラーヌ】の国王
「なるほど……、こりゃ……どえらいもんに転生してまったでぇ……」
自分の転生先を理解していくにつれ、額に汗が浮かぶ。
圧倒的な権力と力で【ズラーヌ】国の女王として君臨し、彼女を崇める宗教国家を創り出した化け物。
木草界に存在する十二の国の一つ【ズラーヌ】を管理する【五代月詠】の名を持つ少女。
通称【5番目の傲慢】と呼ばれる魔女であった。
今回は、非常に長くなりそうなので、分割です。