青卵の後
今回は、青卵の転生後の話です。
「ただいま~……」
疲労困憊のまま、私は別荘へやってきた。
「おかえりなさい……って、随分と疲れてるみたいね。何があったの?」
「ああ、ちょっと青い鳥になってきてたわ」
私が別荘に入ると、3人の私がいた。
一人は、大柄な男で、もう一匹は、子猫だった。
そして、声を掛けてきた私には、見覚えがあった。
それは、過去に転生したことのある姿で、可愛らしい少女だった。
確か、餓死した女の子だったかな?
まぁ、今となってはどうでもいい。
それよりも、速くお茶を飲んでMPを回復させないとまずい……。
私は、無言で大柄の男が飲んでいた【神葉茶】をがぶ飲みすると、少女に御代わりを要求した。
「えぇ~、自分で飲む分くらいは自分で淹れなさいよ」
「いや、もうね、色々なことがあったのよ……。もう、MP32しかないし……」
私はぐで~っと机に突っ伏すると、お茶の御代わりが来るのを待った。
私が、結構ヤバイ状況なのを感じ取ったのか、少女卵は、大慌てでお茶を淹れに行ってくれた。
少女卵が台所へ姿を消すと、大柄卵と子猫卵が私の肩を軽くポンと叩いてくれた。
「「お疲れさん!」」
二人の声が重なって聞こえた。
ああ、この二人はやっぱり未来の私なのね……。
さっき、「青い鳥になった」と言った時に、「あっ……(察し)」みたいな表情をしたから、もしやと思ったけど、間違いないようだった。
「いやぁ~、100年は流石に長かったわ……。もう疲労困憊よ……」
「そうでしょうね、まぁ、今回はゆっくり休みなさい。【歩み】も視なくて大丈夫!どうせ、大した転生体じゃないわ……」
「うん、そうするー」
青卵の後に転生したのは、運よく【ウラヌス】のおばあちゃんだった。
親族が涙を流しながら、手を握っていた中に転生してきたから非常に居心地が悪かったけど、今回ばかりは、色々と無視してここまで来させてもらった。
だって、【神葉茶】を飲まないと、私が消滅してしまうほどMPを消費してしまっているのだ。
背に腹は代えられない……。
私が転生した後にでも、他の私にこの遺体を返しに行って謝ってきてもらおう。
「まぁ、でも無事に転生で逃げられてよかったわね」
「うん~、なんかナイスミドルなおじさまが助けてくれた~。今度会ったら、お礼言わないと……」
私の言葉に微妙な顔をして、お互いの顔を見る子猫卵と大柄卵。
何かあったのかと尋ねたかったが、もう質問するのも億劫なほど疲れていた。
「まぁ、気が向いたら、そのおじさんの事を調べてみなさいな。私達には【歩み】があるから、一度見たことや覚えたことは、絶対に忘れないからね!」
子猫卵が顔を洗いながら、私に助言をくれた。
……こいつ可愛いな。
この様子を動画で撮れば、再生数かなり稼げるんじゃね?って思えるような仕草だった。
「そうね、それがいいわ!……まずは、疲れた体を休めなさい。上でベッドの支度をしておくわ」
それに比べて、このおっさんは可愛くないなー。
言ってくれている内容は、すごく優しくてありがたいのだが、もう見た目で色々と台無しである。
この100年でMPの最大値も大幅に上がったし、色々な技術も覚えることが出来た。
それどころか、【進化】と【成長】についての根本まで理解してしまった。
経験としては、マイナスどころか大幅なプラスなんだけど、なんとも釈然としないのが心情である。
だって、結構キツイ目に遭わされ続けたもんね~!
「はぁ……」
私の大きなため息を見た子猫卵がくすりと笑う。
「ため息を吐くと幸せが逃げるって言うわよ。さぁ、飲み込みなさい」
「どうやってさ?」
「それは、もちろん……」
「ほーい!お待たせー!お茶の御代わり持ってきたわよー!」
ちょうど良いタイミングで、少女卵が【神葉茶】を持ってきてくれた。
不思議なお茶菓子と一緒に。
「お茶とお菓子っていう幸せと一緒に飲み込みましょう。さぁ、そのお茶菓子にもMPを回復させる効果があるわ。みんなでいただきましょう♪」
私は、あの拷問のような日常から帰ってこられたことに、喜びを噛みしめながらお茶菓子を頬張った。
やっぱり、なんでもない日常って素敵だわ……。
願わくば、こんな幸せな日々が毎日続きますように……。
そう祈りながら、私は素敵なティータイムを過ごしたのだった。
目尻に浮かんだ喜びの涙を隠しながら……。




