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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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危険物取扱免許無し

「正直に答えなさい」

 普段の人を小馬鹿にしたような口調は消え、言葉に明らかに怒りの感情が混じっていた。

 アダモゼウスは、空中に浮かび、木草樹の前で仁王立ちしていた。

 下からでは、表情は見えないが、相当イライラしているんじゃないかと思う。

 腕組みをしていた右人差し指が、休みなくトントン自分の腕を叩いていた。

 私は、二人の意識がアダモゼウスにいっているうちに、【自己強化再生】で肉体の損傷を回復させた。

 今後、どのような展開になっても、すぐに行動できるように、アダモゼウスと木草樹のやり取りを見守った。

「まず、何故あなたは、界宝への力の供給を止めたのかしら?私が創り出した道具なのよ?バレないとでも思った?」

「……いえ、しかし、母上様。今回ばかりは、仕方が無かったのです!私の最高傑作である生物が殺されるところだったのです!そのために、致し方なく……」


 ブヴン


 不思議な音がして、アダモゼウスの右手から光が溢れる。

 手刀を繰り出すかのように手を真っすぐに伸ばして、指先から板状に形を変えた魂を出す。

 右腕全体をオーラのようなもので包み込み、アダモゼウスは剣を完成させた。

「もしかして、最高傑作ってあの青い鳥もどきのこと?」

「そうです、お目が高い!!流石は、母上様!!!私が、100年掛けて育て上げた最高傑作!!!」

「本当に、お前は馬鹿だ……。まさか、核弾頭で遊び続けていたことに気が付かないとは……」

 アダモゼウスが、怒りに任せて思いっきり右腕を振るう。

「ぎゃあああああああ!!!!!!!!!!!!」

 木草樹が、全身を大きく震わせて絶叫をする。

 上を見上げると、木草樹が伸ばし続けていた枝や葉っぱが、大量に地上目掛けて落下してきていた。

 円状に伸び続けていた枝が、アダモゼウスの一振りによって、綺麗に一直線に刈り揃えられてしまっていたのだ。

「キィャアア!!!」

 木草樹を傷つけられたことで、青卵の攻撃対象は、私からアダモゼウスに移ったようだ。

 奇声をあげながら、アダモゼウスへ向かっていく。

 心なしか先ほどの【木緑樹草種花きりょくじゅそうじゅか】よりもオーラの色が濃かったように見えた。

「うざい」

 その一言で、青卵は、首だけを残して、この世から消滅した。

 ゴロンと落ちてきた生首と私の目が合う。

 生首は、私を見てにっこりと笑うと、そのまま表情を変えることは無かった。

 ああ、この光景が、木草樹から解放された死の間際に見た光景なのか。

 それで、【巣作蜘蛛すづくりくも】に助けられたと勘違いしたんだな……。

「ああ……、あああああ…………」

 青卵を殺された木草樹から、絶望の声が聞こえた。

「本当に無能……、100年掛けて育てた生命がこの程度……。しかも、偶然この世界に生まれ落ちた戦闘の天才程度に後れを取る始末」

 ちらりと、私を見るアダモゼウス。

 ……確かに100年掛けて手塩に育てた生物が、たまたま生まれた天才にボコボコにされたら、面白くないか。

 というか、100年の研究の意味がないよなぁ……。

「まぁ、私が本当に怒っているのは、そこじゃないわ……。私に黙って進化生物を創ったことも、界宝への力の供給を断ったことも、今回は不問にしましょう」

 その言葉に、一瞬だけ木草樹が喜んだように感じた。

 しかし、その次の言葉で、すぐに地獄へ叩き落されることになる。

「あんたは、私の修行の邪魔をした。しかも、100年間もだ!卵は、私自身の分裂させた魂なのよぉ~……。あんたは、私の邪魔をした!それが、一番許せない!!!!」

 アダモゼウスが右手に創り上げた魔法の剣を、2回振り下ろした。

「ひぃぃいいい!おおお、お許しを……母上様ぁあああああ!!!」

 下から見ると綺麗な円状で立派に成長していた木草樹の枝は、無残にも三角形に伐り揃えられてしまった。

 それだけでは、怒りが収まらなかったアダモゼウスは、握った左拳にオーラを纏わせると、思いっきり木草樹を殴りつけた。

 木草樹の幹が激しく揺れて、殴りつけた右部分が若干欠けてしまっていた。

「い~ぃ、木草樹ちゃん♪次に、卵ちゃんに手を出したら、流石に伐採するわよぉ?お・ぼ・え・と・い・て・ね☆」

「は……はい、母上様…………」

 全身をガタガタと震わせて、すっかり意気消沈してしまった木草樹様。

 ぶっちゃけ、いい気味である。

 それにしてもあの剣、便利でいいなぁ……。

「あらぁ~、この剣が気になるかしらぁ?これは、私が一番得意な魔法のぉ~神刀しんとう【アダモロス】って言うのぉ~♪カッコいいでしょ!」

 にやにやと嫌な笑顔をしながら、私の前に降り立つアダモゼウス。

 ご丁寧にも、私が剣を見ていたことを察して説明までしてくれた。

 ……さて、一難去ってまた一難だ。

 アダモゼウスは、まじまじと私を見ると、困ったように首をひねった。

「本来ならば、そろそろ回収しても良さそうだけど……なんか、ちょっと惜しいというか、物足りない感じがするわねぇ~……」

「そりゃ、まぁ……100年、誰かさんのせいで無駄に過ごしましたからね……」

 私の言葉に不機嫌になったアダモゼウスが、木草樹を見上げた。

 ヒィっと短い悲鳴をあげた木草樹に、問答無用で火球を打ち込む。

 

 ボグォオオオン!!!


 派手な音がして、木草樹の表面が大きく焦げる。

 アダモゼウスの突然の暴力行為に対して、木草樹は何も言わなかった。

 木草樹は、ひたすらアダモゼウスの仕打ちに耐えることにしたようだ。

「それは、そうよねぇ~♪ごめんなさいねぇ~、あの馬鹿のせいで……」

 アダモゼウスは、簡単に頭を下げた後に、顎に指をあてて何かを考えだした。

「ん~、……じゃあ、こうしましょう♪」

 そして、何かに思いついたように、手を叩くと、笑顔になって口を開いた。

「木草樹に捕らわれていた100年分、追加で修行してちょうだい。100年後に、私自ら回収しに行くわぁ~♪」

「!?」

 それは、私にとって余命宣告のようなものだった。

 ぶっちゃけると、木草樹に捕らわれていた100年間、私は何もしなかったわけではない。

 操られてこそいたが、きっちり木の実の中で修行を続けて、強くなるように努力し続けていた。

 それに加えて、【進化】や【成長】という、貴重な情報まで得ることが出来た。

 つまり、木の実の中での100年間も、私はしっかり成長していたのだ。

 そして、今の私の年齢は250歳だ。

 250年間、強くなるために努力し続けて、辿り着いたのが今の私の状態である。

 アダモゼウスは、今から100年で転生生活を終えろと言っているのだ……。

 あと、100年ぽっちで……。

 それまでに、アダモゼウスとやりあえる力をつけなければいけないの?

 木草樹の育てた青卵にさえ手を焼いた私が、木草樹本体を簡単にいなしたアダモゼウスと?

 一気に目の前が真っ暗になる。

 正直、時間制限なんて無ければ、少しは希望もあっただろうと思う。

 だが、100年でアダモゼウスをどうにかする手段が見つかるとは思えない……。

 心がへし折れそうだった。

「さぁて……私は、行くわねぇ♪木草樹ちゃん、くれぐれも木草界の事……頼んだわよぉ?」

 一瞬、木草樹を睨みつけて、アダモゼウスは去っていった。

 一体どういった移動手段を取ったのか分からなかった……。

 圧倒的な力の差をまざまざと見せつけられて、私はすっかり疲れ果ててしまった……。

「……界宝の力の供給を止めたのが、母上様を呼び寄せる引き金になってしまったようだ。お前、計算してそれをやったのか?」

「そんなわけないでしょ……。私も出来れば会いたくない人物なのよ」

 私と木草樹は、同時に大きくため息を吐いた。

 私を100年間も苦しめていた植物とこんなところで、シンクロするのが腹立たしい。

 でも、もう色々と疲れてしまった。

「木草樹、あんたこれで、ヌメっちを東の番人として認めなさいよ!流石に、もう懲りたでしょ?」

「むしろ、願うところだ……。我は傷つき過ぎてしまった。しばらくは、傷の療養に時間を割きたい。私を守る蟲達は、一匹でも多いほうが良い。そして、それは強いほど良い……」

 明らかに疲労困憊状態の木草樹。

 今日は色々あったからね、私も貴方も……。

 まぁ、なんにせよ、これで無事に【サルト】の東の守護蛙【ヌメっち】の誕生である。

「やったね、ヌメっち!」

 私は、未だ気絶している親友に笑いかけた。

 そして、ようやく掴んだチャンスを逃さないためにも、立ち上がってもう一仕事する支度にとりかかる。

「さて、木草樹。悪いけど、アダモゼウスに伐られた枝や葉っぱ貰うよ?平気?」

「ふぅ~、好きなだけ持っていけ……。よもや、卵が母上様の魂の分体だったとは思わなんだ……。私は、知らず知らずのうちに危険な玩具で遊んでしまったようだ……」

 相変わらず、トゲのある言い方をする植物である。

 まぁ、今の木草樹は、私が見ても可哀そうになるくらい傷だらけの状態だ。

 毒づきたくなる気持ちも分かるので、今回は突っかからないで、無視して仕事にとりかかろう。

 私は、大量の木草樹の葉っぱと枝を【魂糸】でまとめて、【転送】で【ウラヌス】へ運んだ。

 今年は、ようやく【ウラヌス】が世界に国として認められた記念すべき時代だ。

 そんな記念すべき時期に、木草樹の枝と葉っぱが大量に習得できたのは神様の思し召しだった。

 ……リアル神様のね。

 これで、もうMPには困らないだろうと思えるくらいの物を大量に倉庫へ預けることが出来た。

「さてと……、じゃあ対策を考えるか」


 この後、私は【サルト】へ戻って、新番人の就任式を蟲達や木草樹と共に挙げたのだった。

 ヌメっちは、東の番人へ無事に就任。

 私も、木草樹の周り以外なら【サルト】を自由に歩き回ってもいいという許可を頂いた。

 つっても、722年後の木草界限定だけどね。

 今回は、疲れすぎたようで、就任式の料理を食べた後は、死んだように眠ってしまった。

 辛うじて、転生する直前に起きて、ヌメっちにバッジを渡すことが出来たが、それで今回の転生は終わってしまった。

 残り、100年。

 私の転生生活のカウントダウンが始まってしまった。


 <今回の転生で得た情報>

 ・進化の情報(青卵)

 ・成長の情報(青卵)

 ・能力拳法【放腐土帰ほうふどき】(極):土へ還る素材なら、腐らせて土へ還す能力拳法。極めている。

 ・能力拳法【勝底密御しょうていみつみ】:あらゆるものの密度を変化できる能力拳法。奥義は、教わっていない。

 ・能力拳法【鬼心爪殺きしんそうさつ】:生物ならば、必ず殺すことが出来る能力拳法。奥義は、教わっていない。

 ・能力拳法【蘇命神奇そめいしんき】:魂が木草樹に飲み込まれていない状態ならば、生き返すことが可能な能力拳法。奥義は教わっていない。

 ・能力拳法【器転自武きてんじぶ】(極):どんなものでも武器として扱うことが出来る能力拳法。

 ・特殊能力【殺盗さっとう】:【巣作蜘蛛】が所持していた特殊能力。相手を殺せば、その殺した相手の強さを盗むことが出来る。(卵は、知識として所持しているだけで、使用できるわけではない)

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