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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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嘘吐いたら針千本飲ます

「ああっ!?」

 体の奥底から溢れていた力が徐々に消え始めた。

「フン!ダメだな、その反則級のアイテムを使用するのは禁止だ……。それにしても、界宝を持ち出すとは予想外だったぞ?」

 頭上から、また木草樹の声が聞こえた。

 こいつは、またしても私の邪魔をしやがったのか!!!

 私は、頭上の木を思いっきり睨む。

 そんな私の姿を見て、木草樹は思わず大きな声を上げて笑ったのだった。

「フハハハハハ!!!界宝九極は、私が創った物なのだよ。私が力の供給をしているおかげで、その効果を発揮しているのだ!効果を断つことなんぞ、容易い!」

 頭に響く笑い声にイライラする。

 ……それにしても、庭鳥さんが貸してくれたのって界宝十極の一つだったのね。

 そういえば、庭鳥さんの名字って、この転生体と同じ【巣作】だったっけ?

 二人の関係性や、このバッジが界宝のなんなのか?とか思ったりもしたが、今はそんなことを考えている余裕は無い!

 私は、ものすごい勢いで体が衰えていくのを感じながらも、青卵へ特攻していった。

 もう、ここを逃したら、それこそ本当に青卵を殺すチャンスを失う。

「ぐああああああああ!!!!!!」

 私は、【放腐土帰ほうふどき】を青卵へ打ち込もうと拳を振り上げる。


 シュン


 風を切る音が聞こえた……。

 その数秒後に、私の腕がポロリとあっけなく地面へ落ち、傷口からおびただしい量の血液が零れ落ちていく。

 拳を振り下ろすより速く、青卵の鉤爪が私の腕を薙いでいた。

「うあああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 200倍に強化された青卵が、叫びを上げ続けている私を徐々に削り取っていく。

 皮膚を、肉を、骨を!!!!

 私が力なく倒れこんだ時には、既にHPは3桁へと減っていた。

 血まみれで寝転がる私を、青卵は冷たい目で見下ろしていた。

 もう、私には為すすべが無かった……。


「フフフ、卵よ。そいつは、殺すでないぞ。私の実験に使うのだからな……」

 木草樹は、卵に続いて凛という素晴らしい実験材料を手に入れられると喜んでいた。

 しかし、この時点で木草樹は大きな過ちを3つも犯してしまっていた。

 まず、一つ目の過ちは、気が付かなかったことだ。

 この魂で転生を繰り返す存在が、どうやって創り出されたのかを……。

 もし、こんな稀有な存在を創った人物に思い当っていたら、こんなことをしてはいなかっただろう。

 そして、2つ目の過ちは、嘘をついたことだ。

 超越蟲は、確かに木草樹が創った物だ。

 しかし、界宝九極に関しては、木草樹が創った物ではない。

 どうせ、誰も答えにたどり着くことなど出来ないと思っているので、自らの力を誇示するために、自分で創ったことにしてしまっているのだ。

 本当は、木草樹よりも上位の存在が創り出した宝。

 それが、界宝九極である。

 最後に、3つ目の過ちだが……。

 これを犯してしまったのは、木草樹最大の失敗だった。

 彼は、自分を育てたあるじともいえる存在である【彼女】との約束を破ってしまったのだ。

 ……その約束を交わしたのは、今から数億年も前の話。

 木草樹の元に自ら創り上げた九つの道具を持って、【彼女】が訪れたのが始まりだった。


「やぁ~♪木草樹ちゃん、元気にしてたかしらぁ~♪お母さんよん♪」

「これは、これは、母上様。ご無沙汰をしております」

「あら、やだん♪そんなに、改まった言葉遣いしちゃってぇ~♪可愛い子だことぉ~♪」

「……母上様、何かご用ですかな?」

「ああ、そうそう。私、この世界にお宝があったら面白いなぁ~って思ったんだぁ~♪」

「……」

「でね、この道具を創ってきたの。みんなすごおい効果があるんだけど、その効果を発揮させるための力を装備者に負担なんかさせたら、あっという間に枯れて死んじゃうような代物なのよん♪」

「……何が言いたいのですか?」

「あら~、随分鈍いわねぇ……。あんたが、この道具への力を負担しなさいって言いたいのよ」

「……拒否権は無いようですが、一つ言わせていただいてもよろしいですか?私が負担をしても相当な力を取られ続けますよ?ただでさえ、木草界の転生の全てを任されているわけですし……」

「馬鹿なの、貴方は?貴方の力を取るために創ったに決まってるじゃないのぉ~♪」

「……ほぉ」

「最近、転生にかこつけて、魂から知識を得て着実に力をつけているそうね。私は、それが気に入らないわ。だって貴方、下剋上狙う気マンマンでしょう?」

「フッ、お戯れを……。私は、母上様に育てられし、観葉樹のようなものです。逆らう気なんて、とてもとても……」

「そう、それならいいんだけどね……。まぁ、目的は、あんたが力を蓄えないように、常に消費させることよ。じゃなかったら、誰が好き好んでこんな面倒なもの創るもんですか……」

「分かりました……。宝に力を供給する役目、謹んでお受けいたしましょう」

「良かったわぁ~♪そういう素直な木草樹ちゃんはぁ~、大好きよん♪」

「……」

「ああ、そうそう。忘れるとこだった……」



「 も し 、力の供給を止めたら、お仕置きしちゃうから、 覚 悟 しといて頂戴ねぇ♪」



 そして、木草樹は今回『界宝への力の供給を止めてしまった』!!!

 凛を取り出して、すぐに戻せばバレないと思ったのだろうか?

 界宝のたった一つの供給を止めただけだから、気が付かないと思ったのか?

 はたまた、お仕置きを後で受けるのを覚悟したうえで、力の供給を止めたのか?

 それは、木草樹にしか分からない。

 しかし、それは甘い考えと言えよう。

 木草界の外の世界に住み、本当の意味で木草界を創り出した【彼女】を甘く見過ぎている。

 彼女は、最高神なのである。

 気が付かないわけが無かった……。

 だから、現れたのだ。

 約束を破った木草樹の元へ……。


「あらあら、随分と面白そうな展開になっているじゃない」


 ゾクッ!


 その場にいた全ての生物が同時に死を覚悟したほど恐ろしい声が響いた。

 木草樹、青卵、私以外の生物は、その人物の圧倒的な殺気に耐え切れずに気を失ってしまった。

 木草樹ご用達の番人や、ヌメっちでさえ、恐怖に白目を剥いて、涙を流しながら意識を手放している状態だ。

「アダモゼウス!?」

 その姿を見つけた私の目が、驚きのあまり見開かれる。

 ……そう、そこにいたのは、この世界の最高神【アダモゼウス】だった。

 木草樹の枝の一本に、いつの間にか腰掛けており、そこから私たちを見下ろしていたのだ。

 アダモゼウスは、私の体を頭の先からつま先まで、舐めるように見ると、本当に嬉しそうに笑った。

「まぁ~、卵ちゃん♪立派になっちゃってぇ~♪ずぅううっと我慢して放置していた甲斐があったわぁ~♪……って言いたいとこだけど、ちょっと気になることがあるわねぇ」

 私から視線を外して、青卵、そして木草樹へと視線が移動していく。

「ふぅ……」

 アダモゼウスが大きくため息を吐いて、髪をかき上げた。

「久しぶりにキレそうだわ……」

 その視線は、じっと木草樹を見続けていた。

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