表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
78/253

作戦を説明する!

 丸薬が喉を通り過ぎると同時に、体に力が溢れてきた。

「さっすが、庭鳥さん秘蔵の品ですな~!元気100倍って感じですわ!」

 私は、【歩み】で現在のステータスを再確認する。


 HP:5730/5730

 MP:4211/4211

 力:9700

 防:6493

 速:8891


 うん、最高の状態と言っても差し支えないだろう。

 いつもは、私のMPだけが突出しているのだが、今回に至っては、そこだけが低い感じになってしまっている。

 素直に感じる感想は、化け物という一言のみ……。

 天武の才能を与えられた者が、最高の血統と最上の肉体を持ち、生まれた時から、その才能を伸ばす生き方をしてこないと、57年という短い年月では、ここまで辿り着けないだろう。

「ほら、服も用意しておいたでしゅから、早く着替えるでしゅ!」

 自らのステータスに感動していると、庭鳥さんが服を手渡してくれた。

 本当に、なんて出来る人なんだろう。

 私は、ボロボロの服を脱ぎ捨てて、新しい服に着替える。

「一応、二人のステータスを【魂情報】で調べて、紙に記入しときましゅた。お互いに確認してみてくだしゃい」

「至れり尽くせりやなぁ……。ほんまに、ありがとなぁ、お師匠さん!」

「気にしなくていいでしゅよ。後で、たっぷりお礼をいただきましゅから~」

 くすりと少女らしい笑いをして、庭鳥さんは私たちに紙を渡した。

 自分自身のステータスは、さっき確認したので、ヌメっちのほうを確認してみるかな?


 名前:ヌメール

 種族:龍蝦蟇人たつがまびと

 性別:♂

 HP:1577/1577

 MP:463/463

 力:1253

 防:1009

 速:1392


 ふむ、大体100年ちょっととはいえ、中々な成長をしてくれたものだ。

 私が感心していると、ヌメっちは、紙と私を交互に何度も見直していた。

 まぁ、そりゃ驚くか。

 文字通り、今の時代ならば、木草界最強の人物に転生したのだから。

「いやぁ……こりゃ、なんの冗談なんや?……強すぎやないか?」

「今回に限っては、強すぎて悪い事なんてないでしゅよ。さて、では二人とも聞くでしゅよ」

 庭鳥さんの言葉に、私とヌメっちは、正座になって黙った。

 そう、今回に限っては、ちょっとばかり無茶をしなくてはならないのだ。

 なんせ、これ次第で私の運命が決まってしまうのだから……。

「木草樹は、あれから111年間、卵を閉じ込めて様々な実験を繰り返していましゅ。まず、卵ちゃんがまだ転生を繰り返していることを知られるのは、まずいでしゅ。よって、ヌメっちは、今回だけ卵ちゃんを凛と呼ぶでしゅ!」

「ん?あれ?どういうことや?卵なら、ここにおるやん……」

 庭鳥さんの言葉に衝撃を受けているヌメっち。

 そう言えば、敢えてヌメっちには説明していなかったわね……。

「あー、庭鳥さん。そういえば、ヌメっちには、全然説明してなかったわ。だって、ヌメっちが知ったら、勝手に暴走して助けに行きそうだったからさぁ~」

「ああ、そういえば、そうでしゅたね。私もうっかりしてたでしゅ」

 未だに、頭に?マークを浮かべているヌメっちを前に、庭鳥さんが軽く咳ばらいをして説明に入る。

「今から、111年前にヌメっちを逃がした後に、卵ちゃんは木草樹に捕まってしまっていたんでしゅよ。それで、未だに木草樹に捕らわれ続けているんでしゅ」

「なっ、なんやて!?」

 こっちを向くヌメっちに、にや~っと笑顔を向ける。

 ふっふっふ、混乱してる、混乱してる。

 まぁ~、無理もないけどね。

 だって、捕らわれているはずの卵がここにいるんだし。

「じゃあ、こいつは誰や!この頭にくるニヤケ顔は、間違いなく卵やで!」

 相変わらず、一言多い両生類である。

 大事な決戦前じゃなかったら、間違いなく殴っていた。

「……私は、『助けてもらった後』の卵よ。既に、色々経験しててね、年齢は250歳くらいにはなったかしらね。ようやく、【巣作蜘蛛すづくりくも】に転生できたから、ここに来たってわけよ」

 

 そうなのだ。

 私は、昔ヌメっちを逃がした後に、木草樹に捕まって色々と実験されていたのだ。

 正直言うと、その時のことは思い出したくもない。

 んで、ある時に助けられたのだけど、それがこの【巣作蜘蛛】にだったのである。

 初めは、【巣作蜘蛛】本人に助けてもらったと思い込んでいたけど、転生を繰り消していくうちに、どうもそんな人格者でも無いし、【サルト】に向かった経緯が無い事に気が付いたのだ。

 そこで、更に調べてみると、【巣作蜘蛛】にギフトが訪れた監視結果を発見。

 そして、確信したのだ。

 ああ、私は未来の私に助けられたのだと……。

 それに気が付いた時に、私は思ったのだ。

 もし、【巣作蜘蛛】に転生することがあったら、過去の私を助けに行かなくてはいけないと!

 まぁ、庭鳥さんまでが『卵救出計画』に関わっていたとは知らなかったけどね。

「今回は、ただの前回のリベンジじゃ無いでしゅ。必ず、卵ちゃんを救出することが重要なんでしゅよ。もし、助けるのに失敗したら、歴史に矛盾が生じて、こっちの卵ちゃんは消えるでしゅ」

「!?」

「卵ちゃんも分かっているでしゅね?貴方が助かったからといって、必ず今回の救出も成功するとは限らないと……」

 私は、庭鳥さんの言葉に頷く。

「歴史は、無数に広がっていくあみだのような物。助かった未来もあれば、助からなかった未来もある。もし、失敗すれば単純に助からなかった未来へ歴史は流れていく」

「そういう事でしゅ。だからこそ、念には念を入れるに越したことは無いんでしゅ」

 ごくりとヌメっちの喉がなった。

 そして、なんとも申し訳なさそうな顔で私を見つめてくる。

「おいおい~、気にすんなよぉ、親友!比較的大きな収穫もあったし、別に私は気にしていないからさぁ~!」

「せやけど……」

「……無駄話は、慎めでしゅ。一刻も早く作戦を説明したいんで、口を閉じて私の話を聞いてちょうだい」


 ピタリ


 普段と違う口調の庭鳥さんの言葉に、私とヌメっちは慌てて口を閉じると、ピンっと背筋を伸ばした。

 その様子に満足した庭鳥さんが口を開く。

「まず、転生した卵ちゃんがここにいる=卵ちゃんが木草樹の元から逃げ出すことに成功している。の方程式が成り立ち、救出が困難になりましゅので、卵ちゃんの素性は隠すことにしましゅ。卵ちゃんの姉の凛という設定でいくので、ヌメっちは卵ちゃんをそう呼ぶんでしゅよ?」

「了解や!師匠!」

「そして、必ず卵ちゃんを見つけ出して、殺すことが重要でしゅ。私と【アダモゼウス】が掛けた【時空転生術】は、そうやすやすと解けるものじゃないでしゅ。恐らく、【アダモゼウス】くらいしか一瞬で解けない仕様になっていると思いましゅ。つまり、殺せば勝手に転生が発動して、逃がすことが可能なんでしゅよ」

「……」

「熊の相手をヌメっちが、卵ちゃんの相手を凛ちゃんがやるんでしゅ!卵ちゃんを探し出して、殺すことが作戦の最終目的でしゅ!」

 なるほど、殺せばいいのね。

 ならば、この肉体への転生は最高と言っていいだろう。

「っていうか、卵を探さなあかんのやな?どうやって探すねん?」

 私自身は、何処に閉じ込められていたのか知っているので、疑問にも思わなかったことを、ヌメッチが庭鳥さんに質問していた。

 ……そうか、何処に閉じ込められているか分からないていで行かないと、木草樹に感づかれてしまう可能性もあるのか。

 しっかり、演技しないといけないわね。

「卵ちゃんは、肉体が死ねば、勝手に魂が別の肉体へ跳ぶように術を施されていましゅ。ただ、一部の例外を除いて……」

「例外?なんや、それ?」

「これは全ての魂に言える事でしゅが、霊界にいた場合、魂は霊界に留まってしまうのでしゅ。つまり、木草樹の内部に閉じ込められていた場合、転生が発動しなくなるんでしゅ。詳しい説明は、省きましゅが、魂だけの状態ならば、木草樹の外へ出すだけで転生が発動するというわけでしゅ」

「おおー!なら、簡単やん!!卵を閉じ込めている檻的なやつをぶっ壊せばいいんやろ?」

「まぁ、そういうことでしゅ」

 ちらりと、庭鳥さんが私を見た。

 大丈夫、分かってますって……。

 私は、無言で庭鳥さんを見たまま、頷いた。

 だって、私は知っているから。

 実験によって、卵という魂がどうなってしまったかの結末を……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ