蛙&魂 VS 鳥&熊
先ほどの会話から察するに、恐らくこいつらと戦うのは初めてではないのだろう。
だとしたら、戦ってきたのは全員未来の私達である。
ならば、少なくとも現在の私よりも強いはず……。
だったら、遠慮はしない!!
端っから、全力でいく!!!
私は、【魂糸】を全力で展開すると、熊の進行方向に範囲を指定した。
範囲内の気圧を操作し、風を起こす。
更に、空へも【魂糸】を伸ばして、積乱雲を発生させる。
発生した風が、上昇気流となり、全てを引き裂く竜巻へと成長する!
「荒れ狂う暴風よ!豊かな森の木々達よ!力を合わせて、呼吸せよ!汝は、自然の怒り也!」
ババッ!っと手で魔法印を組んでいく。
呪文詠唱+魔法の手印によって、発動速度を速めつつ、MPを節約する。
「削り落とせ!【剣葉龍舞】!!!」
竜巻の中を切れ味の鋭い葉っぱが乱れ踊る超魔法である。
発動と同時に、熊は竜巻の中に吸い込まれていった。
しかし……。
「……マジデスカ」
熊と鳥は、ほぼ無傷で竜巻から出てきて、こちらへ突っ込んでくる。
「くっ!」
「卵!お前は、左へ跳べぇ!ワシは、右へ跳ぶ!」
ヌメっちの掛け声で、同時に動く。
私は、【転移】で左側へ回り込み、直撃を避けた。
ヌメっちも同様に避けることが出来たようだ。
「まずは、挨拶代わりや!」
ヌメっちの両腕が紫色の粘液で覆われ、その粘液から薄い蒸気が立ち上る。
「くらえや!【毒手連撃】!!!」
ズガガガガガガガ!!!!!!
まるで工事現場のような音が響いて、熊の巨体がぐらりと揺れた。
「キエエエエエエエエ!!!!」
揺れた熊の頭の上から、今度は鷲が私目掛けて襲い掛かってきた。
「ああああ!!もう、知らないわよ!!!!」
MPの残り残量なんて気にしない!!!
一回やってみたかったのだ!
後先考えずに、魔法をぶっ放すということを!!!
私は、向かってきた鳥に向かって最大最高火力の魔法を叩き込む準備に入った。
「天に昇るは太陽!地に染み入るは雨!育まれるべきは、我らが木草樹様!!」
この呪文詠唱は、嫌いだが、今回ばかりは仕方がない。
だって、私が知る最高の攻撃魔法がこれだからだ。
「手を合わせて祈りなさい!高く高く讃えなさい!どうぞ、主よ!力をお貸しくださいませ!!!」
両手を合わせて祈るように地面に膝をつく。
「ほぉ……面白い……」
木草樹の声が聞こえた気がした。
私の体が膝から緑色のオーラのようなものに包まれていく。
「我は、神の力を行使するもの也」
全身を纏ったオーラが、両手に凝縮されていき……やがて弾けた。
「裁きを受けよ!!!【木草霊魂道】」
突き出した両手から、緑色のビームのようなものが放たれる。
木草樹から霊界を通して力を借りて、MPを純粋な攻撃手段へ変換して放つ技だ。
貫通力と速度は、単純に使用したMPに左右される。
現時点での私が使える最強魔法だ。
「……見事だ、卵よ」
木草樹の言葉のすぐ後に、音もなく鳥が地に落ちる。
その鳥の頭は、完全に消失していた。
もう、どこにも存在しない。
「……それにしても、角度が失敗したなぁ」
私は、鳥と一緒に熊をも吹き飛ばせる位置で魔法を放ったのだけど、ヌメっちが邪魔で正確に熊の方へ狙いをつけることが出来なかったのだ。
口惜しいかな、熊は左肩部位を消失するだけに留まってしまった。
「いや、よぉ~やったで、卵!」
全身から毒粘液を溢れさせ、拳を構える両生類の親友。
「後は、ワシに任せろや!!」
ドロリ
うん、カッコ悪い。
そのドロドロ状態で決まると思うな!




