嬉しい大誤算
「……あー、その反応!もしかして、ワシと会うの2度目の卵か?ハハハ、初々しいのぉ~!」
……そうか、こいつはもう既に何回か私に会ってるのか。
いやいや、そうじゃない!!
「って!違うわよ!!なんで、あんたがこの時代にいるのかって聞いたのよ!」
そうなのだ。
私が、この前【サルト】を攻略した時代は、【エンシェントドラゴン】死後の時代だったはずだ。
だったら、1685年以降のはず。
611年の時代に、ヌメっちがいるのは間違いなくおかしい。
「……あー、お前は知らんわなぁ。えーっと、前のお前に会った時に確か言うとったで!勘違いしとったって!」
「勘違い?」
「せや!確か、卵が一番初めに【サルト】へ材料集めに来たとき、ストリートファイターのガキへ転生したんやろ?そいつの【歩み】で確認したらしいんやけど……、そいつ学校行ってたか?」
「……あっ」
前の時の【歩み】を急いで確認する。
……行ってない。
元々、道端へ捨てられた子だったので、学校へ行けるはずがない。
じゃあ、なんで私は、あの時代を【エンシェントドラゴン】の死後と勘違いしてたんだろう?
もっとよく確認してみる。
…………ああ、そういうことか。
ようやく理由が分かった。
どうも、あのストリートファイターには、育ての親みたいなホームレスのおっちゃんがいるのだが、そのおっちゃんが彼に『今は、1700年頃』だと伝えていたのだ。
何故、おっちゃんがそう彼に教えてのかはわからない。
だけど、それを愚直に信じ続けていたのだ。
くっそー、どおりで町が古臭いと思ったんだよ!
街行く人のファッションも田舎臭かったし、油断したわ~。
ん?
ってことは、実際は611年よりも前に私とヌメっちは会っていたことになる。
「えーっと、じゃあヌメっち」
「なんや?」
「私と初めて会った時から、どれくらいの年月が過ぎてるか分かる?」
「そりゃ、覚えとるわ……。馬鹿にしとるんか?大事な記念日やぞ?」
「ちょっ!?いきなり、そういうのは止めて!!照れる……/////」
「おっ、おう!すまんかった。いや、そやな。お前は、まだまだこういうの流せない感じなんやな」
うあー!顔が熱い!!
きっとゆでだこみたいに真っ赤になっている気がするわ。
なんだよ、この両生類!!
恋人気取りか!!!
親友に大事な記念日とか言われたら、さすがに照れて顔も見れなくなってしまうわ!
「はは、今から439年前やな……。なんか、懐かしいわ!」
私の新鮮な反応に、向こうも照れてそっぽ向きながら、そう答えていた。
まったく、照れるならやるなっての!!
それにしても、今から439年前か……。
木草界の年にすると、172年。
宗教の国【イブール】が出来る100年ほど前ってことね。
「えぇー、そんなに昔から、あんたこの世界にいるの?」
「みたいやなぁ……。ワシは、【サルト】から出たことないから、あまり時間や時代の感覚がイマイチ分からへんねん!外の国に興味もないしな!」
「あー、そりゃ、そうか」
あの【エンシェントドラゴン】も、木草樹の為に外の国の情報を集めていたようだったし、ぶっちゃけ【サルト】の生物は、外の国の情勢などに興味なんかないのだろう。
「ん?……ってことは、172年以降なら、いつでもヌメっちに会えるってこと?」
「ってか、卵は、しょっちゅう【サルト】に来てるで?ワシにとっては、もう腐れ縁レベルや」
「へっ、へ~。ふ~ん。そうなんだぁ~」
未来の私たちが、口をそろえて【ウラヌス】へ行っていると言っていたのが分かった。
きっと、この親友との出会いをひたすら隠していたのだろう。
【サルト】に通っているなんて正直に言えば、あの初めての出会いが台無しになってしまうかもしれないしね。
……おいおい、私の顔!!
そのにやけるのを止めなさい!!!
いつでも会える親友を手に入れたんだと嬉しがるのを止めなさい!!!
ニヤニヤ、やったぁ!




