ひどすぎる魂生
あー、そうですよね。
分かっていましたよ……ええ。
人生には、楽あれば苦もあるものなんです。
私自身の人生、魂生とでも呼べばいいのかな?
それにも、当然楽も苦もあるわけです。
……でもさ、楽があったのは前回だけだよ?
それまで苦しかなかったのに、これってひどくない?
シュー!っという音を立てて、缶から白い煙が立ち込める。
あっという間に部屋中に煙でいっぱいになった。
煙には、殺虫作用があるようで、これを吸い込んだため、私の転生体は亡くなったようだ。
……ああ、そうだよ!
今回も虫だよ、チクショー!!!
睡眠から覚めるような感覚で意識が戻ったら、煙たい部屋で寝っ転がっているこの体だった。
巨人が住んでいるような、何もかもが大きな部屋。
いや、私の体が小さいんだろう。
私の命を蝕みにくる煙から逃げ出すために、急いでその場から離脱しようと体を起こした。
プ~ン
気合の抜けた羽音と共に空へ飛び立つ。
あ、駄目だ。
この速度じゃ、逃げ切れないわ……。
あっという間に煙に巻かれて、死を呼ぶ毒に悶え苦しむ。
うげぇ、これが毒殺!
苦しい……、苦しすぎるよぅ……。
くっそっ!
今回は、これで終わってしまうなら、せめて歩みを視て知識だけでも強化しとかないと、無駄苦になっちゃう!
私は、苦しみながらも意識を集中して歩みを視る。
……歩みを必死に確認していくが、意識は急速に薄れていく。
あぁ、この世は、害虫に無情な世界だ。
歩みは、次回の転生先で確認しよう。
そうしなければいけないほど、死が直前に迫っていた。
殺虫剤を焚いた部屋の中。
5ミリほどの小さな虫は、足を縮こまらせて仰向けに死んでいた。
それは、地球という星で一番人を殺している生物……【蚊】であった。
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