夜が来る!
太陽が傾き、日が沈んでいくごとに、蛙に掛かっている【木縁樹草風華】のオーラが小さくなっていく。
よし!【エンシェントドラゴン】の知識通りだ!
理由は分かっていないけど、【木縁樹草風華】は、夜には発動しないようだ。
恐らく、光合成や睡眠などの理由だと思うけど、あくまでも私の推測である。
正しい理由は分からなくても、【木縁樹草風華】が消えてくれるのならば、卵ちゃん的にはオールオッケー!
ほら、さっさと消えちゃいなさいよ!
「おぉ……おお?」
蛙が自らの体をキョロキョロと見回す。
どんどんオーラが小さくなっていくのが、目に見えて分かるようだ。
「ふぅ~、やったぜ……」
辺りが真っ暗になり、日が完全に沈んだ時、蛙の体を包んでいた【木縁樹草風華】は、完全に消え去っていた。
「はぁ~……つかれた……」
「ワシもや~……、今日はどえらいことがてんこ盛りすぎて、目が回りそうやったわ……」
二人して、岩場に倒れこむ。
お互いにへとへとである。
「はぁ~、今日はここで休もうかね。月明りで周りを見渡せるし、何かが襲ってくるなら分かりやすいでしょうしね」
「まぁ、大丈夫やと思うで……。ドラゴン倒すようなやつに喧嘩売る馬鹿は、ここらへんにおらんやろ。それこそ、木草樹様の命令がなければやけどもな……」
寝そべって満天の星を見ながら、息が整うまでゆっくりと休む。
くぅぅ~!
「ああ、お腹空いた」
私のお腹が、豪勢な夕飯をご所望である。
「あぁ、ワシもや……。って!なんや、そんな目で見るんやない!!」
私が蛙を無表情に見ていたのに気が付いたのか、蛙は慌てて後ずさっていった。
別に、変なことは考えていない。
ただ、蛙肉って美味しいのかな?って思っただけだ。
「よよっ、よだれを拭けや!ワシうまぁないで!ごっつマズイって評判やからな!!」
おっと、無意識によだれが口の端からこぼれていたらしい。
いかん、いかん。
「あはは、冗談よ~!さすがに、ケロちゃん食べようとは思わないわ~」
「いやぁ~、信用できへんな~……。ごっつ獲物を見るような目をしてたで、自分」
蛙が脂汗を掻きながら、じと目でこちらを見てくる。
まぁ、蛙は元々じと目だけども……。
「はは、気にしないでちょーだいな!さて、じゃあ夕飯にしましょうか?」
私は、【コアトル】の肉を【魂糸】による【念動力】で、調理して骨付き肉の形にする。
さぁ、バーベキューの始まりである。
上手に焼けました~!
こんがり焼けた肉の香りが、空腹状態の腹を刺激する。
「これ、絶対美味しいやつ~!!」
美味しいにおいをさせるドラゴン肉を鼻歌交じりにかぶりつく。
「んんっん~♪」
美味い、美味すぎる!!!
どこかの美食家だったら、今頃口からビーム発射してる。
それくらい美味かった。
「……なぁ、ワシもそっち食べさせてくれへんか?」
「ん?あれ?気を使って、そっちにしたつもりだったんだけど……」
バッタの足をちびちび食べていた蛙君は、明らかに不満そうな顔でこちらの肉を睨んでいた。
「アーーーーホーーーーーかーーーーー!!!いちいち、ツッコミさすなや!!誰が好んでバッタの足なんぞ食うかい!筋張ってまずいんじゃ!わ~、食わせぇ!食わせぇ!肉食わせぃ~!」
まるで、子供のように駄々をこねる蛙君。
ああ、こいつなんか可愛いな~。
「いや~、ごめんごめん!蛙って、虫食べるもんだとばかり思ってたからさ~。はい、お肉」
私が肉を渡すと、まるでひったくるかのように取ってがっつき始めた。
その様子を微笑みながら見ていた時に、不思議な感覚が体中を巡った。
「?」
口から胃へ、胃から体中に染み渡っていくような満たされていく感覚。
これって、確か【神葉茶】の時と同じ感覚!?
「まさか!?」
大急ぎでMPを確認すると、若干だけど失ったはずのMPが回復していた。
「おお、すごい……。ドラゴンのお肉ってMP回復させる効果があるのね……」
感激を通り越して、感動した!
初めて自分の力で勝ち取った獲物である。
「何言っとるねん……。MPとか、ギフトとか、よく分からん事ばかり言うて……。ただの食事も味気ないし、色々聞かせぇや」
「……ふむ、そうねぇ。まぁ、いっか。じゃあ、私の今までの苦労話を聞いてちょうだいな」
私は、ノリの良い話し相手に、今までの苦労話と言う愚痴を話し始めた。




