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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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圧倒的な暴力

 今回、私は【コアトル】の【魂情報】を確認しなかった。

 【魂糸】を一本でも使うのが惜しいと感じたのもあるけど、大きな理由は違う。

 それは、心が折れるのを防ぐためだ。

 対峙するだけでも額に汗がにじむ。

 緊張と恐怖で胃液が逆流しそうだ。

 丸腰の一般人がジャングルで虎に遭遇したら、同じような感覚に陥るだろうか?

 猛獣と対峙する。

 食物連鎖ピラミッドの階層が違う生物と向かい合うという事が、ここまで如実に食う者と食われる者の関係を表せるのだと嫌気が差す。

「ふぅ」

 気を抜いたわけでは無い。

 ただ、呼吸をしただけだ。

 息を吐いた動作をした後、世界が反転した!


 ビジュッ!!


 何かが弾けるような嫌な音が遅れて聞こえてくる。

 下を見れば、【コアトル】が尾で私が居た位置を薙ぎ払っていた。

 スローモーションのように流れていく時の中で、私は、いくつもの私の肉片が飛んでいくのを首だけで見ていた。

 ゆっくりゆっくりと地面が近づいてくる。

「……舐めんなぁ!」

 【自己強化再生】発動!!!

 普段ならば、このまま抵抗せずに死んで、転生して再スタートを切っている。

 だけど、飛んでいく途中で、【コアトル】が蛙を睨んでいるのが見えた。

 その時、蛙は涙を流しながらガタガタ震えていた。

 あぁ、見えてしまった。

 このままだったらきっと、あの蛙は捕食されてしまうだろう。

 そう考えたら、自然と【自己強化再生】を発動させていた。

 ああ、くそぉ!駄目だわ、私……。

 転生生活でボッチ期間が長いから、会話に飢えてしまっている。

 そして、会話した生物が涙を流していたら、放っておけない!

 首から下がものすごい勢いで、再生されていく。

 地面に落ちるころには、五体満足の状態まで復元していた。

 今まさに、蛙を食べようとしていた【コアトル】に、私は大声でこう呼びかけた。

「まったく、蛇に睨まれた蛙ってこういう状態を言うのね!」

 二人が、驚いた表情でこちらを振り向いた。

「じゃ……じゃーかしいわ!こんな状況で、ツッコミ入れさすな!ボケェ!!!」

 ボロボロ涙を溢しながら、歓喜の笑顔を浮かべる蛙。

 一方、蛇のほうは、こちらに意識を向けなおして、警戒を強めていた。

 距離にして、50m。

 この間合いでも、蛇の攻撃を避けることは難しいだろう。

 先ほどの攻撃は、恐るべきスピードだった。

 私は、【自己強化】から【自己強化再生】へ常時使用する魔法を変更させていた。

 【自己強化】は、身体能力を5倍に上げる魔法。

 対して、【自己強化再生】は、修行と改良を繰り返して、身体能力を10倍に上げる魔法にまで成長させていた。

 生物の体は、限界を超えて力を酷使し続けると、筋肉が断裂したり、骨が耐えきれず折れたりと、肉体自体が壊れ始める。

 ところが、ここに驚異的な自己再生を加えると、アラ不思議。

 火事場の馬鹿力を出し続けられる、最高の環境が完成したではあ~りませんか!

 これのよって、私は【自己強化再生】を使用し続けている限り10倍の状態で戦える。

 但し、MPの消耗が激しいのが欠点である。

「まぁ、そんなことも言ってられない状況よねぇ……。こんな強敵相手じゃ……」

 ビキビキとバッタの後ろ脚が音を立てたかと思うと、真っすぐにこちらに突っ込んでくる【コアトル】。

 一瞬早く反応して、【転移】で避けることに成功するが、左腕を持ってかれてしまった。

 すかさず【自己強化再生】が、左腕を生やす。

 よし、【自己強化再生】状態だったら、なんとか反応する事だけは出来る!

「あとは……」

 私は、蛇の弱点を思い出していた。

 急いで蛙を拾い上げると、服の中へ突っ込む。

「なっ、なんや!」

「いいから、じっとして!必死にしがみついていなさいよ!」

 私は、襲い掛かってくる【コアトル】の攻撃をかわし、【魂糸】を動かしていく。

 私は、武闘家じゃない……。


 魔 法 使 い よ !


 【エンシェントドラゴン】から覚えた魔法も、ほとんどが使用可能になっている。

 まだまだMP消費量が多くて使いづらいけど、それはMPの最大値を鍛えることでカバーする!

 私は、その中からある魔法を選択する。

「季節の境界よ、その一部を解き放て!巡り廻れ!凍結の白き世界へと彼の者を誘わん!」

 呪文詠唱は、手順を順繰りに確認しながら進める魔法補佐の行為だ。

 中二っぽくてあまり好きではないけど、MPを大幅に節約できる行為なので、やらないわけにはいかない。

「震えて眠れ!究極魔法【絶対零度】!!!」

 【コアトル】の周りに【魂糸】で範囲を指定。

 そして、その範囲内全ての原子へ振動を止めるように指示する。

 物質は、熱振動を止め、熱は失われる。


 ガチィーン!


「あらら……、冬眠レベルまで下げる予定だったけど、やっぱり慣れない魔法は加減が分からないわねぇ~」

 【コアトル】の体から、湯気のような煙が見える。

 別に【コアトル】の体の温度が上がったわけではない。

 冷凍庫を開けた時に、見えるアレである。

「冷凍ドラゴンのいっちょあがり~♪」

 私は、【魂糸】で【コアトル】の体を小突くと、【コアトル】はバランスを崩してグラリと揺れた。

 岩肌に叩き付けられて、バラバラに砕け散った【コアトル】を見て、私はようやく一息ついたのだった。

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