魂 VS 蛇
私は、こっそりと相手に【魂糸】を刺し込み、【魂情報】を盗み見る。
これは、相手の数値化したデータを視る【魔法】である。
さてさて、【サルト】初の化け物は、どんなものなのかね~。
種族:蛇飛蝗
性別:♂
HP:63/77(×10)
MP:21/21(×10)
力:155(×10)
防:261(×10)
速:333(×10)
MP以外の全ステータスが、私以上……。
しかも、それに十倍の補正がかかっているチート仕様である。
なんだよ……、【サルト】の序盤レベルの化け物でこの強さかよ……。
「さて、気を引き締めないと……ねっ!!」
私は、いきなり蛇との間合いを詰めて前へ移動する。
今までの転生生活で、バッタに転生したことももちろんある。
その時に体験したのが、バッタは小回りが利きづらい体質をしているということだ。
強靭な足から放たれるジャンプは、あっという間に体長の何倍もの移動を可能にするが、逆に少しだけの移動は不可能である。
よちよちとまるで赤子のように、不慣れに前に進むことのみしか出来ないのだ。
ならば、一気に距離を縮めれば、相手は移動に戸惑うはず!
「……あ」
思わず、間抜けな声を出してしまった。
私が近づいた途端に、蛇はバッタの足を畳み込み、地を這うように移動を開始したのだ。
そうじゃん!こいつ、バッタじゃなくて蛇じゃん!!
どちらの移動方法も可能とか、ずっこいわ。
不意を突かれた形になった私を捉えようと、蛇は私の体に巻き付くように動き出す。
「シャアァァ!」
蛇は、完全に私を捉えて、体に巻き付こうと輪を小さくしていく。
「甘い」
私は、戦闘時、常に使用している4本以外の【魂糸】を、周りに配置している。
いつ何時でも、即時【魔法】が使えるようにするためだ。
そして、その一番の理由がコレである。
【 転 移 】 発 動 !
私は、蛇の死角へ【転移】で移動をすると、拳を突き入れた。
【魂糸】を常に周りに設置することで、回り込まれても逃げ出すことが可能なのである!
それどころか、相手に気づかれずに、死角にも移動できちゃう!
どうよ!この私の戦闘方法は!!
……しかし、蛇の巨体はビクともしなかった。
ギョロっとこちらに頭を向けると、飲み込もうと大きく口を開けた。
「あわわわわ!!!」
【転移】発動!!
慌てて【転移】を発動して、飲み込まれるのを防ぐ。
ステータスでは、私よりも圧倒的な速さを誇る蛇だけど、さすがに瞬間移動には敵わないようだ。
常にMPを減らす戦い方だけど、仕方がない。
そうしなければ、あっという間に蛇の胃袋の中だものね。
さて、速度面においては【転移】のおかげで、なんとか戦えている。
後は、力と防御面ね……。
「まぁ、やってみようかしらね」
私の力では、あの蛇に対して決定的なダメージを与えることはできないだろう。
先ほど、殴った時に鱗の硬さを確認した。
【自己強化】していなかったら、こちらの拳がバキバキに割られていただろう。
しかし、やりようはいくらでもある!
私は、【転移】で蛇の死角に回り込み、拳を突き入れ続けていた。




