張り込み開始!
「マジかい!」
私は、倉庫に訪れた瞬間、本能的に叫んでツッコミを入れてしまった。
だって、そこには明らかに私だと思える魂を持った人がいたから……。
あのさー、こっちは何時間か張り込む気でいたんだよ。
さっき、購入したコーヒー牛乳とアンパンどうしてくれる!
頭に来たから、むしゃむしゃしてやった。
「……いきなり叫んだかと思ったら、今度はアンパンを食べ始めるのね。何か用かしら?」
待って待って、まだ味わっているから。
むしゃむしゃむしゃむしゃ
「ゴクリ……」
ちなみに、この唾を飲み込んだのは、私ではない。
目の前にいるごつい顔のおっさんである。
「あなたねぇ~……、普通は気をきかせて、私の分を買っておくものでしょう!しかも、そんなに美味しそうに……」
「いやいやいやいや!!まさか、いきなり会うとは思わないじゃない!なんで、ここにいるのよ!私の予想完全に的中しちゃった系じゃない!!!」
アンパンを平らげ、一息で全力のツッコミを入れてやった。
もう色々混乱してしまっている。
よりもよって、なんでこんなおっさんに転生してるんだと愚痴りたくすらある。
「……あー、そっか。あんた、初めてこの【緩やかなる時の倉庫】に来た若い時の私ってことなのね。【ウラヌス】で色んな私に会い過ぎて、誰と何処で会ったかなんて覚えきれないから、分からなかったわ」
この口ぶりだと、やっぱり倉庫に用事があるらしい。
さて、正解は何なのだろう?
「あー、悪いけど、正解は教えられないよ?過去に私は、自分で考えて答えを出した。あなたも自分で答えを出しなさい」
「ぐぅっ……」
先手を打たれてしまった。
結局分からずじまいになっちゃうのかね?
……いや、それが答えなんだろう。
さっきから、私の予想が的中しているわけではないんだ。
私が、『こうしたら良い、こうしたら将来役に立つ』的な考えを実際に行動してきた結果が、未来の私に繋がっているだけなんだろう。
つまり、私が一番やったほうがいいと感じた行動が答えのはずだ。
ならば、もうやる事は決まった!
私は、ニヤッと笑うと、近くに落ちていた石に【魂糸】を刺して持ち上げた。
その様子におっさんは、豪快に笑うと「正解!」とだけ言い残し、倉庫会社の中へ入っていった。
とりあえずは、修行をしよう。
【ウラヌス】建国の早い時期に転生したら、土地と家を買って別荘を作ろう。
そして、そこを拠点にして修行をしつつ、MPを回復させる物を開発しよう。
開発に成功したら、量産して【緩やかなる時の倉庫】に預けまくろう。
そうすれば、いつでも回復可能な超便利病院の完成である。
これを作っておけば、いつでも無理できる。
幸いにも、私が今まで転生した一番先の未来でも【ウラヌス】は滅びていない。
「よぉし!とりあえず、今は建国後それなりに経っているから、MPを回復させる物のほうを調べようかしらね~」
この計画、意外にも初っ端からつまずくことになる。
まさか、あんな事になるだなんて、私自身想像もしていなかったのだから……。




