大量習得
「さて、到着……っと」
【エンシェントフロッグ】が近づいてくる気配を感じた私は、【転送】を使用して、女王の国【ズラーヌ】跡地の黒い砂漠に来ていた。
明らかに機嫌が悪そうな足取りの蛙の相手なんかしている暇はないのだ!
そう思った私は、とっととトンズラすることにした。
幸いにも、この転生体の情報によって、この時代は【ズラーヌ】が滅んだ後の時代だってことが分かっていたので、問題なく【転送】を使用できた。
ここなら、ゆっくりと落ち着いて研究できそうだし、良い場所に避難できたと思う。
私は、目を閉じると、自分のステータスを確認した。
名前:卵
性別:女性 (魂状態)
HP:92/793
MP:839/1044
力:892
防:991
速:572
オゥ……。
流石は、【サルト】No.4。
桁違いの数値である。
よしよし、MPはまだ余裕あるな……ん?
あれ?MPの最大値って1031じゃなかったっけ?
もしかして、私ってば成長してる系女子?
「フフフ、やったぜ……」
こう、数字で明確に成長したって分かるのは、悪い気分ではないね。
人間がテストの点数で一喜一憂してるのが、良く分かった気がした。
さてと、本命は、更に下のほうのステータスだね。
特殊能力と特殊技術の項目には、変化はない。
しかし、使用可能魔法の欄が膨大に増えていた。
……やばいね、この量。
もし、書き出したものを本にしたら、辞書レベルの物が3冊くらいになるんじゃないかしら?
それくらい【エンシェントドラゴン】の【歩み】を視たおかげで、使用可能魔法が一気に増えたのだ。
なんというか、一気に憂鬱になった。
今まで、散々苦労して覚えようとしてきたのは、なんだったのか。
本当にこの【歩み】を視る能力は、チート過ぎる……。
私は、思いっきり息を吐き出した。
「よし!」
いいや、気持ちを切り替えていこう!
楽して魔法を覚えられたんだもの。
儲けものと思わなくちゃ!
よしよし、ではさっそく試しに適当な魔法を使ってみようかね……。
はい、私が馬鹿でした。
そう気が付いたのは、魔法の試し打ちを始めて3時間が過ぎたころだった。
やけに体がだるく感じて、MPを確認してみたのだ。
そうしたら……。
「MPの残りがたったの120ぅ!!!???」
正直、私には何が何だか訳が分からなかった。
使用した魔法は、どれもこれも大したことのないようなやつばかりだったのに、いつの間にか700近いMPを消費してしまっていたのだ。
「うわぁ~!!どうしよ?何にも出来なくなっちゃったよ~!!」
一体、どういうことなのだろう?
……そういえば、ここで魔法を大量に覚えて終了だったら、未来の私が【ウラヌス】に向かっているのは、明らかにおかしいな。
もしかして、【歩み】による魔法習得って何か大きな落とし穴があるんじゃないの?
兎にも角にもMPの回復を最優先にしないと、死んでしまう。
私は、体を黒い砂漠に横たえると、目を閉じて睡眠をとったのだった。
<今回の転生先で覚えたこと>
・世界の成り立ち
・世界の歴史
・重要な情報
・魔法各種
・ドラゴンの生態




