木草樹の国
「かぁ~っくいぃ!!私、超かっこいい!!」
調子に乗って思いっきり炎とか吐いてみる。
【インパクト・ブレス】(最強)
謎の光と共に、自分の目の前の風景に穴が開く。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァ!!!!!!
……なに、この威力。
目の前には、ジャングルを切り開く焼け焦げた道が出来ていた。
それは、【千里眼】で見ても先が見えないほどの威力だった。
「うわっ、調子に乗りすぎたな……」
今まで転生してきて、魔女【月詠】に次ぐNo.2の肉体の強さだと確信した。
改めて魔女という存在が恐ろしく感じられる。
あくまで体感にはなるのだが、この【ドラゴン】と【月詠】が戦ったら、7割ほどの確率で【月詠】が勝利できると思う。
この【ドラゴン】は、未開の国【サルト】の北部で木草樹様を守護する北の守護竜。
東の守護蛙、南の守護草、西の守護蟲と並ぶ、【サルト】の実質No.4の実力者だ。
魔法を使い、外の国の情報を集める参謀的な役割。
あまり戦闘を好まない、平和的な性格の持ち主だった。
ただ真面目ゆえに、木草樹様に歯向かうものには容赦しなかったようだけどね……。
ちなみに全部【歩み】による情報だ。
「う~ん、今回の【歩み】は、情報量がすごいなぁ……。整理するのに時間がかかりそう」
少々、気が重くなるけど、これは嬉しい悲鳴だ。
今まで【サルト】の生物に転生したことがなく、この国については情報が一つもなかった。
それが、いきなり【サルト】の重鎮に転生して、情報もらいたい放題の状況である。
情報収集によって生かされている私にとって、これはすごく嬉しい事だ。
何より、この【ドラゴン】魔法も使えるのだ。
これ、一気に使える魔法が増えるような気がする。
ドキドキ、ワクワク、テカテカ。
私は、じっくり【エンシェントドラゴン】の膨大な情報を整理していった。
「……ふむ」
2~3時間ほど経っただろうか?
無事に情報の整理は、完了した。
【月詠】よりも膨大な情報量だったけど、あの時のような頭痛を感じなかったのは、時間をかけてゆっくり整理したからだろうか?
それとも、私の【歩み】が成長したのかね?
「だったら、嬉しいけれども……」
はたから見たら、独り言をぶつぶつ呟きながら考え事をする怪しい爬虫類なんだろうけど、私のブレスに周りの生物全て逃げ出してしまったようで、辺りに生物の姿は無い。
千里眼で確認しても見えないのだから、相当遠くまで逃げて行ってしまったのだろう。
おかげで、誰にも邪魔されず、ゆっくりと情報の整理が出来た。
そして、結論から言うと、……かなりヤバい情報を入手できた。
この世界の成り立ちから、この世界の仕組みについてまで……。
それに、私自身が持っていた情報を足す。
そうすることで、色々と真相が見えてきたのだった。
この木草界は、神【アダモゼウス】が創り出した世界だ。
【アダモゼウス】は、世界の基本となる水晶玉を創り出し、その中を水で満たして植物の種を入れた。
植物は、長い年月をかけて成長して、巨大な大木となった。
それが、木草樹である。
やがて、木草樹の膨大な根によって、陸地が出来る。
水に存在していた微生物や、木草樹にくっついていた虫達の動きが活発になる。
それらが進化して、木草樹に住む生物となった。
だが、木草樹は、それを快く思わなかった。
自分に利になる虫もいるが、自分を食らうふざけた虫も存在したからだ。
木草樹は、草食、雑食の生物を自分から遠ざけた。
そして、自らを守護させるために、肉食の生物のみを自分の周りに配置したのだ。
更に、その肉食生物全てに、木草樹は加護を与えた。
加護の名前は、【木縁樹草風華】。
【木縁樹草風華】は、木草樹が持つ力をほんの少し分け与えたものだ。
効果は、全ての能力が10倍になるという【自己強化】の強化版。
【サルト】の生物全てが、化け物と言われるはずである。
木草樹の為の木草樹の国。
それが、【サルト】だった。
厄介な事に【木縁樹草風華】には、【崇拝】【魅了】【洗脳】【妄信】等々の木草樹様を、崇め、拝み、奉るようなひたすら信仰する効果も付加されていた。
【木縁樹草風華】を相手に施すだけで、自分を命がけで守る戦闘信者の完成だ。
まるで、チートねぇ……。
さすがは、世界樹様と言ったところかしら?
……それにしても、信じられないほどの情報が手に入った。
木草樹様がこの世界に創り出した、木草界の宝【界宝九極】。
まぁ、これにどこかの誰かが創った物が一つ加わって、今は【界宝十極】なんて呼ばれているみたいだけど……。
そして、木草樹様が増えすぎた害虫を殺すため、特別に力を与えた者【超越者】。
……どうにも、この世界には、一筋縄ではいかない物と者が溢れてるみたいだ。




