友達
「え?、もしかして庭鳥さん?」
「……卵ちゃん、MP少なすぎでしゅよ。そんな姿で精神力を酷使しすぎでしゅ!」
はぁ~っと大きくため息を吐く、バケツとスコップを持った幼稚園児。
それは、2度目の転生先で会った魔女【巣作庭鳥】だった……。
けど、……あれ?あの時会った状態よりも随分若い。
ってか、今の私とどっこいどっこいレベルの力しか感じない?
「ひよこちゃん!……えっと、なに?」
彼女の姿を見た恭太くんが、そう彼女に話しかけた。
「ん?ひよこちゃん??お知り合いかな?」
「ああ、ギフト様!えっと、僕と同じ学園に通っている女の子で【巣作ひよこ】ちゃんって言うの」
私の疑問に、恭太くんは親切に答えてくれた。
「恭太くん。ちょっと黙るでしゅ!私は、このギフトと話をしているんでしゅ」
彼女にそういわれると、恭太くんはしゅんとして小さくなった。
「さて、卵ちゃん。恭太くんの両親については、私がなんとかするから安心するでしゅ。それより……体を休めて眠れでしゅ。さすがに、魂を酷使しすぎでしゅよ」
その言葉に、自分のMPを確認する。
転生先で【歩み】を一度視てしまえば、その後はMPの消費無しに状態の確認が出来るようだ。
……今、初めて知った。
そういや、【歩み】の再確認なんてしたことないもんなぁ。
MP:502/1031
NEW 魔法【共感】(どんな生物とでも意思の疎通が可能。言語の必要性無し)
うぉ!100くらい減ってる!!
ってか、魔法【共感】ってなんだ!!
いつの間にか、新魔法習得しとる!!!!
「はぁ……あなたは、まだまだ未熟なんでしゅから。自分の確認は、こまめにしといたほうがいいでしゅよ?」
呆れ気味に首を振る庭鳥さん。
本当に謎の魔女だな、この人。
というか、この人は本当に魔女なんだろうか?
私は、女王の国の魔女である月詠に転生したことあるんだけど、その時にこの人の情報一切無かったんだよなぁ……。
つまり月詠と庭鳥さんは、面識がないってことになる。
魔女同士で面識がないなんてあり得るのかね?
「……なーんか、余計なこと考えてましゅね?前にも言ったと思いましゅけど、私はあなたを助けるものでしゅ。味方と思ってくれても構わないでしゅよ」
むぅ、こっちの思考を感づかれたらしい。
まぁ、実際にこうして色々心配してくれるのが分かるので、私としても薮蛇な行動は控えたい。
「えぇ……っと?ギフト様こそ、ひよこちゃんとお友達なの?」
私たちの間に恭太くんが入ってくると、庭鳥さんは踵を返して公園の入口へ向かっていった。
「まぁ、とりあえず、恭太くんの親御さんに関しては、こっちでなんとかするから、安心してほしいでしゅ。あなたは、回復に専念しなさいな」
「あっ、ちょっと!なんで、こんなに助けてくれるのよ?」
スタスタっと公園を出ていこうとする庭鳥さんに、私は慌てて問いかけた。
流石に、色々とサービスしすぎな気がする。
「……恭太くんは、私の初めての友達なんでしゅよ。それ以上の理由はないでしゅ」
庭鳥さんはこちらを振り返ることもなく、小声でそう言って去っていった。
「ああ、なんだ。恭太くん、彼女と友だちだったんだね」
そういえば、同じ学園って言ってたっけ。
それならば、納得である。
だけど、その私の言葉に恭太君は怪訝な顔をしていた。
「ひよこちゃんと……?いや、そんなに仲良くないけど……あっ、でもその……友達にはなりたいっていうか」
しゃべっているうちに、だんだんと顔が赤くなって照れが入り始めていた。
ほほーぉ、この子、そういうことか……。
但し、相手は化け物級の女子である。
きっと、この少年の初恋は叶わないんだろうなぁ。
恭太くんの家に戻って、私は水槽の中に戻された。
うむ、やはり広い水槽の中のほうが気持ちがいい。
「今日は、ありがとう。最高のいちにちだったよ!」
恭太くんの最高の笑顔が、水槽越しに見える。
「なぁに、友だちでしょ。いいってことよ!それより明日、私はまた旅立たないと行けないの。恭太くんは、これから立派に生きていけるかな?」
「うんうん……ちょっと、悲しいけど。大丈夫だよ!僕ね、将来ギフト様のことをみんなに伝えるお仕事をやろうと思うんだ!一日だけの天使様だってみんなに教えたいんだ!」
「そっ、そう……。ありがとね……ははは」
なんか、ものすごくやる気になっている恭太くんには悪いけど、正直こっぱずかしい。
さて、庭鳥さんにも言われたし、そろそろ休むとしましょうか。
「じゃあ、私はもう眠るよ。おやすみね」
「ギフト様……」
「ん?何?」
「今日一日って言ってたけど、僕はギフト様とずっと友達でいたい……。初めて出来た友達なんだ。……ダメかな?」
「………………いいよ。また、会えるか約束はできないけど、私たちはずっと友達だ!」
恭太くんは、涙を浮かべながら笑顔で大きく頷いた。
そして、パジャマの袖で目を擦ると、手を振って部屋を出て行った。
……友達かぁ。
いいもんだね、友達って。
私は、ゆっくり体を水槽の下に落ち着けると、睡眠を取るため意識を落とした。
あぁ、そうか……。
なんで、こんなに嬉しいのか理解できなかったけど、そういうことか……。
私にとって初めて出来た友達だったんだ。
そりゃ、嬉しいよね。
転生生活で初めての友達との別れは、残念ながら私が寝ている間に済まされてしまった。
<今回の転生先で得たもの>
・友達




