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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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アクアリウム

 メダカの学校は、川の中。

 私の転生体は、水槽の中だった。

 私は、水面に浮かんでた体に【自己強化再生】を掛けて、水中へ戻った。

 ふむ、どうやら【ウラヌス】では、寝たままタイムリミットが過ぎてしまったようだ。

 それで気が付いたら、水面にお腹を出して浮かぶこの姿だった。

 【歩み】を視る。

 

 ・卵から孵化する。

 ・親のお腹の中から出てくる。

 ・水槽の中で成長していく。

 ・大切に飼育されて3年生きる。


 結論から言うと、今回の私の転生先ってグッピーみたいだ。

 それにしても、なんという高齢……。

 よほど、大切に育てられてきたんだろう。

 グッピーは三か月ほどで成魚となり、平均寿命は1年と言われている。

 3年は、かなり長生きしたほうと言えるだろう。

 さて、それでは私のほうも数値だけ確認してみよう。


 名前:らん

 性別:女性 (魂状態)

 HP:3/3

 MP:622/1031

 力:2

 防:3

 速:2


 HP、力、防、速は、転生した肉体に左右される項目なので、グッピーならこんなもんだろう。

 確認したかったのは、MP。

 見ると、前回219だったのが、622まで回復していた。

 結構、睡眠を取ったはずなんだけど、全然全快していないや……。

 多めに見て、さっきの【歩み】と【自己強化再生】でMPを100消費したと考えると、一晩寝て回復できるMPは500程度となる。

 ん~……。

 これは、唸ってしまうね。

 1回の転生で、最低でもMP100は消費するわけだ。

 んで、十分な睡眠を取った場合は、MP500回復すると……。

 何もなかったら差し引きで+400、MPが増える計算になる。

 もちろん【転移】などの魔法を使った場合は、そこから更に減る。

 うむむ……、これなんだかんだで、あまり無茶できないぞ。

 少なくとも、無事に24時間転生出来ていたのならば、必ず睡眠を取らないと、あっという間にMPがカツカツになってしまうだろう。

 はぁ~……、今回は水槽の中で手も足も出ない状態だし、おとなしく休んでMPの回復に努めるか。

 そう私が決心したときだった。

「……グピちゃん?生き返ったの??」

 水槽の向こう側で大きな顔の子供が覗いていた。

 この顔には、見覚えがあった。

 この転生体の飼い主の子供で、皇恭太すめらぎきょうたと呼ばれていた。

 この転生体に『グピちゃん』と名付けて、大層可愛がっている記憶がある。

 ふむ、この子、目が赤いな……。

 グピちゃんが死にそうなもんだから、泣き腫らしたのかな?

 だとしたら、随分と良い心の少年だと感心した。

「やった!やった!グピちゃんが生き返ったぞー!!」

 少年は、部屋中を小躍りで駆け回り、全身で喜びを表現していた。

 うむ、なかなか可愛らしい少年だ。

 私は、心がポカポカするあったかい気持ちに包まれる。

 そして、それと同時にすごく心配になった。

 私の転生は、一日限定だ。

 つまり明日には、このグッピーは確実に動かなくなる。

 その時、この少年は一体どれほど落胆するのだろう?

 まして、一回生き返っちゃったもんだから、よけい落ち込むんじゃないかしら?

 むー、どうしたもんか?

 そんなことを考えていた私の頭にあることが閃いた。

 前に【魅了】で女学生を操った時を思い出す。

 その時、女学生の思考が私に流れ込んできた。

 ってことはだよ……、もしかして【魂糸】を繋げば、グッピーの姿でも意思の疎通が出来るんじゃない?

 ……やってみれば、分かるかぁ!

 私は、【魂糸】を右ヒレの先から出し、ビスっと恭太少年に突き刺した。

 よし、接続完了!

 「あーあー、聞こえますか?恭太くん、恭太くん?」

 「!?」

 恭太少年の瞳が焦点を捉えなくなり、ぼーっとした状態になった。

 そんな状態だったのに、私が話しかけるとビクッと体を震わせたのだ。

 「あーあー、そんなに怯えないで。私、ちょっとグピちゃんの体を借りてるだけのお姉ちゃんだからね!」

 「え?グピちゃん……なの?あれ?なに?どうなってるの??」

 軽いパニックに陥る少年。

 そりゃ、いきなり意識を奪われて、熱帯魚に話しかけられたら私でもパニックになる。

 私は、少年が落ち着くまでゆっくり話しかけながら、自分自身の事を説明した。

「ぇーっと、それじゃお姉ちゃん。お姉ちゃんは、神様の使いでギフトってお名前なんだね。死んじゃった生物の寿命を一日だけ伸ばしてあげる天使様ってことでいいの?」

「う、うん。そうなの!グピちゃんをいっぱい可愛がった、お利口な恭太くんのために、一日だけどご褒美をあげに来たんだよ!!」

 ……我ながら都合のよい感じに改善して、説明してしまった。

 いや、これは心優しい少年のために必要な嘘だ。

「うん。僕、学校でガリ勉って虐められてて……。グピちゃんしか友達がいなくって……」

 グスグスと泣きながら、私に話しかける少年。

 いつの間にか【魅了】の効果が無くなって、少年は普通に行動できるようになっていた。

「……よし!」

 私は、大きな声を出すとちょっと無理をすることを決めた。

「恭太くん!ちっちゃい手で持てる水槽みたいなの持っておいで!今日一日、お姉さんが友達になって一緒に遊んであげるから!」

 恭太くんのために、ちょっとだけMPを消費することを許してください、未来の私。


 <今回の転生先で覚えたこと>

 ・グッピーの知識

 ・魔法【共感】(どんな生物とでも意思の疎通が可能。言語の必要性無し)

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