卵
「【魂の残骸】の感知は、行った者でないと出来ないのよ。だから、あんたも未来の自分がやっただろうからと思って、軽はずみに【転送】を使用しないこと!最悪、木草樹から出られなくなることもあるわ」
ばーさんの部屋に戻った私は、さらに詳しく【転送】について説明を受けていた。
「感知が出来ない?」
「まぁ、感知が出来ないわけじゃないわね。……正しくは、【魂の残骸】を残した場所の判断が出来ないかな?結局、何処にマーキングしたか分からないから、正しい場所へ移動できないってわけ。理解できた?」
「ああ、そうゆうことね」
【転移】と【転送】については、ほぼ理解できた。
これなら、大昔に転生して【ウラヌス】が出来る前の大陸に【魂の残骸】を残すことが出来れば、いつでもどこに転生しても【ウラヌス】に【転送】することが出来るだろう。
「随分とまぁ~、便利な移動魔法を覚えたもんだ……」
「でしょ?私も、初めてそれ覚えた時は、感動に震えたもん!やっぱ、超絶便利魔法よね~!」
うわ、テンションMAXの自分を鏡で見ているみたいで、少々恥ずかしい。
あれやね、これで3人の未来の私に会ったけど、他の2人は、これより遙かに高齢の私だったからすごく落ち着きがあった。
だけど、若いからかな?
この私のほうが、私には好感が持てた。
……ジェネレーションギャップとかいうやつなのだろうか?
えぇー、私同士でジェネレーションギャップ感じるのは、なんかやだなぁ……。
「ふぅ……、そろそろかしらね」
私が馬鹿なことを考えてると、不意にばーさんが時計を見て大きく息を吐いた。
「どーした?未来の私?」
「うん?あぁ、いつもの転生の時間だよ……。私はあんたよりも早く、このばーさんに転生してたからね。そろそろ24時間が過ぎるんだよ」
「あー……、そうなんだね」
ばーさんが椅子に深く腰掛けて、眠たそうにゆっくりと瞼を閉じた。
「う~ん、なんか寂しいなぁ……。初めて会話らしい会話を楽しんだってのに……」
「ふふふ、それは良かったよ。転生生活は、孤独だからね……。たまに、知り合いに会えると嬉しいもんさね」
キィキィと椅子の揺れる音が、心地よかった。
ば~さんは、ゆっくりともう一度目を開けると、私を見つめた。
「なぁに、これからこの【ウラヌス】でびっくりするほど、私に会えるから心配しなさんな。それに、複雑だけど色んな知り合いも増えるんだよ。楽しみにしてな……」
それだけ言うと、深く目を閉じて大きく息を吸い込み…………吐き出すことは無かった。
どうやら、行ってしまったようだ。
「ふむ、転生してくる時と違って、出ていくときは静かなもんだなぁ……」
ばーさんを看取ってから、私は大きく伸びをした。
「さてと……」
2階に上がって、《究極超魔法図鑑》を広げる。
少ない時間も勉強!勉強!!
「せっかくの【ウラヌス】。時間を無駄にしたくないしね~」
私は、勢い込んで本のページを捲り続けた。
数時間後……。
私は、頭を抱えていた。
くっそー、どんどん魔法が吸収できているのは非常に良いことだと思う。
でも、なんか体がしんどかったので、ちょっと体を調べてみたのだ。
そうしたら、驚くべきことが分かった。
私の特殊能力【歩み】だけど、これ超絶便利能力だった。
私は、この能力を『生物の歴史を視る事』に重きを置いて使用してきた。
だけど、これ『生物の生態を理解する事』も出来るのは、プラナリアの時にご存じだったと思う。
問題は、『生物の生態を理解する事』の精度。
これ現在の転生体の状態だけでなく、私自身の状態まで理解できたのだ。
今まで謎だった『生命力を数値化したHP』、『精神力を数値化したMP』がバッチリ数字で理解できてしまっている。
そして、現在の私の状態が以下である。
名前:卵
性別:女性 (魂状態)
HP:13/13
MP:219/1031
力:7
防:10
速:9
特殊能力:【歩み】(自分自身の事を全て理解できる能力)
【跳躍転生】(魂が無事ならば、時間や空間を無視して転生し続ける能力)
特殊技術:【暴傷外与】(傷つけることを付加した能力拳法)
【魂糸】(魂を糸状に変化させる技術)
【触魂】(魂糸を操る技術)
【生糸】(糸状にした魂を肉体の外へ出す技術)
【粘度】(変形させた魂の状態を維持し続ける技術)
使用可能魔法:【自己強化】(自分自身を強化。通常時の5倍)
【自己治癒】(治癒能力を強化。通常時の100倍)
【自己強化再生】(自己の強化&肉体を強制改造して再生能力を付加。通常時の7倍の強化。再生は即時発動して、破損状態によってMPの消費が増減する)
【魅了】(意思のある生物を操る。相手の意志の強さによってMPの消費が増減する)
【念力】(無機物を操る。物の大きさや状態によってMPの消費が増減する)
【透化】(肉体を魂と同じ状態に一時的に変化させる。物質への干渉の無効化)
【千里眼】(魂糸の先に視覚をつける。魂糸の届く範囲ならば、視覚の共有が可能)
【転移】(魂糸を伸ばした先へ移動する。速度による移動)
【転送】(マーキングした場所へ瞬間移動する。魂の残骸を辿る霊界移動。自分以外の物も運ぶことが可能)
ふむ、自分自身って意外と理解してないものだね。
恐るべき値は、MPの1031である。
これ、常人の何十倍かはあるんじゃないかな?
しかし、そのMPがなんと、残り5分の1ほどしか無い。
最近、ちょっと無理をし過ぎた感じがあったけど、これ私じゃなかったらとっくに魂消滅してるわ……。
そりゃ、しんどく感じるよね。
精神力の5分の4も消費してるんだもん。
「はぁ~……、せっかくの【ウラヌス】だってのに……」
私は、2階にあるベッドに横になると目を閉じた。
次の転生先で何があるか分からない以上、常にMPは半分をキープしていたほうがいい。
体の力を抜くと、一気に眠りに引き込まれていた。
あぁ、自分が思っていたより遙かに疲れていたみたいだ。
私は、残りの時間を睡眠に当てて、MPを回復することに専念した。
数値化しないと分かりづらいこともあるんだねぇ……。
<今回の転生先で覚えたこと>
・上記の卵の状態参照
・今回のMP:722/1031




