あっという間
いや~、技術の進歩ってすごいですねぇ~。
町にある本屋で【ウラヌス】までの行き方を調べてみたら、5分という文字があった。
何度も目をこすって調べてみたが、どうやら間違いではないようだ。
というのも、一番近い【テントナル】から【ウラヌス】まで行くのに12万と5時間かかっていた時代から330年後の世界に転生した模様。
いやはや、時代とともに技術も進歩するのは知っていたけど、こんなに変わるものなのね。
今では、パスポートさえあれば、転送魔法装置を使って楽に【ウラヌス】まで行けるらしい。
費用もお手頃で3万ほどだ。
……さて、いきなり問題だらけだ。
【自己強化】をして【ウラヌス】まで向かうより、コストもリスクも少ないこの手段を使えるなら、使うに越したことは無い。
転送魔法装置がある都市まで向かうにも、そこまで時間はかからないだろう。
但し、問題が一つだけある。
私の転生体が、子供だという点だ。
パスポートもお金も持ってない。
盗んで誤魔化そうが、この見た目では、装置に入る前に止められるだろう。
「ん~、何か良い方法はないかな?」
思わず、本を手に取ったまま呟く。
「お嬢ちゃん、一人かな?迷子?」
ビクッと体を震わせる。
やばっ、完全に気を抜いてた。
いきなり、知らない女の人に声を掛けられる事案が発生した。
「お母さんは、近くにいるのかな?」
後ろを向いて、一先ず安心する。
どうやら、ただの親切なお姉さんだったようだ。
ニコニコと優しい笑顔で、私に話しかけてきている。
「あぁー……大丈夫だよ、お姉ちゃん。お母さんならいるから」
再び、本に目を向けて、話しかけんなオーラを出す。
小さな親切は嬉しいけど、今は大きなお世話でしかない。
「ん~?じゃあ、お姉ちゃんも一緒にお母さん待っててあげようねぇ~」
あー、このババア一気にうざいわ……。
ほっとけって態度で表してるのに、なんかお母さんに引き渡すまで私が見守る的な気合が、見て取れる。
「……うざい」
指先から糸を出すイメージ。
そして、それを相手につなぐイメージ。
「あれ?」
まるで触手のように自在に動かせる魂糸。
出現するスピードも、驚くほど速かった。
お節介お姉さんの意識を【魅了】で乗っ取り、3万置いて遠くへ行かせる。
「ふむ……」
蜘蛛の知識が糸を出す行動をサポート、蛸の知識が魂糸を動かすのをサポートしている。
指先に意識を集中して、各指から一気に10本の魂糸を出す。
しかし、自由自在に動かせるのは8本までだった。
「なるほど、無駄な転生なんて無いんだな」
自然に笑みがこぼれる。
これなら、なんとか転生魔法装置の監視をクリア出来そうだ。
私は3万を持ち、本屋を後にした。
目指すは、転生魔法装置があるイブールの首都【イブリナ】。
私は、【自己強化】を掛けると、思い切って走り出した。




