意思の力
精神力は、無くなれば存在そのものが消えてしまいますが、万能の使い道がある力でもあります。
精神力とは、意思の力です。
この世で一番大きな意思の力の名を【欲望】と言います。
欲とは、ある程度の知能を持つ生物全てが持っている『成し遂げたい』という思いです。
欲望の力、それが魔法の原点とも言えます。
そもそも、精神力を使用して起こす奇跡の方法を、何故【魔の方法】と呼ぶのか?
それは、欲というものが人間にとって汚い感情であると思われているからです。
汚い、醜い、負の感情、それが欲望。
故に、それを使用して起こす奇跡なぞ、悪魔の所存だと考える人が多かったのですね。
悪魔の力を使って超常現象を起こす方法。
それが、【魔法】と呼ばれるに至った経緯であると言われています。
そもそも、魔法とは、強い意志によって、思いを具現化させる方法です。
意思を持たない物や、意思の弱い生物に、自分の強い意志をぶつけて動かす【念力】。
治りたいという強い意志が、体の自己治癒能力を向上させる【回復】。
速くなりたいという強い意志が、脚力を高める【強化】。
ただ、当然ですが、強く思うだけでは、治ったり速くなったりはしません。
それをなす為に使用されるのが、精神力MPです。
では、ここで例を出してみましょう。
【念力】の構造について。
もしも、あなたが物を動かす場合、どういった行動をするでしょうか?
引きずったり、押したり、持ち上げたりと、その物体に対して様々な動かす手段を実行するでしょう。
では、あなた自身が動く場合はどうしますか?
多くの場合は、足や手を使用して、自分の意思でその場を移動しますよね。
では、もし意思を持たぬ物体が、意思を持ったらどうなるでしょうか?
魔法の開祖は、それを実行しました。
意思を持たぬボールに、『動きたい』という自分の意思を送り込んだのです。
すると、ボールは勝手に飛び跳ねて、回ったと言います。
自分の想像した通りの動きをしたと……。
方法は、魂の一部を紐状に変化させて、物質に繋げて自分の意思と同調させます。
これで、『動きたい』と思うだけで【念力】は、発動します。
魂には、明確な形と呼ばれるものが存在しません。
分かりやすく言うと、アメーバやスライムといったものと同じような形状をしています。
故に自分の意思で、形を変えることが可能です。
それを利用して、魂を糸や紐状に変化させて相手に接続します。
しかし、ほとんどの人が、自分の中にある魂の存在を感じることが出来ません。
魔法を覚えるときに、最初にやる修行が自分の中の魂を感じる作業です。
魂を感じることが出来れば、形状変化もすぐに出来るようになります。
さて、次は意思を持った生物を動かす場合です。
意思を持った生物の中には、既に魂が入っています。
意思と意思がぶつかった場合、強い意志のほうが優先されます。
相手より強い意志をもって思えば、意思を持った生物でも動かすことが可能です。
但し、物質よりも多くの精神力を使うので注意が必要です。
また、相手よりも意思の力が弱いと、逆に相手に操られてしまう可能性もあります。
逆に、相手が睡眠時や弱っていたりした場合は、容易に操作できるようになります。
意思を持った生物を動かす魔法は、【念力】の一段階上位の魔法で【魅了】と言います。
こういった感じで、強い意志を常に保たなければいけないため、精神力は魔法を使うたびに消耗していきます。
これで、精神力についての説明を終わりとさせていただきます。
私は、パタンと本を閉じると、人差し指の先を見つめた。
私の魂から、糸を生み出すイメージ。
そして、それをこの指先から出すイメージ。
うにゅうにゅっといった感じで、指先から半透明の細く白い糸のようなものが出てくる。
それを、私の左斜め前で勉強に集中している女の子の前を何度も往復させるが、反応がなかった。
ふむ、自分の魂は、基本的に相手には見えないみたいだね。
糸を女の子の座っている椅子に繋げて、『後ろへ動け』と念じる。
ズズズッ
突然、後ろへ引きずるように動き出した椅子に、女の子は驚き戸惑っていた。
ふむ、魂の存在である私に、魂を感じろとは。
この本、本当に馬鹿なことを書くなぁ。
自然と口の端が上がる。
どうやら、私。
勉強によって【念力】を覚えてしまったようだ。
<本日の成果>
・魔法【念力】の習得。




