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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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また歴史が変わる事態に!?

「鈴ちゃ~ん!!」

 【蜘蛛の手】による影が消えた瞬間に駆け出したのは、一番若いわたしだった。

 彼女は、急いで【魂糸】で魂を肉体に縛り付けた。

「待ってて!すぐに、治すから!!」

 鈴ちゃんを仰向けにすると、彼女の体をさするように手を動かし始めた。

 だが、いくらやっても何も変化は訪れない……。

「なんで?なんでぇ!?なんで、【聖天癒塞】も【蘇命神奇】も使えないの!!……っていうか、忘れちゃてる?」

 悲痛な叫び声を上げる卵の肩に手を乗せて、私は彼女を後ろに下がらせた。

「ZEROは、死にかかっているわ!貴方なら、分かるはずよ!なんで、使えないのかが……。理解したなら、黙って事の成り行きを見学していなさい!貴方は、最後まで見ていかなくてはいけないの!これからの事に、対応していくために!!」

 今は、一刻も早く鈴ちゃんの治療に当たらなくてはいけない大事な時だ。

 詳しい説明は、後回し!!

 私は、血塗れの鈴ちゃんの前に座ると、手術に邪魔な衣服を左右に切り裂いた。

「なっ!師匠!!」

「師匠!?だだだ、大丈夫なんですか、先生!!治るんですか!!」

 どうやら、神楽坂姉妹も鈴ちゃんの様子に気が付いたようだ。

 誰が見ても手遅れの状態の鈴ちゃんに、弟子の2人が狼狽していた。

「大丈夫ですよ、信じましょう!君たちの先生を……」

 混乱して泣きそうになっていた二人を優しく抱きしめたのは、詩ちゃんだった。

 きっと私の治療の邪魔になるからと、2人を抱きとめてくれたのだろう。

 ならば、その期待に応えなければならない!

 私達は、私達でベストを尽くのみ。

 私は、体に大穴を開けた鈴ちゃんの体を凝視する。

 肉体の大部分が吹っ飛んでおり、内臓も多くが使いそうになりそうもなかった。

 この鈴ちゃんの姿を見るのは、今回で5回目だ。

 何度見ても、自分に嫌気が差してくる。

 こうなると分かっていて、私は鈴ちゃんと大総統を戦わせたのだ。

 言ってしまえば、私が親友に瀕死の重傷を与えたも同然だ。

 自分が一番疲労していなかったのに、戦わなかったことが悔やまれる。

 いや、当然分かっているのだ。

 未来から来た無関係な私が大ボスを倒していいわけが無い。

 この歴史のけじめは、絶対に鈴ちゃんがやらなくては駄目だと理屈では分かっていた。

 だからこそ、他の参謀長を倒すことに全力を注いだのだ。

 なるべく、鈴ちゃんを疲労させないで大総統と戦わせてあげたかったから……。

 しかし、到着の遅れで、私が着いた時には鈴ちゃんの方が疲労していたし、傷ついていた。

 理屈では納得していても、心が納得できていない……。

 だからこそ、絶対に鈴ちゃんを死なせてはならない!

 ちらりと、他の卵達を見る。

 一人泣き続けている一番若い卵以外は、もうこの最終決戦経験者だ。

 この後どうするかは、語らなくとも知っていた。

 私は、魔法で手術用具を【転送】させた。

 既に鈴ちゃんは、弟子達に魔法を教えているのだ。

 よって、魔法は自由に扱える。

 先ほど、若い卵が使用しようとしたのは、【能力拳法】だ。

 現時点では、まだ鈴ちゃんが【能力拳法】自体を広める前の時代なのだ。

 もしも、ここで鈴ちゃんが亡くなったら、消えてしまうような不安定な【能力拳法】なんてものを、このタイミングで使えるはずがない。

 ここは、前にも経験したあみだのように未来が変わるかもしれない分岐点。

 鈴ちゃんが生きるか死ぬかによって大きく歴史が変わる重要な場面なのだ。

 幸い、私には【歩み】で得た知識がある。

 色々な医者の体を転生によって渡り歩いてきた。

 未来の技術といえども、医学の知識はZEROとはなんの関係もない。

 よって、その知識ならば問題なく使用できる。

「どうするの……、こんな重症の鈴ちゃん……。普通じゃ治療できないよ!!」

「確かに……。普通だったら、私でも手術なんて出来ないわ。普通だったらね……」

 簡易の無菌室を作りだし、その中で手術道具を並べていく。

 既にありとあらゆるものの消毒は済んでいた。

 私は、準備が出来たとわたし達に告げた。

 すると、2~4回目の転生経験の卵達の姿が変化した。

 彼女達は、鈴ちゃんそっくりの姿へ【変身】すると、無菌室に敷いたシーツの所へ全裸で一人寝っ転がり、2人は胸部分から管みたいなものを出し、鈴ちゃんの両腕に突き刺した。

「いいわね、卵達わたしたち?」

「当然でしょ!」

「絶対、助けなさいよ!」

「死なすんじゃないわよ!」

 彼女達の言葉を聞いて、喜んで頷いた。

「任せない!」

 私は、鈴ちゃんへ【変身】した卵のお腹を開いた。

 鈴ちゃんの体から失われたり、機能しなかったりしている臓器と交換してはつなげていった。

 臓器移植は、本来ならば拒絶反応などを確認してから行わなくてはいけない作業だ。

 しかし卵達は、鈴ちゃん事態に【変身】したのだ。

 臓器から血液型、全ての大きさをまったく変えることなく同じに【変身】した。

 拒絶反応など、起こるはずがない。

 鈴ちゃんの両脇に座る卵は、ひたすら失った血液の補充に努めた。

 一人の卵から取り出した臓器をひたすら交換していく。

 戦闘と手術で失った血液は、両脇の卵がひたすら補充していく。

 泣き続けて気が付いていないが、若い卵は、ひたすら魂と肉体が離れないように【魂糸】で固定していた。

 後は、冷静に素早く私が作業を進めていけば、大丈夫……。

 魔法で治癒速度を速めながらの手術は、3時間ほどで完了した。

 臓器を失った卵は、満足そうな顔で死んでいた。

 鈴ちゃんの両脇にいた卵は、しわしわのおばあちゃんのようになって失血死していた。

 戦闘と手術で失った血液は、完全に補充させることが出来た。

 臓器も全て完璧につなげて、違和感なく機能していた。

 3人の卵達の犠牲の上で、手術は無事に成功した。

「ありがとう……卵達わたしたち

 私は、既に新たな転生へと旅立った彼女達に感謝の言葉を言ったのだった。

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