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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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実暦1230年5月22日を選んだ理由②

 目を覚ますと、そこには空気が無かった。

「ぐわっ!!」

 喉から僅かに出かかった空気を押し込んで、急いで【変身】をする。

 【変身】したのは、【クマムシ】と呼ばれる生物で、乾眠することであらゆる状況の変化に耐えられることが出来る能力を持っていた。

 私は、このよく分からない状況で、とりあえず生き延びることを優先した。

 すぐさま乾眠状態に入り、意識を失う。

 この状態に入ったら、水を得るまでずーっと乾眠状態が続くのだ。

 自らの意思で目覚める事は出来ない。

 最悪このまま無駄に一日眠ることになるのだが、それでも別に良いと思ったのだ。

 

 ……しかし、次に私が目を覚ましたのは、乾眠からの目覚めだった。

 先ほどとは、うってかわって空気で満たされた世界。

「ようやく、お目覚めかしら?」

 気が付くと、私の前に彼女が立っていた。

 彼女に会うのは、本当に久しぶりだった。

 やあ!と声を掛けそうになって、自分の姿がクマムシである事を思い出す。

 私は、【変身】でいつもの少女の姿に戻ると、彼女に声を掛けたのだった。

「やぁ~、久しぶり!!っていうか、紀元前に会うのは初めてかな?」

「そうね~、私は何度も会ってるけど、貴方は初めてでしょうね。だからこそ、私が案内に来たわけだし……」

 彼女の右手には、花瓶が握られていた。

 なるほど、私の乾眠を覚ましてくれたのは彼女だという事か……。

 私の姿を見つけて、水を掛けてくれたみたいだった。

「それにしても、案内ってどういう事?ってか、ここはどこ?」

 キョロキョロと辺りを見回して、あまりの光景に驚愕する。

 周りには、死の世界が広がっていたのだ!

 きっと、ここはそこそこ活気があった町だったんだろう。

 ……しかし、今ではそこで動く者はだれ一人いない。

 町民全員が苦しみの表情を浮かべたまま亡くなっていたのだ。

「なっ!これは、一体……」

「騒がないの。戦争中なんだから、人が死ぬくらい当たり前でしょ」

 彼女の言葉に驚いて、顔を見上げた。

「え?今、戦争中なの?ってことは……、ZEROが【アダモグランディス】を侵略している最中だって事?」

「そうよ、ようやくその時だって事!」

「おぉ!」

 私は、感嘆の声を上げた。

 長いようで短かった紀元前での固定生活が、遂に終わりを迎える。

 その事実が素直に嬉しかった。

 ……しかし、その喜びもすぐに落胆へと変わる事となった。

 彼女が今までの事を説明してくれたのだ。

 私はそれを聞いて、一気に気分が沈みこんだ。

「えぇ……、マジですかー?」

「大マジよ!詳しい説明は、後で詩ちゃんにお願いするからしっかり聞いといてね!」

 彼女は、私の手を取ると駆け出そうとしていた。

「ちょ!ちょ!ちょ!一体、何処へ行くつもりなのよ!!」

 先ほどのショックから立ち直れない私は、彼女のいきなりの行動に驚き戸惑った。

 彼女は、問答無用とばかりに、私を抱きかかえて走り始めていた。

「行先は、最後の決戦の場に決まっているでしょう?ただでさえ戦力が足りてないんだから!!」

「は?ええ?どういう事なの?」

「敵のボスが分身能力持ちって言えば分かるかしら?」

「あっ……」

 彼女のその言葉でなんとなく事情を察した。

「もしかして、猫の手も借りたい状況ってこと?」

「まさしく!」

 私は彼女に抱きかかえられたまま、戦場まで運ばれていく。

 流れる風景を見ながら彼女へと、これからについて質問をぶつけてみた。

「さて、私は戦場についたらどうすればいいの?」

「まぁ、ボスの分身を一体引き付けるだけで良いわよ。後は、状況で判断してくれていいわ」

「分かったわ~。……後、どれくらいで着きそう?」

「う~ん、他にも寄るところがあるから、30分ってところかな?何なら、先に行ってもらってもいいけど……」

「あ、じゃあ先に向かうわよ。それほどのピンチなんだったら、早めに一人でも駆けつけたほうが良いでしょ?【千里眼】を使えば、大体の位置を教えてくれるだけでたどり着けると思うし……」

 私は、彼女の腕から降り、【自己強化再生】を使用してから【魂糸】を展開する。

「それは、ありがたいわ~。ちなみに【アダモグランディス】北の本当に先の方。座標でいうのなら、根20:葉1200くらいかな?なんか古いお城みたいのがあるところよ」

「ふむ、確認したわ!……じゃあ、先に行っているわね!」

「頼んだわよ!」

 私は、彼女と別れる前に最後の質問をしてみた。

 それは、私がこれからを覚悟するためにも必要な質問だった。

「……ねぇ、貴方は一体、何回目なの?」

「私は、最後の回目・・よ。では、お先に失礼するわね!」

 彼女はとびっきりの笑顔を見せた後、向こうの方へ駆けていったのだった。

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