再確認
未来の自分と話ができたことで、これからやることが決まった。
ただ、その前に1から整理が必要だと思う。
私の知識の量は、無駄な知識も含まれているので、非常に膨大なものとなっている。
なので、定期的に知識の整理をしないと、頭がうまく回らなくなってしまうのだ。
まぁ、私自身、整理が好きだってのもあるんだけどね。
まず、生まれてすぐの目的【転生後、すぐに死ぬ状況を抜け出せる力を手に入れる】。
これは、【自己強化再生】と【暴傷外与】を手に入れたことで解決した。
次の目的が、【自己強化再生で治らない病気の治療方法】と【自分以外を治療する方法】の獲得。
これは、まだ解決できていない。
病気に対して免疫を持つ生物の知識を多少は得たが、知識だけでは何にもできない。
また、不治の病と呼ばれるものに対する手段は、知識すら得られていない。
相手に【再生】を施す方法も分かっていない。
この2つの目的については、2割ほどしか進展していないといった感じ。
そして、前回の私との会話で分かった、私のすべきこと……。
1つは、魔法の国【ウラヌス】で、魔法を学ぶこと。
現時点で、私が使用できる魔法は、【自己強化】と【自己回復】、それらを掛け合わせて強化させた【自己強化再生】の3つのみだ。
これは、月詠とプラナリアの歩みを視て、知識に加わった魔法だ。
なので、原理とか理論などを、私が理解できていない。
月詠は、一応ゼロから、魔法の基礎や知識を教わっていたが、才能がなかったことを自覚した月詠が、それらを真面目に覚えようとしなかったのだ。
私の歩みを視る力は、その者が死んだときに到達していた知識に準ずる。
故に、小さいころに教わったことや、昔の記憶などで、忘れてしまったことは、知識として視ることができない。(但し、生物が生きるため無意識にしている細胞活動などの仕組みは、歩みを視ることで理解できる)
ちなみに、私が【自己強化】と【自己回復】を【自己強化再生】にすることができた理由は、月詠が【自己強化】と【自己回復】に関してのみ、深い知識を持っていたからである。
魔法と一言で言っても、どうやら色々と系統があるようで、一つができたからと言って、魔法をなんでも使えるようにはならない。
分かりやすく例えるなら、医者といっても内科や外科があり、専門科以外の治療が出来ないようなものである。
私は、木草界全ての系統の魔法を覚える気でいる。
そうすることで、色々と対応できるようになると考えているからだ。
私が半年の転生で得た知識は、日常生活をするということにおいて非常に役に立っていた。
全ての国の言語は習得できているし、歴史や習慣や土地柄なども理解できていた。
そこで、この木草界の常識を知った。
この世界では、肉体→魔法→科学→工学の順に、弱い力となっている。
それは何故か?
……この世界では、鍛えれば鍛えただけ強くなれるのだ。
強さに際限がない世界、それが木草界である。
肉体を鍛えれば、魔法を無効化でき、爆発にも耐えられ、剣も銃も効かなくなる。
だけど、私には肉体が無いので、肉体を鍛えることができない。
魂の精神を鍛えることしかできないのだ。
精神の力のことを、この世界では【魔力】という。
その【魔力】を利用した力のことを、【魔法】というのだ。
さて、この魔法だが、木草界では、ありふれた力では無い。
そもそも、この魔法を最初に作りあげたのが、最初の魔女であるゼロだ。
ゼロは、この世界で魔法を広めようとはしなかった。
その理由は、分からない。
しかし、そんなゼロが唯一魔法を教えた少女達がいた。
それは、彼女の弟子で、後に魔女と呼ばれる者だった。
魔女しか知らなかった魔法を、この世に広めた存在。
それが、魔法の国【ウラヌス】を管理する【ラリファン・ルルル】という名の魔女だった。
【12番目の希望】と呼ばれる、ゼロ最後の弟子である少女。
彼女は、他の魔女たちよりも魔法の才能があった。
それは、ゼロすら凌駕するほどものだった。
彼女がゼロの元を卒業して【ウラヌス】を造った時、彼女を支えたものは魔法だった。
魔法の力で、国民を幸せにして、国を豊かにしていったのだ。
そして、彼女は、自らの国の方向性を見出す。
【ウラヌス】は、魔法で繁栄させていく!と……。
そして、国民に魔法を教え始めたのが、魔法が広まった始まりだといわれている。
だが、月詠の例を視て分かるように、魔法を覚えることは、簡単ではない。
非常に長い歳月と、膨大な量の勉強をして、指先に火を灯すのが限界だったという人もいる。
まぁ、私が過去に転生した【ウラヌス】出身の男がそれだったんだけどね。
彼の血のにじむ努力は、マッチ棒程度だった。
それに絶望して、彼は【テントナル】へ逃げたという歩みを視た。
魔法を使うには、センスと才能と努力と知識が必要なのだ。
それらを学べるのが、魔法の国【ウラヌス】である。
ただ、【ウラヌス】は、ゼロ最後の弟子が造り出した国。
全ての国の中で、歴史が2番目に浅い国だ。
つまり、魔法が木草界に広まったのは、そんなに昔のことじゃないのだ。
そのせいか、【ウラヌス】以外の国で魔法を勉強するのは、非常に難しい。
国によっては、【ウラヌス】が発行している魔法の書物すら無いだろう。
「ふむ、やっぱりテントナルの図書館には、それでもまだあるね」
昆虫の国【テントナル】から、海を渡った先にある島国。
それが、魔法の国【ウラヌス】である。
距離的に近いのが、【スカイ】、【イブール】、【テントナル】の3国になる。
この3国は【ウラヌス】と近いこともあって、お互い貿易が盛んである。
そのため、魔法が広まって間もない時代でも、魔法関係の書物が図書館などに置いてあるのだ。
私は、【テントナル】の図書館で、魔法に関する書物を読みながら、これまでのことを整理していたのだった。
「早いとこ転移を覚えなきゃ、どうにもならないな……こりゃ」
初めは、【テントナル】から【ウラヌス】へ向かうつもりだった。
その方法を調べるために、図書館に来たのだったが……。
【テントナル】から【ウラヌス】へ一番早く行く方法で、掛かる費用が12万、5時間の旅。
全ての国の中で、一番【ウラヌス】に距離が近い【テントナル】でさえ、これである。
思っていた以上に、全てが大変だった。
人型に転生したときだけ、不便なく勉強ができる。
でも、3国以外で転生した場合、【ウラヌス】に行くだけで時間とお金がかかる。
また、過去へ転生した場合、建国が遅かった【ウラヌス】自体が存在しないことがある。
人以外に転生した場合、未だに生きるのに精いっぱいである。
「はぁ~……」
考えがまとまるほど、憂鬱になっていく。
まだ、すべきことの1つ目について考えただけで、このざまである。
すべきことの2つ目は、これよりもっと大きな問題。
アダモゼウスについて考えなくちゃいけないのだ。
私は、彼女に吸収されて、消えたくない。
……なら、どうすればいいのか?
「はぁ……」
私は、考えが出ないまま、魔法の書物をめくっていた。
まだまだ【テントナル】の少女での出来事になります。




