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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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私と私

今回の話は、ちょっと胸糞悪いお話です。

女性の方は特に、気をつけてお読みください。

 【ガラッパ】の女の子の後、転生を繰り返して半年ほど経った。

 全ての国の言語と知識を理解して、歴史もそれなりには把握できるようになった。

 しかし、病死の回避方法と、他人を治す方法は、いまだ発見出来ずにいる。

 というのも、まず病気だが、人によって治し方が違うのだ。

 祈祷師に転生した知識では、神様にお祈りする。

 医者に転生した知識では、免疫機能を向上させる、抗生物質を注射する、薬を飲ませるなど。

 魔法使いに転生した知識では、除去魔法を開発する。

 大司祭に転生した知識では、全てを受け入れて死を享受する。

 ……彼らは、それぞれ全てが正解だと思っているのだ。

 それゆえ、私には、この中から一番有効な手段を探し出すことが出来ない。

 残念ながら、少しづつこれらの意見をまとめて、真実の答えを導き出すしか方法がない。

 次に、他人を治す方法だけど、これもほぼ上と同じ理由である。

 治し方が多々あるので、一番効率の良い方法を探すのに時間がかかっている。

 さらに、ほとんどの治す手段は、時間がかかるものなので、困っているのが現状だ。

 私に許された時間は、最長で24時間。

 それで、せめて一命を取り留めるところまでもっていく技術が欲しい。

 とりあえず、魔女、化学の国【ファーベル】の化学者、魔法の国【ウラヌス】の大魔法使い、科学の国【ファミニ】の科学者、始まりの国【マールド】の医者、この辺りに転生できないと進展はしないだろう。

 転生した肉体で、その国の職業者の元へ行ってもいいけど、歩みを視ることが出来ないため、一日職業体験というたいして意味を成さない時間を過ごすだけで終わってしまうと思う。

 やれやれ、まだまだ問題解決には、至りそうもない。

 そんなことを考えていたら、ズキリという痛みで意識が覚醒した。


「……ふぅ、今回は何だよ?」

胸がとても痛い。

 見ると、胸に深い刺し傷があり、血が溢れていた。

「自己強化再生」

 私がつぶやくと同時に、傷が無くなり、痛みがとれる。

 辺りを見渡すと、どうやらここは山奥の小屋のようだった。

 私の隣には、デブで眼鏡を掛けた中年のおっさんが包丁を持って立っていた。

「なっ、なんで!雪子ちゃんが、生きているんだな!?」

 ……あー、なるほど。

 そういうことなのか?

「……あんた、この体のストーカーか何か?」

 私は、自分自身を指差して、おっさんに問いかける。

 しかし、おっさんはぶるぶると、その巨体を震わせるだけで答える気が無い。

「ゆっ雪子ちゃんは、ぼっぼくの聖剣で、永遠の存在になるんだな!生きてちゃダメなんだな!!」

 あー、もう理解できた。

 このおっさんは、殺されても仕方ない奴だ。

 また、包丁で刺されるのも嫌なので、さくっと痛めつけて、動けなくしてから歩みを視よう。

「暴傷外与&蹴り」

「ひばぐっ!」

 傷つける能力を付加された蹴りで、血だるまになり床を転がるおっさん。

 歩みを視る前なのに、何故か心地よさが広がる。

「ふむ……」

 嫌な予感がした。

 血まみれでピクピク動いてるおっさんは、生憎まだ生きている。

 それは、私が手加減をしたからだ。

 自慢ではないが、私は今まで感情に任せて生き物を殺したことが無い。

 それは、私が生きることの大変さを誰よりも知っているからだと思う。

 食べるためや生きるためにしか、生き物を殺したくないのだ。

 だけど、なんかヤバイ……。

 すごく不思議な感覚。

 まるで、自分が自分ではないような感じ。

 ああ、これはそうだ……、ハリガネムシに操られていた時の感覚に似ている。

 ゆっくり目を閉じて、歩みを視る。


 ・両親の一人娘として、大事に育てられる。

 ・毎日が幸せで、平和な日々だった。

 ・中学生になり、学校の周りに不審者がうろつくようになった。

 ・中学2年生の時に、足が側溝にハマってしまったおじさんに助けを求められた。

 ・手を貸して引き上げて、おじさんを助けてあげた。

 ・そのおじさんに良く声を掛けられるようになった。

 ・気持ち悪い

 ・挨拶を返すが、そのたびに笑いかけられた。

 ・気持ち悪い

 ・靴下を売ってほしいと言われた。

 ・吐き気がする

 ・髪の毛を一本欲しいと言われた。

 ・パンツを

 ・ブラ

 ・

 ・黒い袋をかぶせて

 ・腕を縛られ

 ・お腹の奥が痛い……

 ・引き裂かれるような痛みが、気持ちも

 ・


 ・お股が ベタベタ

 ・気持  ちわ る

 


 ・……殺してやる

 ・コロシテヤル!!

 ・かなrzころlしてうあがるおう!!1!!

 ・ああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 ・ぶっ殺してやるああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「ぅおぇええええええええええええ」


 びちゃびちゃびちゃ


 体の奥底から湧き上がる感情と共に、お腹の底から湧き上がるものを床にぶちまけた。

「がぁあ、うぉぁ、うげぇええええええあえ」

 目から、鼻から、口から……。

 私の中の水分が出ていく。

 私に入っていた、あの男の体液を吐き出す勢いで……。

「うあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 おそらく、殴ったのは、私ではなく彼女なんだろう。

 限界まで膨れ上がった彼女の怒りが、呪いへと姿を変えて、転生してきた私の意思を無視して、男へ無慈悲な暴力を振るった。

 丸々とした体で縮こまっていたおっさんは、穴の開いた風船のようにしぼんで、くちゃくちゃになった。

 真っ赤な部屋と真っ赤になった私。

 全て返り血だと説明すれば、その惨劇が想像できるだろうか?


 しかし、こんなことは初めてだ……。

 すべて吐き出して、落ち着いた心で考えた。

 歩みを視て、相手の感情に支配されるなんて、今までで一度も起こったことが無い。

 きっと、それほどの怒りだったのだ。

 恨みだったのだ。

 憎悪だったのだ。

 この化け物じみた感情の爆発が、呪いとなり、おっさんを死に至らしめたのだろう。

 体が震えだす。

 ここまでの恨みを買う方も、ここまで相手を憎む方も、どちらも怖かった。

「ん?」

 突然、おっさんの体が震えだす。

 瞬間、爆音と稲光が辺りを包んだ!

「ぐっ!これは、まさかっ!!」

 おっさんが青白い光に包まれ、ゆっくりと目を開けた。

「がはっ!イタタ……自己強化再生!」

 数秒前まで、ただの肉塊だったおっさんが、元の姿に戻っていく。

「ん?」

 私の姿を見つけて、にやりと笑う。

「おおっ!私じゃん!!ってことは……うわっ!私、あのストーカー野郎の体かよ!!」

 ……いや、いつか会うとは思ってたのよ。

 私の転生は、時間も空間も飛び越えて行けるらしいしね。

 でも、まさか私が殺した相手の肉体に、転生してくるとは思わないじゃない?

「なんだよ、ハトが豆鉄砲くらったような顔して……。久しぶりに会ったんだ、色々語ろうぜ!」

 そういって、キモイおっさんの顔で笑う私。

 私は、私と遭遇した。

 初めて、私自身と出会ったのだった!

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