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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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お前がママになるんだよぉ!!

「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!!」

 近くで赤ん坊の泣き声が聞こえる……。

 一体、今回は、何があったんだろう……?

 私は、ゆっくりと目を開けて、辺りを見回す。

 なんだか、今回の転生は異常に気怠い。

 ものすごくかったるい体を起こすと、私は確認の為に、辺りを見回した。

 上空には、満天の星空がある事から、今が夜で、ここが外だという事が分かった。

 でも、辺りは真っ暗で何も見えない。

 ただただ、赤ん坊の泣き声だけ聞こえる。

「【松明たいまつ】」

 私は、一番手軽な光源である火の玉を起こす魔法を使用した。

「いいっ!?」

 思わず、すっとんきょうな声を上げてしまった。

 今回の私は、人間の女性のようだった。

 着物のような服装で、下着は着けていなかった。

 血濡れの股間の先には、両方の手の平を広げたくらいの大きさの赤く平べったい肉の塊が落ちていて、そこからは、白く細長い紐のような物が伸びていた。

「あわわわ」

 こんなに混乱していたのは、初めてじゃないだろうか?

 光源で紐の先を照らすのが怖い。

 だって、その先で赤ん坊の泣き声が聞こえるから……


 ゴクッ


 口の中に溜まった唾を飲み干す。

 私は、深呼吸をすると、思い切って光源を先へ向けた。

「おぎゃあ!おぎゃあ!!」

 その先に、赤ん坊がいた。

 白く細長い紐は、まだ赤ん坊のおへそと繋がっており、出産間もないことが分かった。

「なんてこった……」

 今回、私は、出産によって亡くなった母親に転生してしまったようだ……。

「おぎゃあ!おぎゃあ!!」

 大泣きを続ける赤ん坊の声に我に返って、大慌てで処置を施そうとする。

 光源を上に向けて、炎の勢いを増して辺りを照らすようにする。

 すると、そこは森の中で、周りは木しか確認できないようなところだった。

「ぐぅ!とりあえず、別荘に連れていく?でも、別荘が出来る前の時代だったら、意味が無いし……」

 生まれたばかりの赤ん坊を前に、ひたすら狼狽えてしまう私。

 何をすべきかが全然分からない……。

 それでも、なんとか赤ちゃんの泣き声を止めようと必死になった。

「まずは、ここじゃ駄目だ……。人のいるところへ行かないと……」

 私は、胎盤ごと赤ん坊を腕に抱くと、【転送】で一番目に出来た国【マールド】へと向かった。

 【マールド】なら、よほど昔でなければ、建国されているはず!

 私は、そんな浅はかな考えで、【マールド】へと向かったのだった。

 

 そして、私は赤ん坊を抱きかかえたまま立ち尽くす。

 あちこちから聞こえる爆発音の数々。

 燃える建物に、断末魔の叫び声……。

「……嘘でしょ?」

 初めて出産死した母親に転生したばかりではなく、時代もここなの?

 まったく、神様は本当に過酷な試練をたまにくれる!

 私は、近くにあった比較的無事な建物の中に逃げ込もうとするが、その前に建物が爆弾によって破壊された。

 ここは、帝国【サナルアダモ】。

 鈴ちゃんが住んでいた国であり、連合帝国【アダモグランディス】の一つである。

「あう、どうすれば、どうすれば!!」

 藁にもすがる気持ちとは、こういうもの気持ちなんだろうか?

 もう私は泣きそうになっていた。

 腕の中で抱えた赤ん坊の声が心なしか小さくなっているような気がした。

 未だに、へその緒はつながったままだ。

「このままじゃ、このままじゃあ……」

 

 その言葉が頭の中に浮かんできて体が震えた。

 それだけはだめだ……。

 この母親は、命を賭して、この子を産んだんだ。

 だったら、私はこの子を必ず救わなくてはいけない……。

 でも、私は、どうすればいいのか分からなかった。

 産婦人科医に転生したこともあったけど、へその緒を斬る物も、その斬った後に処置する物も無い。

 簡易でもいい!

 赤ちゃんを取り上げるための設備が欲しかった。


 バゴーン!!


 また、私の近くで爆発が起こり、建物が吹き飛んだ。

 私は、【自己強化再生】済みなので、赤ん坊を庇う様にひたすら抱きかかえる。

 もう【ガラッパ】のジャングルまで戻って、葉っぱなどで処置してしまおうかと思った時だった。

「ちょっと、ちょっと!!貴方、そんなところにいるとあぶないよ!!」

 瓦礫と化した建物を乗り越えて、少女が姿を現した。

 少女は、全身バチバチと電気のようなものを纏っていて、紫色の光に覆われていた。

 そして、私はそんな彼女の姿に見覚えがあったのだ。

「双葉ちゃん!助けてぇ~!!」

 知り合いに会えたことで安心したのだろうか?

 自然と涙がボロボロと溢れてきた。

「おっと!?鈴さんからもらったばかりの名前を何で知ってるの?知り合いだっけ?」

 にやりと私に笑いかける少女。

 それは、これから魔女となり【ファーベル】を建国する予定・・の少女【神楽坂かぐらざか 双葉ふたば】だった。

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