要るもの と 要らないもの
布団にくるまり、横になりながら、色々と考える。
私は、一体何がしたかったのだろうか?
まず、お母様が気に入らない。
これは、間違いない。
必ずいつか殺す存在で、一番嫌いな生き物だ。
こいつは、最も要らない。
こいつを殺すために、色々と努力をしているといっても過言ではないだろう……。
次に、姉さんだ。
こいつは、裏切り者。
初めは、守ってやろうと思ったけれど、今はもう要らない存在だ。
お母様の話では、こいつの【剣聖界】は、私の【木草界】よりも上になりつつあるらしい。
……よし!貰ってしまおう!!
こいつが死んだら、私が【剣聖界】を貰ってあげよう。
うん、それがいい。
きっと、私のほうが【剣聖界】を有効に使えるに違いないだろうしね。
かなりイライラする存在で、もう要らないけど、残念ながらまだ情がある。
殺すまではいかないけど、もう二度と助けない。
謝っても許してやらないし、もう容赦はしない。
それだけの価値に成り下がった生き物だ。
次は、妹。
大事な大事な存在だった。
一番大好きな双子の妹。
……でも、先日の廊下での会話が忘れられない。
彼女は、私を憐れんだ。
彼女は、私を庇おうとしていた。
彼女は、私に情けをかけた。
……分かっている、彼女に悪気はない。
でも……だ!!
彼女がした行為は、上に立つ者がやるべきことであって、決して下の者が上の者にやっていい行為ではない!!
私は、彼女の行為に侮辱を感じた。
彼女の行為に、自分がそんなに優れた存在ではないのだという、追い打ちを掛けられたかのように感じたのだ。
……私は、姉妹の中で一番優れた存在だ。
お前達ごときが、私を見下していいはずがない!
お前達の為に、私は道化を演じてやったのだ!
ワザと、戦争を起こしてやったのだ!!
そもそも母を不快に思って、殺そうと考えたのも!!!
……いや、もう考えるのは止めよう。
それよりも、妹だ。
彼女は、私にとって要る存在なのだろうか?
……まだ、要る存在だと思う。
私は、なんだかんだ言って、まだ妹のことが好きだ。
まだ、守ってあげたいと感じている。
逆に、妹以外の存在は要らない。
私が叱られる原因となった【木草界】も要らない。
私に言われたことを忠実に守るだけで、気が利かない【木草樹】も要らない。
所詮は、母が良い世界だと認識できてさえいれば、それでいい。
私にとって、【木草界】とは、母の御機嫌取りの為のアイテムでしかないのだ。
あと、【木草樹】と、この【魂】と、私自身が鍛えられる修行場、遊び場であれば十分だ。
私は、机の上に乗っているガラス瓶の中の魂を見た。
私のカス魂は、結構大きくなっていて、あと木草界の年月で800年もすれば、融合するのに十分な大きさになるだろう。
【芽吹 双葉】の魂から全ての記憶を抜き取り、人格と一般知識だけを残して、その魂と私のカス魂を融合させる。
そうすれば、碌なしつけもせずに、一般知識と常識を持った魂がお手軽に完成するのである。
まぁ、【芽吹 双葉】の魂は、カス魂に吸収されて消滅してしまうけど、たかだか【木草界】の一魂だ。
もう、二度と復元できなかろうが、何一つ問題ない。
その時点で、私の新たな計画の第一段階が完成となる。
初めは、上手くいかないでしょうから、消滅間際まで転生を繰り返させて、MPを強化後に知識を奪い、どこか別の場所に、力を溜めていきましょう。
そして、その魂を分裂させて、同じ行為を繰り返して、徐々に力を溜めていって、強靭な魂をつくろう。
「……ふふふ、もし上手くいって、初回で一気に魂が成長したら、いいけどね」
そうなれば、儲けものだ。
そうすれば、一気に計画を早く進めることが出来る!
私は、布団にくるまりながら、今後の展開に思いを馳せた。
謹慎中に一人きりで様々なことを考えた私の頭の中では、ものすごい勢いで取捨選択が行われていた。
暗い部屋の中で、一人きりで行う取捨選択は、どんどん暗さを帯びて、どん底までの嫌な考えに至る。
私の中で、守ろうと考えていた姉は、やがて殺す対象とまで評価が落ちた。
母は、謹慎という馬鹿な行為を私に課したことで、自分の首を絞めたことに気が付いていない。
謹慎中、私は【木草界】を気にしないで、思い切り考えることと準備を進めることが出来た。
この『女神が生きる世界の神になる』という、私の最終計画の!!




