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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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加護

「おお、お久しぶりでございます、母上様!」

「ああ、そんなに畏まらなくていいわぁ。今日は、木草樹ちゃんにお願いがあってきたのよん♪」

 相変わらず、バカでかい樹木である。

 私が女神として誕生して、ありったけの魔力を込めた種から発芽したのが木草樹ちゃんだ。

 それを私の部屋で、そこそこ立派な樹木になるまで、様々な教育をした。

 木の幹を擦り合わせて音を出せるようにして、会話を可能にした。

 考え、判断する知性を与えた。

 奇跡を起こせる力を与えた。

 ただ、自ら動く手段だけは、与えなかった。

 自由に動けず、何処にも移動出来ないからこそ、私は【植物】をこの世界の神にしたのだ。

 万が一、私に逆らったり、邪魔をしたときに、私から逃げることの出来ない様に、じっくりとお仕置きを受けられる様にと……。

 フフフ、私ってなんて優秀な女神様なんでしょう!

「フフフ♪」

 思わず自画自賛してしまい、口から笑みがこぼれる。

「フフ、今日の母上様は、気分がよさそうですなぁ~。して、お願い事はなんでございますかな?」

「ああ、大したことではないのよ。今、木草樹ちゃんが保管している魂で 活きのいいやつを1つ、私に寄越しなさい!」

「フム、……では、この魂が一番活きがよろしかと思います」

 私の言葉に、少し思案した木草樹だったが、私の目の前に木の実を突き出し、中から魂を出した。

「よしよし……ん?」

 しかし、木草樹が出した魂に寄り添うように、もうひとつ木の実から魂が出てきたのだ。

 私は、ちらりと木草樹を睨む。

 その視線に、木草樹は小さく息を飲み込むと、慌ててこの不始末の言い訳をしてきた。

「こっ、これは!もっ、申し訳ございません、母上様!!こっ、この魂と、このひっついてきた魂は、生前夫婦でして……。生まれ変わっても一緒になろうと誓い合ったため、その……情念の力が働いて、中々離れないようでありまして……。いや!今すぐに離しま」

「素敵ねぇ~♪」

 私の思いもよらない言葉に、目が点になる木草樹ちゃん。

 まぁ、目なんて無いんだけど、そういう雰囲気を感じ取ったのよ。

「……は?」

「いいわねぇ~、素敵ぃい、素敵よぉお、木草樹ちゃん!!この子達は、このままでいいわぁ~♪」

 さっきから、私が素敵と言っているのは、この夫婦の愛がではない。

 私が素敵と言ったのは、木草樹の『生まれ変わっても』という台詞だった。

 なんで、私は水晶界からの現れる救世主を待たねばいけないと思ってしまったのだろうか?

 待つ必要なんて無いだろう……。

 私自身が、生まれ変わってさえしまえば、【マルチアナ】に反逆することが可能じゃないか!!

 正直言って、私が生み出した生物から、再び生み出されるのは屈辱の極みだ。

 吐き気すらする侮辱的な行為だとすら思える。

 しかしだ。

 私自身が、あの母親に歯向かえるというのならば、その屈辱にも耐えることが出来る。

 あの平凡な一つ上の姉と双子の妹を、優秀な私が救ってあげよう。

 何故なら、私は女神の中で一番優秀な存在なのだからぁ~♪

「木草樹ちゃん、この夫だった方の魂にありったけの祝福を与えなさい!」

 私は、そう言うと、妻だった方の魂に、木草樹ちゃんが種だった時に与えたのと同じくらいの魔力を込めた。

「はっ、ははー!!」

 一瞬遅れて、木草樹ちゃんも魂に祝福を与える。

 これで、夫の魂には、木草樹の加護が付加された。

 私が魔力を与えたほうの妻の魂も、凄まじい力を発していた。

「これを、こうして……ちょいちょいと……!」

 妻の魂と夫の魂に【あかいと】で結ぶ。

 これは、将来、必ず夫婦になる【運命操作】である。

「木草樹ちゃん、あんたが目を付けている生物ってなんかいるかしら?」

「えっ、私がですか?ふむ……、私を守護する一族の巫女には、少し目を付けておりますなぁ……。少々ですが、私の加護を授けておりますし」

「じゃあ、その一族から生まれてくる赤ん坊へ、今すぐ妻の方の魂を入れなさい。夫の方は……、私がなんとかするから」

 私は、それだけ言うと、木草界の適当な場所へワープした。

 【真理眼しんりがん】という、自分の創った世界の全てを見通せる眼を使って、辺りを見回す。

「あっちかな?」

 格闘家の赤ん坊を妊娠している女性の反応を感じて、そちらへワープする。

 時刻は、都合のいいことに真夜中なので、ほとんどの生物は寝ているようだ。

 私のターゲットであった女性も寝ていた。

 私は、夫の魂、妊婦の魂、その旦那の魂に【神託しんたく】を掛けて、妊婦のお腹の中へ夫の魂を入れた。

「これで、準備はオッケーねぇ……」

 

 私は、木草界から戻ると、これからの構想を思い描いた。

 最強の格闘家と木草樹の巫女が結婚して、きっととんでもないガキ共が生まれるんだろう。

 子供は、多ければ多いほどいいから、そこは【神託】で操作させてもらおう。

 後は、そのガキ達の子孫の中に、とんでもない化け物が生まれるのを待って、私の肉体を材料にそいつの子供として生まれ変わればいい。

「貴方の人格と一般知識を植え付けるための魂を用意しにいって、とんでもないアイデアを閃いたわぁ~♪感謝するわよぉ♪」

 私は、ガラス瓶の中でチリチリ燃えている魂にウインクをしたのだった。

 【あかいと】:この糸で結ばれたものは、必ず夫婦になる創造主の力。運命に作用する。


 【真理眼しんりがん】:創造主のみが持つことを許される世界の全てを観察することが出来る眼。


 【神託しんたく】:これを掛けられた者は、創造主の声をいつでもどこでも聞かなくてはいけない。また、創造主の命令を実行しなければならない。創造主の力。

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