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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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特異能力

「【天才】?……奇遇というか、なんというか。少し前に、あんたんとこの二海ちゃんとそのことで話したことがあったわ」

「二海?……ああ、ルルルかぁ。すごいなぁ~、彼女とも知り合いなんですね!」

 双葉ちゃんは、ずり落ちてきた眼鏡をくいっと上げ直すと、説明を始めた。

「では、ギフトさんもご存知だと思うけど、【天才】とは、生まれつき『人語を理解し、自分の力で考え、行動することが出来て、更に特殊能力を自在に扱える者』のことです」

「……はっ?」

 思わず間抜けな声が出てしまった。

 あれ?……ちょっと待って。

 私が聞いていた【天才】の説明とちょっと違ったような気がしたけど……。

「あれ?私がルルルから聞いた話とは、ちょっと違うわよ。人語を理解して、自分で考えて行動する?……いやいや、だって赤ちゃんでしょ?」

 私が知っている赤ん坊というのは、母親の世話が無ければ何も出来ない存在だ。

 意思の疎通は、不可能で、何か問題があれば、泣くことしか行動が出来ない、弱くて守らなくてはいけない者。

 それが、生まれついてすぐに話すってどういうことなのだろう?

 理解が追い付いていない私を見て、双葉ちゃんは笑いながら説明を続ける。

「あははは、やっぱりルルルは、無駄な説明を省くところがあるなぁ……。ギフトさん、馬が生まれてどれくらいで立ち上がり、歩行できるようになるか知ってますか?魚が孵化して、どれくらいで泳げるようになるか知ってますか?」

「いや、まぁ……それは、知ってるけどぉ……」

「それと同じです。生まれてすぐ、目を開けて、会話が出来て、立って歩くことが出来る。そういう赤ん坊が生まれることがあるんですよ。そして、その場合、必ず特殊能力を持っているんです。それを、わが国では【天才】と呼んでいるんです」

 私は、思わずう~んと唸ってしまった。

 ……いや、そりゃ理論上はそうかもしれないわよ。

 自然界で生きている生物は、常に危険と隣り合わせだから、すぐに行動できるように生まれてくるわよ。

 でも、今回の話は、人間の赤ちゃんの場合だ。

 私も死産だった赤ん坊に転生したことがあったけど、魔法でも使わなければ、生まれてすぐに立ち上がる事なんて出来なかった。

 それなのに、生まれてすぐにって……ん?……あれ?

 【 魔 法 】でも使わなければ?

 ってことは、もしかして生まれついて魔法を使えるのなら……?

「何かに気が付きましたね、ギフトさん」

「……ねぇ、もしかして、【天才】が生まれるのって魂が関係してるの?」

 私の問いかけに、にやりと笑みを浮かべる双葉ちゃん。

 そして、待ってましたと言わんばかりの饒舌で【天才】についての説明を始めた。

「その通りです!この世界では、死ぬと魂が木草樹様の元へ運ばれ、全ての経験を吸収されてゼロの状態になります。そして、つぼみにて次の転生を待つことになるのですが、例外があります」

「例外?」

「そうです。木草樹様も万能ではないようで、まれに経験が吸収されない魂が出るそうです。その場合、魂は強い意志の力を持ち、次の転生の時までに力を蓄えるようになります。他の魂を吸収することをあるそうです。基本的に、吸収に漏れた魂は、自己の力が強いようですからね……」

「……随分と詳しいのね」

「そりゃあ、まあ!なんせ、夢に神様が出てきて、いろいろと教えてくれましたからね!」

「神様?」

「アダモゼウス様ですよ!」

「ぶっ!?」

 双葉ちゃんから、アダモゼウスの名前が出て、思わず吹き出してしまった。

 何やってんだ、あの神様!!

 木草樹自身も気が付いているか分からないような裏事情みたいだし、その夢に出てきた神様は、きっとアダモゼウス本人でまず間違いないだろう……。

 もしかして、あの神様が木草樹にちょっかいかけて、わざと問題起こしそうな魂だけ見逃してるんじゃないだろうか?という気すらしてくる。

 凶悪犯罪者や精神異常者の知識を、食わず嫌いで見逃す木草樹と、故意にそうしろと命令をするアダモゼウスを想像して、思いっきりため息を吐く。

 あの二人ならやりかねないわ……。

「ああ……、納得した。それで、その魂が転生した生物が【天才】になるわけね」

「ええ、そういうことです!それで、わが国では、その【天才】を意図的に創りだせないかと、研究のために世界中から【天才】を集めて、研究をしていたんですが……」

 私は、双葉ちゃんの言葉に、化学の国【ファーベル】の戦闘技術【特異能力】を思い出していた。

 特殊能力を生まれつき備えている人を人工的に創りだす技術。

 そして、そうやって創り出された人の特殊能力を【特異能力】と呼ぶ。

 分かりやすく説明するならば、天然ものが【天才】、養殖ものが【特異能力】と言えば、理解できるだろうか?

 やれやれ、なんとも非人道な研究に手を出したものだと呆れかえる。

 その結果、とんでもないことが起きたと容易に想像できたからだ。

「なるほどね、その研究中に何か問題が起こったと……?」

 思った通り私の言葉に、こくりと双葉ちゃんが頷いた。

「人工的に【天才】を作る場合、生きている人の魂を取り出して、その魂を熟成させます。そして、精子と卵子を試験管に入れて、受精させた瞬間に魂を吹き入れるのですが……、その精子と卵子を【天才】のもので実験をしたんです……」

「……」

 魂の変形の延長上に【魔法】がある世界だ。

 もちろん、肉体から魂を取り出す事なんて容易にできるだろう。

 だけど、魂のみの存在の私としては、その行為に、ものすごい不快感があった。

 はっきり言って、不愉快である。

 ムスっと黙ったままの私を無視して、双葉ちゃんは話を続ける。

「結果、【天才】以上の化け物が生まれました。彼女は、【天才】の両親の元で、なんとか様々な欲求を抑え込まれながら生活をしていたのですが、つい先日、その欲求が爆発してしまいました……。彼女は、両親を殺し、その爆発させた欲求を解消するかのように狩りを始めました。彼女は、特殊能力【刀神とうじん】、【血調ちしらべ】、【見敵必殺けんてきひっさつ】、【瞬間しゅんかん】、【斬追ざんつい】といった、5つもの特殊能力を持っています。そして、異常なまでの殺人中毒者……。人間を殺すことを、楽しむ性格なんです」

 双葉ちゃんの言葉に背筋が凍った。

 先ほどまでの不愉快だとか、そういった感情が一瞬で消え去るほどの寒気。

 ちょっと待て、今なんて言った?

「5つ?嘘でしょ?」

 私の言葉に、黙って双葉ちゃんは首を横に振った。

 私の使う能力拳法は、特殊能力に目覚めた拳法家が、特殊能力の原理を理解して、どの様に動いたら、その特殊能力と同じ効果が発揮するのかを研究して作り上げた、『どんな人でも能力拳法を覚えればその特殊能力を使用できる』といったものだ。

 特殊能力と能力拳法は、小さな差異こそあれど、基本的には同じ力なのだ。

 さて、私が寒気を感じた理由を理解していただけただろうか?

 正解は、じゃかじゃん♪

 …………能力拳法を5種類使える化け物クラスと、再度拳を交えなくてはいけないってとこにでしたぁ~。

 ……胃が痛い。

第52部【国の技術】にて、【特異能力】に触れています。

宜しかったら、確認お願いいたします。

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