表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
102/253

優雅なお茶会

「そんなところに立っていないで、こちらでお茶でもお飲みになりませんか?」

 白い少女は、自分の目の前にあるテーブルの向かい側を手で案内しながら、そう言った。

 不思議な家だった。

 いや、これを家と言っていいのだろうか?

 入ってすぐのところにあったのは、玄関ではなく、テーブルと椅子だけの簡易なスペース。

 そして、周りには上を向かないと見渡せないほど大きな本棚の数々。

 広大な本の迷路の休憩所みたいなイメージだ。

「ふふふ、わたくし、本が好きなんですの。世界中の本を買い漁っていたら、こんなことになってしまいましたわ」

 彼女は、自分の目の前にあったカップを手に取って、一口紅茶を飲んだ。

 再度、私を促すように目の前の椅子へ手を差し伸べたので、私はその椅子へ座ることにした。

「ようこそ、我が屋敷へ……。とは言っても、無駄に大きい図書館みたいな感じかもしれませんけど……」

「いえ、素晴らしいですよ……。一度、貴方にはお会いしてみたかったので、誘っていただき光栄でございます」

 私は、魂の眼に魔力を込めて、彼女を見る。

 【霊視】という、相手の魂を視る魔法を使用したのだ。

 すると、彼女から千を超える量の【魂糸】があちこちに伸びていた。

 伸びた【魂糸】は、あちこちで働くメイドや執事に加えて、大きな屋敷を飛び回る箒や本やティーセット、その全てに刺さっていた。

「本当に素晴らしい。私でも【魂糸】を無理なく動かせるのは、千本が限界ですよ……。いや~、お見事ですね!」

 私の言葉に、ピクリと彼女の眉が動いた。

「なるほど、貴方は相当の魔法使いのようですわね。私の師でも、千を超えてはいなかったんじゃないかしら?……紅茶ですが、よろしいかしら?」

 彼女の【念力】で、ティーカップが運ばれてきて、私の前で止まる。

 その中になみなみと紅茶が注がれると、それは静かにテーブルへ置かれた。

「そうですか。ZEROさん以上の魔法の素質をお持ちとは、本当に素晴らしい!」

 私の言葉のZEROと言う部分に、ピクっと体を震わせて反応する対面の魔女。

 そろそろ、こちらの思惑に気が付いてきたようだ。

「……師匠の事を御存じなんですわね?」

「ええ、四檻ちゃんや、月詠ちゃんも知っているわよ」

 その言葉に、彼女は、フーっと困ったように深い溜息を吐いた。

「姉弟子までも知っているとは、驚きですわ……。貴方は、一体何者なんですの?」

「……私は、貴方と二人きりで話したい者です。宜しければ、私と二人でお茶会なんてどうかしら?」

「はい、喜んで……。私も貴方に興味が湧きましたので……。とは言いましても、元よりこの屋敷は、私以外に人はおりませんが」

「え?でも……」

 私が、2階の本棚近くで掃除をする一人のメイドを見上げると、魔女は、指をパチンと鳴らした。

 その途端、全てのメイドや執事が崩れ落ち動かなくなった。

 そう、まるで糸が切れた操り人形の様に……。

「魔法の基本は、【魂糸】に有り!……、私が口を酸っぱくして唱えておりましたので、定説となった言葉ですわ。【魂糸】の使い方において、私より優れた生物は、存在しません!それぐらいの自負がありますの」

「……驚いたわね。まさか、この屋敷の使用人全て、【念力】による人形だったなんて。流石は、魔法に関して天才と謳われただけの事はあるわね」

「ふふ、お恥ずかしいですが、確かに魔法だけしか自信はありませんわ。お姉さま方にも、貧弱と馬鹿にされてましたしね。……で、話とはどのようなことですの?」

「その前に、私の正体を話しておきましょうか。私【ダルスティン・ローズ】は、ギフトの仮の姿なんですよ。まぁ、神様の使いなんで、魔法もそこそこ使えるってことなんです」

 私の言葉に、キョトンとした顔をする魔女。

 我ながら、雑な説明だと思ったけど、詳しく説明する義理もない。

 大体のことが、『ギフトですので!』で通る世界にしてくれた、恭太くんに感謝だ。

「ふむ……、確かに、お師匠様、四檻姉さま、月詠姉さまには、ギフトが訪れたという報告がありましたわね。なるほど、あの建物は、ギフト達の憩いの場となっていたということですか……。色々と納得いたしましたわ」

 うんうんと勝手に頷いて、自己解決してくれた。

 やっぱり、魔女って頭が良いわ。

 余計な説明が省けるから、本当に楽だ。

「あー。そういえば、気になったんだけど、なんで貴方は未だに【ラリファン・ルルル】を名乗っているの?ZEROから、もらった魔女名【十乃宮じゅうのみや 二海ふたみ】は、どうして使わないの?」

「……そこまで、知っているのは流石ですわね。貴方は、間違いなくギフト様なのでしょう。……それにしても、いきなりフレンドリーな話し方になりましたわね」

「私は、私の正体を話した人物には、基本的に敬語は使わないわよ。もっと、仲良くなりたいしね!気に障ったのなら、止めるけど……」

 私の言葉に、ルルルがくすくすと上品に笑って、首を横に振った。

「構いませんわ。私も、ギフト様と仲良くなりたいですからね。……さて、貴方様なら、ご存知かと思われますが、ZERO様の弟子になるのは、【不老】の特殊能力に目覚めた少女のみとなっておりますわ。……私も姉達も、皆【不老】の力を持つ、寿命では決して死なない生物なのです」

「……うん」

「大抵の方々は、【不老】の能力を恐れられ、様々な方に虐げられた人生を送ってきたのですけど、私は違いました。私の【不老】に気が付いた上で、両親は私を愛してくれたのです。世間からは、隠されましたが、私は、父と母の愛情を受けて育ったのですわ」

「そうだったんだね……」

「はい。でも、その生活も長くは続きませんでしたの。……私の両親が老衰で亡くなったのですわ。私は、家を出るしかありませんでした。老衰で亡くなった年寄りの子供が、こんな少女だと分かれば、化け物扱いは免れなかったでしょうから……」

「……」

「その後、幸いにもZERO様に拾っていただき、魔女として生きる道を得ましたわ。……私は、ZERO様も両親も尊敬しておりますの。両方から頂いた名前を誇りに思っておりますので、ルルルの名前も、二海の名前も両方とも使用してますわ。まぁ、お姉さま方は、虐げられていた時代の名前をお捨てになって、ZERO様から頂いた魔女名を名乗っていましたけどね」

「そうだったんだ……」

「ええ、魔女としての役目をするときには、魔女の名前を……。普段のプライベートや、本などの出版物を出すときなどは、両親からの名前を使用しておりますわ。まぁ、大抵の方々が、単なるペンネームとしか思っていないと思いますけどね」

 そう言って、ちょっとだけ寂しそうにルルルは、笑った。

 私は、一口だけ紅茶を飲み、口の乾燥を潤した。

 鼻から抜ける上品な香りと、ほのかな甘みがとても美味しかった。

「話とは、それではないですわよね?」

 私に続いて、ルルルも紅茶を一口飲んだ。

「ええ、先ほどのは、単なる興味で、本題はこちら……。大魔法使い【ラリファン・ルルル】様への質問よ」

「なにかしら?大魔法使い【ダルスティン・ローズ】」

 私は、一呼吸置くと、魔法の国【ウラヌス】の建国者である大魔法使いへ、ずっと教えてほしかった事を聞いた。

「空間魔法と時間魔法って使える?」

 その言葉を聞いた時、ルルルの眉はハの字に歪んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ