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華やかな蝶の様に  作者: 神崎美柚
第一章 華やかなレディに~ヴェルナ視点~
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第四話 孤独な蝶~11月2日~

 婚約者であるツェンは美しいが、ヴェルナには劣る。


「今日も楽しかったわ。また来てくださるかしら」

「ああ、もちろんだ」


 未だに結婚に踏み切れないのは、ヴェルナのことがあるからだ。ヴェルナに気持ちを聞くまでは結婚しないと決めているのだ。


「今日は舞踏会だから早めに帰ろう」

「承知しました」


 今日こそは、聞かないと。いい加減にしないとツェンに怒られてしまう。


「お帰りなさい、お兄様! 」

「ヴェルナ! 」


 ヴェルナを抱きしめる。口調もハーソンと過ごすうちに丁寧になったようだ。少し寂しい。


「今日は舞踏会だな」

「楽しみだわ」

「あたしも踊っていいの?」

「あなたはダメよ」


 悪魔がいた。こいつ、また出てきたのか。


「じゃああたし、友達のところに行くね」

「あ、うん」

「ヴェルナ、今日の舞踏会は一緒に踊ろうな」

「もちろんですわ! 」


 ハーソンに気はないようだ。安心した。


 舞踏会にはリルシェ(ト・モル公爵の娘)やユイ(フォルツェ公爵の娘)、ツィイー(リュメヒ公爵の従兄弟の娘)もやってきていた。


「ユナお姉さまが来なくてすみません。本当に……」

「相変わらず逃げてるのかしらあのバカ」


 ツィイーとユナは親同士が仲が悪いため、仲良くしようとしない。ユイはそんなの気にせず、仲良くしているようだが。


「二人とも、ほら早く踊りましょう? あちらにすてきな方々がいらしてよ」

「まあ、そうだわ」


 ヴェルナは一人でぽつんと座っていた。


「ヴェルナ、踊ろう」

「ええ……」


 悲しそうにほほえむヴェルナは立ち上がった。そして私に抱きついてきた。


「ヴェルナ、まずい」

「……お兄様、私はもう抑えきれないのです」

「……」


 もう、その一言で十分だった。そっと抱きしめた。

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