表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華やかな蝶の様に  作者: 神崎美柚
終章 ラストエピソード
19/21

第十八話 物書きとコック見習い~6月27日~

 海が見える素敵な場所で結婚式をあげ、私達は放浪の旅に出た。そうするのが一番だと感じたのは、あることを聞いてしまったからだ。

──カーン公爵、愛人に騙されたらしいぜ

──本当か?

──ああ。カーン公爵、行方不明だってさ。今はその愛人の父親が公爵だってよ。

──それは困ったなあ。

──だよなあ。

 お父様の生死が分からない今、留まって生活すれば恐らくユリエさんの魔の手が伸びてくるだろう。


「本、上手く書けてる? 」

「あ、リハイデ」

「そろそろ休憩にしようか」


 世間も私達を行方不明の公爵の子供だときちんと理解してくれているのか、きちんと放置してくれている。お兄様──リハイデなんて王宮でコック見習いをしていた。

 リハイデは私の側に座り、私に紅茶を差し出した。


「お父様について調査はすんだの? 」

「それが、あまりのガードの堅さに苦戦しているんだ。恐らくあのリュメヒ家が関わっている。となると話は別だ。ヴェルナが向き合えるようになるまで残酷な真実は探らない方がいいと思うんだ」

「そう……」


 リュメヒ家。彼らは裏で何をしているのだろう。再び訪れるのが怖くてリュメヒ領にすら足を踏み入れていない。


「そろそろ定住地を決めようか」

「……え」

「そうしないと、赤ちゃんにも悪いだろ? 馬車は揺れるからな」

「でも、」

「海を渡った先に素敵な場所があるらしいんだ。そこにお店を開きたい」

「……いいよ。お店、夢だもんね」

「ああ」


 将来のことをきちんと考えてくれている。やっぱりしっかりしているなあ。

 お兄様──リハイデは笑顔のまま手を握ってくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ