第十七話 作戦~3月6日~
「カスティーナも追放したから後はダニエルとミハエルだな」
「そうですね」
今日は新カーン家の公爵・ジオンとミーナと私とシルメダとツィイーで話し合いをしている。内容は王族の今後、だ。
「あの、ミハエルだけ生かすというのはなしですか? 」
「ダメに決まっているだろう? 」
「そうよ。急に臆病になっちゃダメですよ、ミーナさん」
「……では逃げられた場合を除き、殺せ、と」
「出来れば生け捕りね! こう、ぐっちゃぐっちゃにしたいわ! 」
ツィイーの趣味は拷問。ぐちゃぐちゃにするのが好きらしい。物好きだ。
「そうそう、娘から聞いたんですが、フォルツェ家をおろしてくれるとか」
「そりゃあもちろん。伯爵の味方は容赦なくおとします」
「ありがとうございます」
帝国崩壊後の動乱に便乗したのがクソ伯爵だった。次々と貴族を陥れ、生き残った7家を公爵に認めた。
陥れられたのは70家。その内自殺したのは68家。リュメヒ家に賛同したのは目の前のジオンたちだけだ。
「ところで、娘は誰と結婚すればよいかな」
「考えておきましょう。ミーナ、当ては? 」
「今のところ、そうねえ、隣国の家と結婚すればいいんじゃないかしら。そうすればこの国は確実に滅ぶわ」
「ミーナは諦めたのか!? 」
「違うわよ、王国の跡取りと結婚したいって言ってるのがリルシェ=ト・モルなの。このままだとト・モル家が征服しかねないわ」
「なるほど」
「それは大変だわ! リルシェって本当にむかつく奴なのよ」
「ト・モル家か。それは大変だ」
四大公爵の内北の公爵を殺害し、勢力を削った。だが、その後ウェイトお兄様の処刑やら何やらでト・モル家のことを忘れていた。
そこにサラが美味しそうなお菓子を持ってきた。どうやら手作りのようだ。
「そろそろお茶の時間よ。一緒に楽しみましょう」
「ありがとうございます」
「サラさん、ありがとね」
「おお、ありがとう」
「……ありがとう」
あのカーンが好きだという木イチゴのムースはサラ曰く、不吉な食べ物らしい。サラは王宮仕込みのド・ガーテと紅茶を用意していた。
私の隣に座り、皆に配り終えた後笑顔で会話に加わった。
「今、私の弟がおよめさん捜しているから紹介してあげるわ。ふふっ」
「ありがとう」
「美味しいわ。さすがサラさん! 」
「そう言ってくれてうれしいわ」
トルワードは潰す方向に作戦を練った。




