第十三話 真実~2月1日~
今日はお父様たちが王都へ出かけている。私は暇なので書庫の奥へこっそり侵入する。つい二、三日前に見つけた秘密の書庫。一体どんな貴重な本があるのだろうか。
「手紙、届いたかな」
結局あの日以来、リュメヒ家の面々は私を始めとしたカーン家全員を冷たい目で見ていた。気まずくって予定より早く引き上げ、手紙をリュメヒ家に間接的に送った。本当にごめんなさい、と書いた手紙を。
「うわ、綺麗」
どうやら普通の本というより、カーン家の歴史についての本だらけで壁にはお父様と──お母様の肖像画があった。
とりあえず本を手に取る。
『基本的に結婚した男女の子供は男の家の姓を継ぐ。女はその時点でさよならなのだ。』
ひどい内容が書かれた本を一番に手にとってしまった。お母様も、こんな風に見捨てられたのかな。
『例外は我がカーン家である。トルワード国の形式はどうしても受け入れられない。女を見捨てるのは冒涜だ。』
──バイバイ、ヴェルナ
あの雨の日、お母様は悲しそうに私に言った。お母様はお父様が見捨てた。お父様は全く悲しそうではなかった。よく、分からない。
本を閉じ、別の本を手に取る。
『カーン家の歴史』
私はワクワクして、お父様やお母様の名前を探した。
「え……? 」
『ディーア(24~)
幾度か離婚を繰り返した。庶民とこっそり結婚しては別れさせられ、そのたびに怒られたというのに息子ももってしまった。当時の公爵はルシェア=シルデンアと仕方なく結婚させた。彼はカーン家最大の恥を背負っているのだ。』
呑気なお父様が、お祖父様に反抗を?
あり得ない。厳粛で、孫は年に一度しか会えないあのお祖父様に気弱なお父様が。
「待って、お兄さまは、まさか」
「そうよ、あたしの娘なの」
見知らぬ女性が花が入ったかごを持って立っていた。




