言い出せなくて
きみに思いを伝えるため
いろんな所から言葉を学んだ
小難しい詩からマンガの台詞まで
メールだと簡単すぎるから
手紙を書いた
一気に書けたよ、便箋十枚びっしりと
読み返してうんざりして
ちぎって破いて捨てた
ゴミ箱は便箋の欠片の山
ため息ばっかり聞こえてくる
小難しい詩もマンガの台詞にも
なかった僕の言葉を
きみに届けたかった
素直になればいい
正直に言えばいい
僕は、きみのことが、好きだ
と
きみに会うたびに
好きだと言おうとして
恥ずかしくなって
口のなかで好きだを
変換させて
バーカ、ブスって
言ってしまう
きみは怒ってぼくの背中をぶっ叩いた
ぼくも自分をぶっ叩いた
好きだ、という前に
ごめんねと言えなきゃ
男じゃないよね