第三話:深夜の中坊
集合場所に来てると、もうみんな来ていた。
「大塚!遅いぞ!」
中田先輩がオレに気付いて声をかけた。
「すいません!」
オレが入ると、全員が円陣を組んだ。
オレら
「バンズ」
は結成からずっと作戦会議の度に円陣を組んでいる。
オレが考えると、まあまあチームバランスはいい方だ。
「中田くん、どうするの?これから?」 と柿沼さんが言った。すると、中田先輩が、
「とりあえずいつものやるぞ!その後はコンビニとゲーセン!」
「うおー!」
そして、活動が始まった。
どんどん罠にはまっていくサラリーマンを見ると、オレは笑いが止まらない。
今日は大物が何体も捕まったので結構儲かった。これだと、朝帰りもできる。
「すごいね、毎日こうなん?」
「そんなことないすよ。全然リーマンが通んないこともあるし」
中田先輩は金を振りながら言った。
「でも、それはれっきとした犯罪だよね」
「誰だ!!?」
中田先輩は怒鳴りながら声のするほうへ振り向いた。オレたちも振り向いた。
怖くて強い
「バンズ」
のリーダー、中田先輩に喧嘩を売ってきたのは、チャリでコンビニに行った帰りの中学生だった。
「てめぇ、バンズに喧嘩を売るとは、覚悟が出来てる中坊だな」
中田先輩は殺意のある笑みをして中坊に言った。
その笑みになにも感じないまま中坊は答えた。
「何が?普通の事を言ってるのになんで僕が皆さんに喧嘩を売ってることになるの?」
ブチーン――誰もが聞こえる様な音で中田先輩はキレた。
「ふざけんなぁ!!てめぇら!!やるぞ!!」
「………」
オレ達は無言で立っていると、中田先輩は足で地面を何回も蹴って、
「いいからやるんだよ!!やるぞ!!」
中田先輩以外はしょうがないなと思いながら、オレたちは中坊を殴った。
殴ってる間、何回先輩は、
「オラ!!死ね!!くたばれ!!死ね!!」
と叫びながら強く蹴った。
オレは中田先輩は今が夜中って事を忘れてないかと思っていた。
第一、あの中坊は何者なんだ。
こんな時間にコンビニ行くか。
オレらみたいな奴がうじゃうじゃいることも分かってるんじゃないのか。
犯罪をしている人に犯罪だよと言ったら殴られるに決まってるじゃないのか。ほら、もう動かない。
また死ね!!という声が公園で響いた。
2時間後、中坊はもう動けない状態に陥った。
オレたちは一応中を見たら2万ほど入っていた。
「ちっ、やっぱり中坊だな」
中田先輩は財布を投げた。
速水先輩がビニール袋の中を見たら、
「なんだこれ!!??」
と言ってビニール袋を投げた。そのビニール袋が落ちて、中身が出てきた。
中身はたばこやビールや日本酒やつまみやマンガ本ばっか。
「なんなんだ。この中坊?」
高田は呟いた。
その後、誰もが知らなかったと思う。
「バンズ」
がバラバラになるなんて。