表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
代筆部へようこそ  作者: AKIRA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/11

第二話 その謝罪、エモにつき。2

「……出来た!鈴木さんの『本当の気持ちをしっかり詰め込んでおいたわよ!#涙の交換日記#ずっと一緒」


陽葵が勝ち誇ったように掲げた紙を見て、俺は卒倒しそうになった。鈴木さんもリアクションに困り「あ、あの……」とおずおずと覗き込んでから……固まってしまった。

俺の書いた、あの堅牢な論理と反省に満ちた「謝罪文」は、陽葵によって、もはや友情の域を軽々と超えた「禁断の恋文」へと転生していたのであった。


ねえ、私の大切な貴方へ


あの日、意地悪なことを言っちゃったねえ。あれは貴方の瞳が見つめる世界に、私がいなかったからなの。寂しかったわ。本当は、貴方の好きなものは全部……私だけのものにしたかっただけなの。

もう一度やり直さない?二人の物語(ページ)まだ、終わらせたくないよ。

#独占欲#エモい謝罪#ずっと親友 (以上)


鈴木 奈美


「……陽葵。お前、『独占欲』ってハッシュタグを謝罪文に入れる奴が何処にいる……」」

「えー?素直でいいじゃん!鈴木さんも、田中さんが本に夢中なのが寂しかったんでしょ?#図書室の独占欲」

「そ、そんな……!私はただ、自分の意見を……」


鈴木さんは顔を真っ赤にして、ノートの残骸を抱えたまま震えている。

だが、陽葵の勢いは止まらない。


「ほら、悩んでいる暇はないよ!田中さんは今頃、図書室で一人泣いてるかもしれないよ?すぐに善くんに打ち出(プリントアウト)してもらうから、その破れた日記に挟んで届けてきなよ!」

「……陽葵、なんで俺が……」

「文句言わない!プロデューサー陽葵の命令!」

「……え?」


いつの間にか、立場が逆転している俺と陽葵。

……何なんだよ、一体……。


鈴木さんはもはや思考停止したのか、陽葵作の『魔改造レター』を持って部室を飛び出していった。


俺は高速タイピングを終えて、机に突っ伏している。

先日の剛田と鮫島の「悪夢」が蘇る。


「……陽葵、あいつら、親友に戻るどころか、これじゃ図書室で大変なことにならないか?」

「大丈夫だって!言葉は『熱量(エモ)』が全てなんだよ!……さ、次はどんな依頼が来るかしら?」


俺は心の中で田中さんと鈴木さんにこっそり詫びた。

俺の日本語は、またしても敗北した。静寂の図書館が、『陽葵の魔改造レター』によってどうなるかをただただ、見守るしか出来なかったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ