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イベント・冬

キラキラしてるたからもの

作者: 雪陽炎
掲載日:2025/12/11

 ※今作はトイレトレーニングが含まれています。

  食事中など、ご注意いただけると幸いです。




「リアル謎解きゲーム?」

「制限時間内にゴールを目指す体験型のイベントさ」

「お父さんの担当エリアのテスト役をするの?」

「そうだね。感想ともどもよろしくね。はいこれ」

 お父さんはそう言って私に機械を渡してきた。

「VRヘッドギアね。これつけて妹たちと一緒に?」

「そう。仮想空間なら広々と場所が使えるからね」

 お父さんはそう言うと妹たちにも説明を始めた。

 

 なにか約束してお父さんはヘッドギアを被らせる。

 その様子を見てヘッドギアを私も装着した。


 ☆    ☆    ☆    ☆     ☆ 


「お父さんたちの担当は洞窟なのね」

 洞窟上部のかがり火が通路を照らす。

 照らされた通路は奥まで続いている。

「ねーねいこー」

「ごーごー」

 双子用連結式ベビーカーに乗った妹たちが呼ぶ。

「はいはい。出発するよー」

 横に連結されたベビーカーを押し歩きだしていく。

 

 土の道であちこちに小石がある。

 なのにベビーカーは軽く安定していた。

(VRだからかな?)

 現実とは変わった感覚を私は楽しむ。

 前向きのベビーカーからも楽しげな声が聞こえる。


 ★    ☆    ☆    ☆     ☆ 


(きっとお目目キラキラさせてるんだろな……っと)

 

 通路の先には人がいてなにか操作すると奥に進む。

(雰囲気(ふんいき)的に開けなんちゃらと思ってたよ……)

 私は気を取り直し人がいたあたりまで進んでいく。


「ねーね、かべー?」

「いきどまりー?」

「ちょっと待ってねー。扉だから開けてみるね」

 そういうと私は人が立っていた辺りを探す。

 

「キーボードと案内板?」

「ねーねなんかあったのー?」

「なにかかいてあるのー?」


 私の出した声に妹たちが反応する。

「えーっと待ってね。読むよー」

 

『文字を並び替えて新しい言葉を作りましょう』

『こうかんち』

 

「ならびかえー?」

「こうかんちをー?こっちの絵はー?」

「観覧車とか人混みかな」

 私は振り向いて妹たちにこたえる。

 妹たちに絵を見せながら私は考えていく。

(ひょっとしてヒントのつもりかな?)

 

 絵を見ているうちにとある言葉が思い浮かぶ。


 ★    ★    ☆    ☆     ☆ 


『かんこうち』

 文字を入力して決定すると扉が開く。

 

「観光地だって」

「ねーねいっぱつー。すごーい!」

「かんらんしゃのりたーい。いきたーい」

 妹たちが口々に思いの丈を伝えてきた。

「そうね。これ終わったら頼んでみよっか」

「わーい!」

 声をそろえて妹たちは喜ぶ。

 キラキラした笑顔を見て私は頭をなでる。

 

「それじゃまたしゅっぱーつ」

 後ろに回ってまたベビーカーを押し始めた。

 


 ★    ★    ★    ☆     ☆ 


『文字を並び替えて新しい言葉を作りましょう』

『噴火口区……ふんかこうく、か』

 

「ふんかってなあにー?」

「富士山とかのお山が爆発することかな」

 私は軽く妹たちに噴火の仕組みの説明をする。

「へー」

「でこたえーこたえはー?」

 期待に満ちた妹たちの声に押されヒントを探す。

 腕を胸で交差している笑顔のハートの絵があった。

「うーん……これかなあ」

 少し考えて私は文字を入力する。

 

『こうふくかん』


 ★    ★    ★    ★     ☆ 


 開いた扉を進むとまた扉が行く手を阻む。

 

『文字を並び替えて新しい言葉を作りましょう』

 

『うん濃いヒゲ――』

 

「うんこー!」

 私が読み上げた言葉に妹たちが揃って反応する。

「おしっこー!」

 妹たちが思い思いに言葉を発していく。

「おヒゲだからね!濃いヒゲだから!」

「えーおひげー?」

「うんこはー?」

 口元をとがらせて妹たちは私に言う。


「そうねーそれはトイレやおまるでしましょうねー」

 軽く返事をして私はまたヒントを探す。 

(なんでこの年頃ってこういうのが好きなんだろ?)

 首をかしげる私の目に壺や椅子や食器が映った。

 

「おならー」

「ぶー!」

 キャッキャッと妹たちの楽しげな声が耳に届く。

(飛び出す絵本のジャンプがおならになってたなあ)

 まったく妹たちの想像力には頭が下がる。

(あれ?確かあの絵本の内容って――)

 そしてそこから答えの糸口をつかむ。

 

『こうげいひん』


 ★    ★    ★    ★     ★ 


「お帰り。どうだった?」

「あ、うん。ただいま。それなりに楽しかったよ」

「その割にはお疲れみたいね。なにかあったの?」

 出迎えてくれたお母さんと私は話す。

 お父さんは妹たちとプレイマットで遊んでいた。

 妹たちを大きなシャボン玉の輪で橋を作りつなぐ。

 またシャボン玉を一緒に出したり追いかけていた。

 

「そうねーあの子たちは今トイトレ中だからねー」

「だからって……」

「ためたものを出す快感を味わってるの」

 言いたいことはわかる。

「ひょっとしてお通じ悪い?」

 お母さんが私の心をくんでか話しかけてきた。


「女の子にはよくあることなのよ」

「そうなの?」

「ええ。生理中は特に」

 お母さんは私の目を見て優しく話す。

「生理中は女性ホルモンが活性化してるから」

「女性ホルモンってエストロゲン?」

「それもあるわね。大切なのはプロゲステロン」

 別名黄体ホルモンとお母さんは続ける。

 エストロゲンは卵胞ホルモンとも教えてくれた。

「この黄体ホルモンが原因なの?」

「そうよ。基本的には妊娠や乳腺の発達を促すのよ」

「基本的?」

「その一方で腸の活動を弱らせて水分をため込むの」

「だからむくみやすくなるのね……」


 お母さんはここでお父さんをちらっと見る。

「本当は男性にこそ知ってほしいのよね」

「デリケートな話題でしょ?」

 私はお母さんの言葉に反論する。

「そういう目で見られたら……」

「そういう目だけで見る人って思っとこ」

(知るだけ知って見守っていてほしいってことかな)

 お母さんの気持ちをくみ私は静かに頷く。

 

「ありがとうお母さん」

「どういたしまして。それじゃ行こっか」

「シャボン玉飛ばしに?」

「それも良いわね。童心に帰るのも」

「……そうね。たまにはいっか」


 正直今更シャボン玉は恥ずかしく思う。

(妹たちのためだから)

 キラキラした思い出をひとつでも作ろう。

 それがいつか妹たちの力になるはず。

 

「それじゃあお姉ちゃんシャボン玉飛ばすぞー」

「わーい!」

「こんどこそつかまえるのー!」

 お母さんとお父さんはなにやら会話している。

 それを横目に私は大きく息を吸う。

 たくさんのシャボン玉が宙に舞う。

 

(キラキラしててキレイ……)

 妹たちの瞳と前を飛ぶシャボン玉を見て思った。


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― 新着の感想 ―
噴火口区が漢字表示なのに平仮名分解して新しい言葉を作るくだりはちょっと説明不足だと思いました。 更にそれらが前振りとならずにいきなりウンチから生理の話は飛ばし過ぎな気も・・。 結局、タイトルの『キラキ…
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