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第12話「選ばれし者」

すみません。週末時間があまりとれずに執筆が雑になっていると思います。

  王都の空は、異世界の力を受け入れたその瞬間から、まるで異次元の空間が重なったかのように歪み始めた。

 街の時計塔は異なる時間を指し、人々の記憶が食い違い始める。

 

「さっきまで朝だったのに、もう夕暮れになっている……?」

「いや、俺は昼だったと覚えてるぞ……?」


 王都の広場では、異世界から流れ込んだ奇妙な生き物が出現し、住民たちが混乱していた。

 市場では、突然消えたはずの商人が戻り、客と揉める騒ぎが起きている。


「このままだと、世界が崩れる……!」

 陽翔は、次第に混乱が広がる王都を見つめながら、時の鍵を握りしめた。

 時の鍵が発動し、王都は過去と未来、そして異世界の力に包まれている。

 その中で、陽翔と莉音は選ばれし者として運命を受け入れる覚悟を決めなければならない。


「これが、選ばれし者としての選択なのか?」

 陽翔は手にした**「時の鍵」**をじっと見つめながら呟いた。

 その青白く輝く鍵は、すでに王都の運命を修正し始めている。しかし、それが正しい選択であるのか、間違いだったのか——その答えを、陽翔はまだ掴んでいなかった。


「私たちが選ぶことで、世界が変わるんだよね?」

 莉音が少し不安げに問いかける。

 彼女の目には決意が宿っているが、その中には確かな不安も感じられた。


「選ばなければ、消える運命にあるってことは分かっている」

 陽翔は冷静に答えたが、その目の奥に暗い影がよぎる。

「でも、それが本当に正しい選択なのか……?」


 その瞬間、時の鍵が淡く光を放ち、二人の視界が揺らぐ。


「え……?」


 陽翔の前に映し出されたのは、王都が異世界と完全に融合した未来。

 空には異世界の都市が浮かび、王都の人々は異世界の技術と魔力を受け入れ、新しい文明を築いていた。

 しかし、陽翔自身の姿はどこにもない。


 一方、莉音の目に映ったのは、異世界の力が排除された王都。

 世界は変わらず存続しているが、人々の記憶には陽翔と莉音の存在がない。


「これは……未来?」


「俺たちが選ぶことで、未来が変わる……?」


 二人は息を呑み、互いに視線を交わした。

 どちらを選ぶべきか――今、その決断が迫られていた。


 二人はその不安を抱えながらも、時の鍵を握りしめて再び歩き出す。

 王都の中心へ向かう道の先に、何が待っているのか。それを知るための最後の選択が、今まさに迫っていた。


 その時、再び空気が震え、異世界からの力が王都に強く流れ込んでくる。

 王都の街並みが、一瞬で歪み、過去と未来が交錯し始める。

 街の人々がその異変に気づき、動揺を見せる。


「このまま進んで、何が待っているのか分からない。でも、進むしかない」

 陽翔は決意を新たにして言った。


 莉音はその言葉に静かに頷き、共に歩き出す。

 異世界と王都の境界が曖昧になり、二人が進む先に待っているのは、新たな運命だった。


 二人は選ばれし者として、これからの未来を選ばなければならない。

 その選択が、どれほどの代償を伴うことになるのか——それは、まだ分からない。


***


 王都を包み込む異世界の力が、さらに強くなっていく。

 王都の街並みは過去と未来、異世界の影響が交錯し、まるで時空が歪んでいるかのように感じられる。

 その中で、陽翔と莉音は再び選ばれし者としての決断を下さなければならない。


「これが……本当に私たちの選択?」

 莉音が不安げに呟いた。

 その声に、陽翔は立ち止まり、ゆっくりと振り向く。


「俺たちが選ばれた理由が、これで分かるはずだ」

 陽翔の目の奥には、決意が宿っている。しかしその目には、**本当に正しい選択なのか**という不安が浮かんでいた。


「でも、もしもこの選択が間違いだったら?」

 莉音の声が震える。

 陽翔は答えを出さずに再び歩き出した。


 **選択には代償が伴う**。それを彼はよく理解していた。

 けれど、選ばなければ、この世界は崩壊してしまう。


 その先に待っているものが何であれ、進むしかない。


 陽翔は、再び時の鍵を強く握りしめた。

 それが、未来を選ぶための力であり、**「選ばれし者としての運命」**を背負うためのものだと信じて。


 「行こう」

 陽翔がその言葉を口にした瞬間、莉音が強く頷いた。


「うん、私たちは、どんな選択でも一緒にいる」


 二人は、再び異世界の力を受け入れる決意を固め、進み始めた。

 その道の先には、**選ばれた者としての運命が待ち受けている**。


***


 王都の空は、ますます異世界の影響を強めていく。

 異世界の景色が空に浮かび、王都の街並みがその影に包まれていく。

 時間の流れが止まり、未来と過去が交差する中で、王都の人々は徐々に混乱を深めていく。


「どうして、こんなことが起きているんだ?」

 街を歩く住民たちが、過去に戻ったかのような錯覚を覚え、次々と異世界の影響を受けている。

 王都の商人たちは異世界から流入した新技術に脅威を感じ、対立が激化していく。

 王宮の貴族たちもまた、異世界の住民を市民として認めることに反対し、派閥争いが起こっている。


「これが、異世界の影響が王都に与える影響なんだ……」

 陽翔はその光景を見つめながら、再び「時の鍵」を手にして、心を決めた。

 彼らが進むべき道は、選ばれた道だけではない。


「私たちが進むべき道は、自分たちで決めないといけない」

 莉音が言葉を発する。


 二人は互いに視線を交わし、再び決意を固めた。

 それが「選ばれし者」としての役割であり、この世界を変えるために選ばれた者として進むべき道を選ぶ時が来たのだ。


***


 その時——陽翔が突然立ち止まった。


「これは……」


 目の前に現れたのは、異世界の景色だった。

 王都が、異世界に呑み込まれ、崩れた都市のように変わり果てていた。

 空の色が変わり、異世界の建物が王都の中に入り込んでいる。


「王都が、異世界の一部になってしまった……?」


 莉音がその景色に目を見開く。


「選ばれた未来が、こんな風に変わるのか?」

 陽翔の言葉に、莉音も言葉を失う。

 異世界との接触がここまで強烈に影響を及ぼしている。


「何が起きているんだ?」

 陽翔は再び時の鍵を見つめ、強く握りしめた。


(これは……俺たちが選んだ未来が、現実として反映されているということか)

「このまま進めば、王都は異世界と融合することになる」

「でも、それが本当に正しいことなのか?」

 陽翔の心の中に疑問が広がる。

 その疑問を確かめるためには、再び選択をしなければならない。


「選択するべき道を選ぶんだ」

 陽翔は、再び決意を新たにした。

 **この世界の歪みを正し、未来を切り開くために。**


***


 王都の街並みが、歪んだ時間の中で揺れる。

 異世界の影響が日に日に強まり、王都はもはや元の姿を保っていない。

 異世界の力が王都に流れ込み、時間が崩れ、記憶が曖昧になり、過去と未来の景色が交錯する中、陽翔と莉音はその修正を選ばなければならない。


「どうして、こんなに混乱しているんだろう……」

 莉音の声が、空気を切り裂いたように響く。


 王都の街角では、異世界の住民たちと王都の住民たちの間で争いが起きている。

 商人たちは、異世界から持ち込まれた新しい技術に脅威を感じ、利益を守ろうとする。

 貴族たちは、異世界の住民たちを受け入れるかどうかで派閥争いを繰り広げている。


 その中で、陽翔と莉音は、異世界の住民たちとの調和を取るべきか、それとも距離を置くべきかを選ばなければならなかった。

 どちらの道を選んでも、王都にとって大きな影響があることは確かだ。


「選ばなければ、世界が壊れる——」

 陽翔がつぶやく。

 その言葉に、莉音は一瞬息を呑んだ。


「でも、私たちが選んだ未来が正しいかどうか、分からない」

 莉音の不安は、陽翔の心の中でも大きく膨らんでいく。


「それでも、選ばなければ何も変わらない」

 陽翔は、時の鍵を見つめ、再びその力を手に取った。

 選ばれし者として運命を受け入れる決意を固め、もう後戻りはできないことを理解していた。

 **異世界の力を修正するために、この鍵を使わなければならない。**


 しかし、**その選択が引き起こす代償は、あまりにも大きすぎる**。

 「消される存在」としての運命が、陽翔たちを待ち受けているという恐怖を抱えながら、彼は再び歩み始めた。


***


 王都の広場に足を踏み入れた陽翔と莉音は、異世界の影響を受けた空間に圧倒される。

 過去と未来が交錯するような、奇妙な光景が広がっている。

 異世界の建物が王都の景色と重なり、空の色が歪み、時の流れが途切れる。


「……これが、選ばれし者としての責任か」

 陽翔が呟く。

 時の鍵を使うことで、王都の未来が変わると信じて選択をしたが、その先に待っているものが何か分からない。


「私たちが進むことで、王都がどうなるのか、私たちにわからないよね」

 莉音が低い声で言った。


 その言葉を受けて、陽翔は一度立ち止まり、振り返る。

 「だからこそ、俺たちが進むしかないんだ」

 莉音はその言葉にしっかりと頷き、陽翔と共に歩き出した。


***


 王都の上空で、異世界の影が再び広がり、王都全体を包み込もうとする。

 異世界の力が加速し、王都の未来を呑み込もうとしていた。


「これが……選択の代償だとしても」

 陽翔は再び言葉を呟き、歩き続けた。

 異世界の力を完全に受け入れることで、王都は新しい秩序を迎えることになる。

 その選択を選ぶことで、陽翔たちはその運命を背負い、未来を切り開こうとした。


「未来が変わる……私たちが選んだ未来が、世界を変えるんだね」

 莉音の言葉に、陽翔は静かに頷いた。

 二人は選ばれし者として運命を受け入れ、時の鍵を使って新たな秩序を築くために進み続ける。


***


 その時、再び**黒鎧の男**が現れた。

 彼の目は冷徹なままで、陽翔と莉音をじっと見つめている。

 その後ろに広がる異世界の力は、王都全体を包み込むように広がっている。


「お前たちが選んだ未来が、世界を変えた」

 黒鎧の男は、冷徹な声で告げる。

「だが、その代償を理解しているか?」


 陽翔が眉をひそめる。


「代償……?」


「異世界と王都の融合が進むことで、お前たちが存在する理由が失われる可能性がある」

 黒鎧の男の言葉に、空気が張り詰める。


「俺たちが……消える?」

「その通りだ。お前たちは"修正の結果生まれた歪み"であり、この世界が安定すれば、その存在は不要となる。」


 莉音が息を呑む。

「そんな……! それじゃあ、私たちは何のために選ばれたの?」


「選択するためだ」

 黒鎧の男は言った。

「だが、お前たちが選んだ未来が、また別の"消えるはずだった者"を生み出す可能性がある」

「選択をしたのは俺たちだ。これで世界が変わるなら、それが本当に正しいことだろう」

 陽翔は答える。

 黒鎧の男は無言で頷き、再び視線を向けた。


「だが、今一つだけ伝えておくべきことがある」

 黒鎧の男が言う。

 「お前たちの選択は、今後の未来に大きな影響を与えるだろう。しかし、選んだ未来が"歪み"を作り出す可能性もある」


「歪み?」


「時の鍵の力を使うことで、この世界は修正された。だが、**その先に待っているのは、消えてしまった歴史の修正**だ」

 黒鎧の男が呟くと、陽翔は一瞬、言葉を失った。


「つまり、選ばれた未来が進むことで、**歴史そのものが再構築される**」

 その言葉が、陽翔の胸に深く刺さる。

 それは「過去」が取り戻され、「消えた召喚者」たちの存在が修正されることを意味している。


***


 異世界の力が、王都全体を呑み込もうとするように広がる。

 王都の建物が一瞬で異世界の影響を受け、形を変え、時空が歪んでいく様子は、まるで幻想のようだ。

 王都の人々がその光景に恐怖を感じ、次々と異端の教えを信じ始める中、陽翔と莉音はその混乱をどう乗り越えるかを決断しなければならない。


「これ、どうしてこんなことが起きてるんだ?」

 莉音が、異世界から流れ込む魔力を感じながらつぶやいた。

 王都の街並みが、過去と未来、異世界が交錯する奇妙な景色に変わり、住民たちの記憶も曖昧になり始めている。


「このままじゃ、何もかもが壊れてしまう……」

 陽翔が決意を込めて言った。その目には、強い意志が宿っている。

 だが、その選択が果たして正しいのか、依然として答えは出ていない。

 陽翔の胸に広がる不安を感じ取ったのは、莉音も同じだった。

 **「俺たちの選択が、この世界にどれほどの影響を与えるのか?」**

 その疑問が二人の胸に深く刻まれた。


 異世界の住民たちは、王都の技術や文化を持ち込むと同時に、強い反発も招いている。

 王都の商人たちは、異世界からの技術によって利益を脅かされ、異世界の住民を排斥しようとする動きが加速していた。

 王宮では貴族たちが、異世界の住民を市民として認めるかどうかで派閥争いを繰り広げ、**王国の伝統**が揺らぎ始めている。

 陽翔と莉音はその摩擦を見つめながら、どちらの立場を取るべきかを考えていた。


「このままだと、どちらかの世界が崩れるしかない」

 陽翔がつぶやいた。

 **異世界との調和を取るか、距離を置くか**。

 その選択が王都の未来を決定づけることになる。


「私たち、何を選ぶべきなの?」

 莉音が再び尋ねる。

 陽翔はその目を見つめた。

 そして、少しの間黙ってから、彼は静かに答えた。


「今はまだ分からない。けど、何も選ばなければ何も変わらない」

 その言葉に、莉音は静かに頷いた。

 選択すること——そのことが今の二人には最も大切なことだった。


「私たちが選ばれた理由が、何かの"歪み"を正すためにあるって信じたい」

 莉音の言葉に、陽翔は静かに頷いた。

 二人はその答えをお互いに確かめ合いながら、再び歩みを進める。


***


  その時、王都の空が割れるような音と共に、異世界の力が強く流れ込んできた。


 そして――陽翔の頭の中に、突如として強烈な光景が流れ込む。


 **「……この光景、知っている?」**

 **戦場。剣を交える二つの影。だが、そのどちらも自分には見覚えがない。**

 **それなのに、確かに"知っている"という感覚だけが残る。**


 「俺は……これを、いつ見たんだ……?」


 視界がぶれる。莉音が心配そうに顔を覗き込んだ。


「陽翔? 大丈夫……?」


「ああ……でも、今、一瞬……俺は"消された召喚者"の記憶を見た気がした」


 その言葉が、二人の胸に重くのしかかった。


 王都の街並みが、異世界の力によって一瞬で変わり、過去と未来、異世界の影響が交錯していた。

 王宮の上空では、異世界からの巨大な力が流れ込み、王都の景色を飲み込んでいく。

 陽翔と莉音はその現象を目の当たりにし、立ち尽くすしかなかった。


「これ……選んだ未来が、こんなにも影響を与えるのか?」

 陽翔がつぶやいたその時——

 再び黒鎧の男が姿を現した。

 黒鎧の男は、異世界の力が王都を呑み込む様子を見て、冷徹に告げる。


「お前たちが選んだ未来が、こうなるとは予想していなかった」


「どういう意味だ?」

 陽翔が問いかけると、黒鎧の男は無言で立ち尽くす。

 その視線の先には、異世界の影が広がり、王都を包み込んでいる。

 黒鎧の男は少しの間黙ってから、再び口を開いた。


「**お前たちの選択が、この世界に歪みを生んだ**」

「歪み?」

「時の鍵を使ったことで、異世界の力が流れ込み、この世界の時間と空間を崩した」

「でも、私たちはそれを正すために進んできたんだ!」

 陽翔が叫ぶと、黒鎧の男は一歩後退し、深く息をついた。


「その先にあるのは、消えるべき存在の"修正"だ」

「消えるべき存在……?」

 陽翔が再び問うと、黒鎧の男は目を細めて答える。


「お前たちが選んだ未来の先にあるのは、**修正された歴史における"消された召喚者"の代わりに存在するべき"お前たち"**だ」

「俺たちが消されるっていうのか?」

「そうだ」


 その言葉に、陽翔と莉音は言葉を失った。

 時の鍵を使い、世界を修正する力を手に入れたはずの二人が、**その選択の代償として消える運命を背負うことになった**。

 そして、今——その選択が迫られていた。


「どうすれば、この歪みを修正できる?」

 陽翔は強く問いかけた。


「その答えは、お前たち自身が選ばなければならない」

 黒鎧の男は静かに言う。


「だが、注意せよ。選ぶ道によっては、**お前たちが消えるか、この世界が壊れるか**、どちらかの選択をしなければならない」


 その言葉が、陽翔の心に深く突き刺さる。

 選んだ先に待つ代償は、あまりにも大きすぎる。しかし——それでも、二人は進むしかないのだと感じていた。


「進み続けるんだ」

 陽翔は再び、莉音の手をしっかりと握り締めた。

 二人は選ばれし者として、運命を受け入れ、世界を修正するために選択を下さなければならない。


***


 黒鎧の男の言葉は、陽翔と莉音の心に重く響き渡った。

 選んだ未来の先に待つのは、「消える運命」か、それとも世界の崩壊か——。

 その選択を背負い、二人は歩み続けるしかない。


「……でも」

 莉音が震える声で言った。

「どうして私たちが、消えるべき存在なんだ?」


「お前たちは、選ばれた者だ」

 黒鎧の男が冷徹な目で言う。

「だが、選ばれた者が進む先に待っているのは、**歴史の修正**だ」


「修正……?」

 陽翔がその言葉に反応する。

「歴史の修正? それって、俺たちが消えることを意味しているのか?」


「そうだ」

 黒鎧の男が答える。

「お前たちが選んだ未来が、この世界に『修正』を加え、歪みを正す。しかし、それに伴ってお前たちはこの世界から消え去ることになる」


「消える……?」

 莉音が再び呟いた。

 その言葉に、陽翔の胸が締め付けられる。

 自分たちの選択が、最終的に消失を意味するのか。


 **その瞬間、王都の空が再び歪み始める。**

 異世界の影響が一層強くなり、王都全体が異次元の力に呑み込まれるような感覚に包まれた。

 王都の建物が一瞬にして異世界の建物に変わり、時空が崩れる。


「これが……選んだ未来か?」

 陽翔が呟き、強く時の鍵を握りしめる。

 その鍵が、世界の運命を修正する力を持っていることを、陽翔は今更ながら強く感じていた。

 だが、そこには選ばなければならない「代償」があった。


「選ばなければ、私たちが消えてしまう」

 莉音がその言葉を口にする。

「それでも、選ばなきゃいけない……!」


 陽翔はその言葉を重く受け止め、再び歩みを進める。

 **運命を受け入れ、進むしかない**。

 その先に待っている「未来」が、どんなものであれ、選ばなければ何も変わらないからだ。


 「私たちの選択が、この世界を救うって信じたい」

 莉音がその言葉を胸に強く握りしめて歩き出す。


 陽翔はその言葉にしっかりと頷きながら、時の鍵をさらに強く握りしめた。

 その時——再び異世界の力が空間を歪ませ、王都の景色が瞬時に変わる。

 異世界の力が、王都の建物や空にまで影響を及ぼし始め、すべてが新たに「作り変えられようとしている」。

 **王都は今、異世界との融合を迎えようとしていた。**


 しかし、その選択が本当に「世界を救うこと」になるのか。

 それとも——。

 再び陽翔は、時の鍵を見つめる。

 その鍵が、世界の修正を可能にする力を持っているということは、もう確かだ。しかし、その力の代償を恐れている自分がいた。


「私たちは、消えないよね?」

 莉音が再び不安そうに問う。


「俺たちは……選んだ未来を信じよう」

 陽翔が答える。

「信じるんだ。俺たちが選んだ未来を」


 その時、王都の空に異世界の影が再び立ち込め、光が強く反射する。

 王都が、異世界の力に包まれていく——。

 その一瞬に、異世界の力が過去と未来を繋げていく。


「もう、後戻りはできないの?」

 莉音が恐る恐る問いかける。


「進むしかない……」

 陽翔は再び答えた。

「俺たちは、今選ぶべき未来を選んでいるんだ」


 異世界の力が王都に完全に影響を与え、王都は異世界の空間と一体化する。

 その光景に、陽翔と莉音はただ立ち尽くし、少しずつ世界の変化を受け入れていく。


 そして——


 突然、王都の一部が再び変化し、異世界の影がさらに広がりを見せる。


 その瞬間、**「消された召喚者」の名前が再び浮かび上がる**。

 陽翔の胸に、衝撃が走った。


「——消された召喚者……」


 その名前は、陽翔自身の過去と深く関わっている。

 「消された召喚者」とは、陽翔と同じような存在であったのか?

 それとも——この選択が何かを再び「修正」するものなのか。


「選ばれし者としての運命が、ついに……」

 陽翔はその先に待つ答えを感じ、再び時の鍵を握りしめた。


「これからどうなるの?」

 莉音が震える声で尋ねるが、陽翔はただ静かに頷く。


「選んだ道に進むんだ」


 再び異世界の力が王都に流れ込み、二人はその選択を受け入れることを決める。



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